紅い墓標
死ネタですがそこまで残酷?ではないので残酷描写にしませんでした。
そういうのが苦手な方は回れ右でお願いします(>_<)
「赤いのがいい。ねぇ?だめ?白より目立つの」
「白にしよう。お前の肌には白のほうが似合う」
「ほんと?じゃぁ白にする」
蒼井 波流、21歳。
同い年の亜來璃と結婚を控えていた。
「波流っ?」
「ん~?」
「呼んでみただけっ」
「なんだよそれ」
「ふふっ」
「亜來璃!転ぶぞっ」
「平気よっ!」
「亜來」
「きゃっ……」
「亜來璃っ」
「……~った…………やっちゃった……」
「まったく……言うこと聞かないからそうなんだぞ。立てる?」
「ありがとう、波流」
亜來璃は小さくて、毎日、ぴょんぴょん跳ねてるようなやつ……。
風に揺れる細い茶色の髪が俺は好きで……。
「亜來璃、少し落ち着いて。」
「はぁい……」
「そんな顔しないで、今夜はパーティーなんだから」
「そうだった……」
「ほら、早く行こう」
「うん」
「あ…………」
「どうしたの?」
「先、行ってて」
「どうして?」
「いいから。じゃぁ後で」
「え……ちょっとっ波流っ」
ショーウィンドウに映った真っ赤なコート。
亜來璃に似合うかな……。
「すいません、これのSってありますか?」
「Sですね、少々お待ちください」
きっと……亜來璃に着せたら゛赤ずきんちゃん″。
「ありがとうございました」
まだ歩いてるかな……。
早く行こう。
「波流っ」
「亜來璃?ずっとここにいたのか?」
「だって……波流と行きたかったんだもん……」
「ごめんな」
亜來璃は微笑んだ……。
とても……可愛いと思った…………。
「見て、ほら」
「わぁっ可愛いっ」
「赤いウェディングドレスは無理だけど、これならさ」
「亜來璃にくれるの?」
「当たり前だろ?そうじゃなかったらなんのために買ってきたんだよ~」
「だって…………」
「泣くなよ……こんなことで……」
「……うれしい…………波流……大好きだよ……っ……」
「俺も亜來璃、大好き」
これからもずっと……亜來璃と一緒だと思ってた……………。
だけど……違う…………。
「亜來璃、可愛い」
「波流のがかっこいいもん……。だから……だめだよ……。……亜來璃から離れちゃ嫌だよ……?」
「離さねぇもん。お前が嫌だっつってもなぁ」
「……約束だよ…………?」
「約束!」
そう言ったのに……。
お前は俺から離れてくんだな…………。
*
*
*
「亜來璃、準備できた?」
「波流だめだよ!式まで見せないんだからっ」
「けちぃ」
「また後で~っ」
「亜來璃」
「?どうしたの?なんか今日、波流らしくないよ?」
「いや……別に…………また……後で……」
どうしてだろう…………
亜來璃がいなくなる気がした……。
「波流~っ?」
「ん……」
「だぁいすきだよっ!だからそんな顔しないで!」
「……亜來璃…………」
「もう、調子狂っちゃうなぁ。いつもの波流じゃなぁい」
「……愛してるよ…………だから……どこにも行かないで……亜來璃……」
離れたくなかった……。
1秒も……。
本当は……わかってたのかもしれない…………。
「波流~?」
「……よぉ」
「どーしたわけ~?」
「新郎さんがそんな顔~?」
「亜來璃ちゃんとケンカした~?」
「ねぇよ。ただ…………」
「ん?」
「なに?マリッジブルー?あははっ」
「…………もういい。」
「ごめんってばぁっ」
「……胸騒ぎが……しただけだ…………」
「なんだよ~縁起悪ぃなぁ……」
友達と話していても亜來璃が心配で…………
ずっと……気になって…………
「ほら波流~!もうすぐでしょ!」
「早く行きな。」
「また後で!」
「……あぁ……」
『……波流……っ……』
「……亜來璃…………?」
「波流~?」
「……なんでもない……」
今一瞬……亜來璃の声が…………
「蒼井くんっ亜來璃がっ」
「……え………………………」
「亜來璃が……っ…………今……」
「……亜來……璃………………亜來璃は……っ…………亜來璃はどこだよっ」
「……屋上から……柵が……壊れて…………それで…………」
「……亜來璃……っ」
亜來璃は即死だった……。
高層ビルの一番上から落ちて…………当たり前といえば当たり前で…………。
「……亜來……璃……っ…………なんで……っ……約束……した……の…………忘れ……た……のか……よ……っ…………亜來璃ぃぃぃぃぃっ……」
亜來璃の着ていた純白のドレスは真っ赤だった……。
それはまるで……亜來璃の着たがった赤いドレスのようで…………
「波流……?」
「…………夏希……」
「ちゃんと寝てんの……?顔色悪い…………」
「……っ……」
「波流っ」
「……だめ……なん……だ……よ……っ…………亜……來璃……が…………亜來……璃の……夢……しか……見な……く……て……っ…………も……無……理……だ……っ……」
「……波流…………」
亜來璃…………
どうして……俺だけ置いて逝く…………?
