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父と娘  作者: 佳苗
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父は昔気質の人でもあった。

ゲームや漫画が大好きで、子供のためにと言っては自分がハマっているような人だったが、どこか考え方が古く、

『女は男より1歩下がって歩く』

そんな昔ながらの大和撫子を理想とするような人だった。


 母はおっとりとして優しい人で、かなり天然な人だった。

料理は普通にうまい癖に、よく不思議なひと手間を加えて味を劇的に変えている。

でも怒らせると本当に怖い人だった。

ココという線引きがはっきりとしていて、それだけは絶対に譲らない

芯のしっかりとした人。


私達兄弟はそんな母が大好きで、母が近くにいる時はべったりとくっついていた。


だから幼かった私は気付かなかったんだろう。


愛してくれる父と世界一大好きな母が

いつも最低限の言葉しか交わしていなかったことに…





私達が歳をとるにつれて、2人の関係が見る間に変わっていった。

母は笑わなくなった。

父は怒鳴るようになった。


母は泣きそうな顔をするようになった。

父は姉に手をあげるようになった。


そうして


姉が家を出て

弟が不登校になって

私が壊れてしまった。


私の大好きな(もの)が壊れてしまった。


よくある話。

むしろこんなのはまだまだ序の口だと自分でも思う。


それでも当時の私達には限界だった。

私は母を守りたかった。

姉を逃がしたかった。

弟を支えたかった。


でもその為に

私は父を切り捨てる道を選んだ。



私は、母を、姉を、弟を

そういう建前を振りかざして

自分の中の父親(思い出)を守るためだけに

2人に離婚を迫ったのだ。

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