第9話 日常
遅くなって申し訳ないです。
「アルお腹いっぱいになったあ?」
「なったよ。」
「体調はどうー?」
「もう平気。」
フォルナはにこにこと微笑んで満足そうに頷いた。フォルナのその幸せそうな顔にこっちも嬉しくなる。でも昔からまるで動かない自分の顔の筋肉にうまく自分の気持ちが伝わらない気がする。好きなのに伝えられない。でも伝えることはできない。その気持ちは表面的には出てほしくないものだけど、この素直に純粋にフォルナという人物が好きな気持ちさえフォルナに伝わってさえくれれば俺は幸せだ。
…いつまでフォルナと一緒にいられるか分からない。考えないようにしてきたことがふと脳裏を過った。
いやだ。やだ。やだ。一緒にいたい。ずっとフォルナと二人っきりで、俺が大きくなって仕事もちゃんと手伝って、ずっとずうーっと二人っきりで…。
そんな事は無理だ。
自分が一番分かってる。
バーンという男が訪ねてきた。あれだってフォルナがきっと違うところで必要とされている証だ。俺でさえ分かる、フォルナが立派な魔法使いだということが。そもそもこんな辺境の地にいることがおかしい。ここは一番近い街でも歩いて2日かかる。まあ、転移の魔法を使えば一瞬でつくけど。きっと訳ありなんてことはバカでも分かる。
「アルー、難しい顔してどうしたのお?」
フォルナは俺の些細な表情の変化(自分でも分からない)を読むときがある。
「なんでもない。」
「そっかあ。でも何かあったら話してねえ。僕はそうしてくれると嬉しいからさあ。」
どこか遠慮気味の俺の心を読んだフォルナの一言にグッと喉が詰まった。
やっぱりフォルナには敵わない。やっぱり好きだ。
好きって幸せな気持ち。でも、俺には分不相応に思えた。辛い、恋ってこんなにも辛いものなんだ。
「さあっアル!今日はねえ、僕の仕事のお手伝いできるかなあ?」
俺と目を合わせてにっこり笑ったフォルナにこくりと頷けば右手を取られ連れられるがままに外へ出る。
「何する、の?」
「えーとぉ、薬草摘んでー、庭に干してー、前干したやつをすり潰してー調合してー、瓶詰めかなあ。」
俺の手を繋いでない方の手で指折り数える。案外やることあるなあ、大変だあとぼやくフォルナ。がんばろーと緩く言われこくりと頷いた。
読んでくださり、ありがとうございました。
まとまらない感じになってしまいましたが、許してください(泣)
ちゃんと忘れずに頑張ります。