なんで……お前は………………
「……亜來……璃……っ……」
ずっと……離れるなって…………自分から言ったくせに…………
お前は……ずるい…………。
ずるいよ……
……亜來璃……っ…………
*
*
*
「おめでとうっ美樹っ波流~っ!」
「今度こそ幸せになれよ」
「言われなくてもなぁ」
27歳の冬…………
仕事場で知り合った3こ下の美樹と今度こそ……。
そう思いながら……。
「波流くん、飲みすぎだよ」
「……~ん。じゃぁもうやめる~。てか、美樹、いい加減に呼び捨てでいいから。」
「…………波流……?」
「そ」
「……なんか……不思議な感じ……」
亜來璃が死んで6年……。
正直、この結婚にも迷ったけれど……美樹を一生をかけて幸せにしたいと思った。
美樹を……愛してたはずだった…………。
「美樹っ?」
「だ~め!まだ見せてあげないよ!」
「いいじゃんかよ」
「もう少しの辛抱っ!」
「ちぇ」
「波流……ありがとう……」
「こちらこそだよ。美樹」
美樹の……一瞬ちらりと見えたドレス姿…………
「じゃぁ待ってるよ」
「うん。すぐ行く」
あの日のきみを思い出す…………。
「……亜來璃…………」
「波流~っ?」
「夏希」
「ど?まだ時間あるだろ?ちょっと屋上、行こっ」
「あぁ」
嬉しそうに微笑んだきみ……。
まるで……昨日のことみたいだ……………。
「よかったなぁ?」
「ん~っ?」
「美樹ちゃん」
「あぁ」
「年下なのに気がきくし」
「だろ?いい女だよ……。美樹は……」
『……波流…………』
「……ぁ……亜來……璃……」
「波流……?」
亜來璃…………?
どうして……泣いてるんだ…………?
「……亜來璃…………」
「波流……っ!?おいっ!どうしたんだよっ」
「……そこに……亜來璃が…………」
泣くなよ……
亜來璃…………
そんな顔……するなよ…………
「……亜來璃…………今……行くから……」
「波流っ」
「……離せよっ夏希っ……亜來璃がそこにっ……」
「なに言ってんだよっそっちは……っ…………波流~っっっっっ」
…………………亜來璃…………………
『……波流…………大好きだよ……』
「……俺も……亜來璃が世界一……好きだよ……」
白い服が染まってく…………
亜來璃のドレスと同じ………………
それは…………
゛紅″―――――。
私が書くものは死ネタ多いです……。
理由も自分でわかってる。
私が小説を書き始めたきっかけがあの、携帯小説がものすごく流行った時代だったから……。
でもそれは言い訳にしかならない。
この癖、直したいのに直せない。
歪んだ愛とか恋とか……そういうのが好きなんだ……。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
暗くなってきたので終わりにします。