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第一話
「佐伯さん!これ、追加でできたら今日中にお願いね!」
そう言ってすでに山積みの資料の上にポンッと置かれた書類の束を見て、思わずこめかみをつまんだ。
──佐伯由美、25歳。
ゴリゴリのブラック企業OLである。
OLって言い方って、もしかして古い?とか、そんな現実逃避をしないとやっていられないレベルのブラック企業だ。
大学生まで、「なんとかなるさ〜」精神ですべてを過ごしてきた。そのしわ寄せなのか、適当に就活をして受かった企業がこの会社である。
人はみんな優しいのだが、いかんせん業務規模と従業員数が見合っていない。
一人に対して一ではなく、百ほど業務が降ってくるのだ。
多くてもせめて十くらいだろう。
新卒の頃は何度も何度も「辞めてやる」と思っていたが、気づけば私ももう三年目戦士となり、この書類の山を見ても「始まったな…」と呑気に考えながら、こんな空想を働かせる程度にはメンタルが成熟してしまったのであった。




