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第1話 私、誕生

好きな事を盛りだくさん入れようと思ったら収拾がつかない・・・

おぎゃあ おぎゃあ おぎゃあ


 うるさい・・・。なんで一人暮らしのわたしの部屋から赤ちゃんの泣き声が聞こえてくるの。明日はやっと仕事も休みだってのに静かに寝かせて欲しいよまったく。


「おめでとうございます、元気な男の子でございます。」


「おお、おお、メリアよく頑張った、よく頑張った!」


「ふふ、ライアン貴方泣いてるの・・・?」


「ああ!自分の子供と愛しい人が無事でいてこんな嬉しい事はない!」


 あれ、なにこれ?金髪?巨人?どゆこと?私さっきまで自分の部屋にいたはず。やっと明日休みなのが嬉しくてベッドに倒れ込んで・・・。記憶がない。多分寝た。なのに何で、


「おぎゃあああああああ(赤ちゃんになってるのー!!???)」


――――――――――――――――――――


斎藤美子さいとうよしこ享年24歳、死因、今のところ不明。


 どうやら私は生まれ変わったらしい。赤ちゃんの体は不思議なもんでさっきまでパニックになって泣いてたら多分お母さんのおっぱいつっこまれて本能のままに吸って、そんでげっぷしたら落ち着いた。いまは美人なお母さんの腕に抱かれ眠い眼を根性で開けてまわりを観察中。ちなみにお母さんは柔らかい金髪に柔らかい光が灯っている濃いグリーンの瞳、小さい口にぽてっとした桜色の唇、うん、美人。ベッドの横の椅子に座る父は濃い茶髪に鋭い二重のブルーの瞳、さっきから絶えることなく微笑み続けてる大きな口、うん、イケメン。


 どうやら美人な母と父のもとへ生まれたようです。私の将来が楽しみですね。と、ここで私の意識はフェードアウト。


「元気に育ってねアルティス。」


―――――――――――――――――――――――



「母上!」


 ばん、と大きな音を立てて部屋へと入ってきたのは二男のソリス。その後ろからコラッとソリスを叩いて入って来たのは長男のユーリグ。二人とも士官学校へと行っているがいつもより帰ってくるのが早い。きっと走って帰って来たのね。


「母上!弟ですか?妹ですか?」


 初めて弟か妹ができると心待ちにしていたのはソリスだ。そんなソリスを戒めるのはしっかり者のユーリグ。


「ソリス、母上はお疲れなんだ。少しは空気を読め。」


「ありがとユーリグ。ソリス弟よ、名前はアルティス。可愛がってあげてね。」


 ついさっき眠ったばかりのアルティスの顔を見えるように少し抱き方を変える。ライアンまで一緒に覗き込んで頬を緩ませるのを見て私も思わず笑ってしまう。いつものライアンを知っている方はきっと今のライアンを見たらびっくりするんだろうな、なんて。


「アルティス、お前の兄上だぞ。」


 ぷにぷにとアルティスの頬をつつくソリスの横でユーリグも興味深そうに見ていた。ソリス以来のこんな小さな子供を見たのはユーリグにとって10年ぶり。きっと可愛がってくれるわね。ユーリグの柔らかい茶髪をなでると少し恥ずかしそうに目線をそらせた。もう、お兄さんなのね。


「メリア、そろそろ休もう。君も疲れただろう。」


 ライアンのその声にユーリグとソリスも頷き合ってアルティスの額にキスをして部屋を出ていく。


「ありがとう、ライアン。そうね少し休むわね。」


 ライアンは私とアルティスの額にキスを落とし、耳元でいい夢を、と囁くと軽やかな足取りで出ていった。


 私は横に備え付けられてある乳児用のベッドにアルティスを起こさないようにそっと横たえる。どうやらぐっすりと眠っているみたい。


「おやすみなさい、アルティス。いい夢を。」


 私もベッドに横になり瞳を閉じるとすぐに夢の中へと落ちていった。





 

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