第12話 そして生まれた
お久しぶりです。
短いです。
すいません。
私の嫌だ、やめてという言葉は聞こえていないようだった。ただおじさんも一心不乱に私を穢していくことだけを考えているようで、諦めがついたのは結構早かったような気がする。また前のように戻っただけだ。今だけ我慢すればいいだけ。そうやって自分に言い聞かせて目をずっと瞑っていた。
そんな私をおじさんは許してはくれなくて、最中ずっと耳元で囁かれ続けた。
「お前は俺のものだ。お前は、・・・・雪子ちゃん、雪子ちゃん。」
それはお母さんの名前だった。
その時に初めて知った。おじさんがお母さんに恋い焦がれたいたことに。私をずっとお母さんの代わりとして見ていたことに。
私はぞっとした。
違ったのだ。愛されていると思っていた。だから体を許していたのに。結局おじさんは私のことではなくお母さんを愛していた。そしてそんなお母さんに嫉妬を抱いている自分にぞっとした。
私は愛していたんだ。こんなおじさんを。こんな醜い大人を。
今まで溜め込んでいたものが胸から溢れ出るように涙がこぼれ落ちた。最中に泣いたのは初めてを奪われた時以来だった。
「雪子、雪子、好きだ。好きだ。」
おじさんから全身を通して伝わって来る重い思いに押しつぶされて、私は決めた。
消えよう。
情事が終わって、おじさんは私がお金を貯めて買った寝心地の悪いパイプベッドでぐっすりと眠っていた。私は抱かれていた腕からそっと抜け出し、裸のまま台所へと向かう。生まれたままの姿で消えるのだ。少し変で面白い。まな板の上で置きっぱなしにしてあった包丁、そっと首へと持っていく。
「バイバイ、おじさん。」
私は愛が欲しかったです。
首から勢い良く飛び散る血液が顔にまで飛んできて、痛くて、熱くて、すぐには意識を失わなくて、でもいつの間にか目の前が霞み始めて、私は最後の最後までおじさんを見続けていた。
「アルティス!戻って来い!」
真っ暗闇の中声が聞こえてくるけど、私はそれに素直に従うことはできなかった。ただ、今はゆっくりと眠りにつきたかったんだ。
ありがとうございます。




