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第14話 さようなら

私の小説に感想を送ってくださった皆様、ありがとうございます!すごくうれしくて一人で奇声をあげてしまいました・・・(笑)

誤字脱字の指摘も助かります!逆に私の拙い小説を真剣に読んでくださっていることを実感でき、とても嬉しいです。

もしかしたらこれから読者様が思うストーリーにはなっていかないかもしれないのですが、アルと私を見守ってくだされば幸いです。

これからも、よろしくお願いします!


 さっきまでぐったりと動かなかった私の急な抵抗にミシェラも一瞬驚いたのか力が弱まった。でもそれもつかの間、私をなんとしても仕留めようと暴れる私の体の上にまたがり全力で首を絞めてきた。

 

 さすがに大人の全力には敵わない、敵わないよ。殴られている最中に止まったと思っていた涙がまた溢れ出す。誰でもいい、誰か、助けて。もうやだよ。


 目の前が朦朧としてミシェラの顔もよく見えなくなってきていた。でも顔にかかるミシェラの荒い息、首に食い込む指、暴れることができなくなった体。・・・私に待つのは、死。


 ぜったいやだ、しにたくない、ゆーりぐ、そりす、おかあさん、おとうさん、さふぃせんせい・・・・・・・・・。


 止まらない涙。どんどん力の入らなくなる体。異様に熱い体の奥。・・・・・ん?


 私は気付いた。体の中の魔力が渦巻いていることに。この前みたいに一気に出したら・・・・?確かメドキルアしか近寄れなかったってユーリグが・・・。


 魔力の出し方なんてわからない。でもやるしかない。やらなきゃ死ぬ。ただそれだけ。酸素が回らなくなった頭で集中してその熱い塊を外へ、外へ、外へ!!!



「きゃあああああああああああああああ!!!!」


 自分の体から溢れ出る魔力を視認。なんかすごい。ミシェラはすごい悲鳴を上げながら私の部屋の窓から突き抜けていった。・・・こんな姿、それこそミシェラの言った通りじゃないか。・・・魔族、本当に私は人間じゃないのかも。


「ミシェラ!!!アル!!!」


 ミシェラの悲鳴にお母さんが駆けつけてきた。部屋に飛び込んだ光景に絶句している姿が目に入る。そりゃそうだ、なぜか息子はぼろぼろで、悲鳴を上げたミシェラは居なくなってて、そのかわり窓がぶち抜かれている。きっとなにがあったのか見当もつかないだろう。

 気付いたら笑いがこぼれた。体中が痛くて、なんか笑える。


「は、ははっ・・・・。」


「アルっ、アル!」


 いつの間にかまた私の中におさまった魔力を見計らってお母さんが抱き起してくれた。それでも笑いが止まらない。なにがおかしいのかって自分自身よくわかってなかったんだけど、その時の私は何かの枷が外れたかのように笑い続けた。


――――――――――――――


「そんな事が!?」

「ええ、そうなの。もう、私何が何だかさっぱりでっ。ミシェラも見当たらないし、アルも壊れてしまったように笑い続けていて・・・。どうしましょうっ、ちゃんとアルを見ていなかった私のせいだわ!ごめんなさいっ、ごめんなさい!」


 お前のせいじゃない、お父さんの小さな声が聞こえてきた。そう、お母さんのせいじゃない。誰のせいでもないんだよ。でも、強いて言うなら私が魔力過多症なんていう病気で生まれてきたから。


 この家を出ようと決意したときはこんなに早く出ることになるとは思ってなかったな。机にかけてある私用のリュックサックに替えの服などを詰めながら思いだす。体はお母さんが呼んでくれたサフィ先生によって既に治療を終えていた。けれど、まだ完璧には治っていなくて、じくじくと患部が熱を持っている。

 小さかった時はまだなにもかもよく分かってなくてこの幸せそうな家庭に生まれたことを純粋に喜んでいた気がする。まだ帰ってきていない兄たちの顔を思い出し、心の中でさよならを告げる。最後にちゃんと顔を見たかった様な気もするけど、見たら出ていけない気がした。


 こっそりとリビングの前の廊下を通った時、お母さんの泣き声が聞こえてきた。後ろ姿しか見えなかったけど、お父さんが肩を抱いて慰めている。でももうきっと、お母さんはこんなふうに悲しむことはない。お父さんも心を痛めることはない。


 さようならお母さん、お父さん、ユーリグ、ソリス。



 私は静かに6年間生きたこの家と家族に別れを告げた。





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