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第5話 手離すことはない、絶対に

あけましておめでとうございます!

長らく放置していてすいませんでした。言い訳は・・・しません(笑)

時間は作るものですもんね!私がふがいないせいです。


今回はフォルナ目線で進行します。

大して内容は進みません。ごめんなさい。

 僕があそこに居たのは偶然だった。その日も与えられた仕事をこなし、家に帰ろうと誰も通らないような裏路地を一人で歩いているときにそれは聞こえた。


「見つけ・・・・・、てめえ・・・・、」


 声はところどころしか聞こえなかったけど、いい雰囲気はなかった。いつもなら聞かなかったふりとかして関係なく家に帰るけど、その日は何となくその声の方向へと向かっていた。


 そこには、二人の男に囲まれている天使が居た。薄汚れているようだったけど、破られた服から見える白い透き通った肌、少し乾燥している桃色の唇、光が灯っていない紫の瞳にかかる程度の金色の髪。僕は正直その一瞬でその天使に目を奪われていた。胸の奥を埋め尽くす今まで感じたことのない感情に鼻の奥が熱くなって涙がこぼれた。だが、僕がその感情に身を震わせている間にも、下賎な男どもは天使に汚い手を這わせている。許せない。こんなやつら、殺してやろうか・・・・、いや、その前にまずこの子を助ける。ほんの僅かな時間の間に僕はそう結論付けると闇の低級魔法をかけて男たちを眠らせる。


「なんだてめえ!やんの・・・・か・・・・・。」

「おい!なに・・・し・・・た・・・?」


 男たちは僕に何かを叫んでいたが正直あまり聞きたくない。それより僕は必死だった。早くこの子を、守らなくちゃ。


 くたりと力が入っていない幼い肢体を優しく抱き上げマントの中に包む。


「だ・・・れ・・・?」


 焦点が定まらない紫の瞳が僕の顔を写す。僕はにっこり笑いかける。


「僕は、フォルナ。一緒においで。」


 僕が名前を言った瞬間この幼子はまるで安心したかのように気を失った。僕は久しぶりに感じる人の温もりと天使をこの腕で抱ける嬉しさを噛み殺しながら、早く帰らなくちゃと思い、転移魔法を使いその場を離れた。




 あれから早6年。天使・・・アルは僕の世話をよくやってくれるようになった。きっとまじめな子だから僕の家に住んでいることに負い目を感じているのかもしれない。僕はできるだけアルを危険から遠ざけて育てたかった。だけど僕の仕事・・・代々の王に仕え裏切り者を抹殺するという決して表に出てはいけない裏の仕事のためいつかはアルを危険にさらしてしまうかもしれないという覚悟でやっていた。その時は僕が全力で守ればいい、なんて甘いことを考えていたのも事実。だが、実際その時が来ると僕はただアルの背中を撫でることしかできないことに気付いた。アルは必死に僕のマントを握りしめているというのに。抱きしめようと思って伸ばした腕は小刻みに揺れる肩を見て怖くなって止めた。誤魔化すために周りの汚物を一掃する。こんな汚れ仕事をしている僕はアルを抱きしめる資格なんてない。僕の手がアルを汚してしまう。頭の中で悶々と考えてはいてもどうしても僕はアルから離れたくないという事実に気づいてしまい頭の中は負のループに陥る。


「アル、アル、ごめんね、・・・ごめんね。」


 どうやら僕はもうアルを手放すことは無理みたいなんだ。ごめんね、そんな僕でもまだ一緒に居てくれるかなあ。


「ごめんなさい、ごめんなさい。」


 僕の胸に顔をすりよせて謝るアルに僕は硬直しそうになった。なんでアルが謝る?全ては僕のせいなのに。それとももう僕とは一緒に居られないということなのかな。


 口の中に血の味が広がっている。無意識の間に下唇を噛んでいたみたいで切れていた。こんな傷僕の魔法で一瞬で治すことができるが今はそんな気になれなかった。







ありがとうございました。

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