夜空
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彼女の名前は真琴。
静かな町に住んでいて、空を見上げるのが好きだった。夜空に浮かぶ星々を眺めると、胸が締めつけられるような、言葉にできない感情が湧き上がる。
それは、どこか遠くにいる誰かを想う気持ちだった。
彼女が好きだったのは、同じ町に住む青年、慎一。
彼とは高校時代からの友人で、何度も一緒に夜空を見上げた。
お互いに何も言わなくても、ただ静かに並んで星を見つめる時間が心地よかった。
それだけで私は幸せを感じていた
だが、ある日慎一は遠くの大学に進学することになった。別れの日、彼は真琴に向かってこう言った。
「真琴、これからは遠くなってしまうけれど、僕たちの絆は変わらないよね。」
彼の言葉に、真琴は微笑んだ。
しかしその微笑みの裏には、彼がどれだけ遠くに行ってしまうのかを心の中で感じていた。
彼の背中が小さくなるにつれて、真琴の心は次第に空虚なものになった。
大学生活が始まり、慎一の連絡は減っていった。
最初は忙しいのだろうと思っていたが、時間が経つにつれて真琴は次第に彼との距離を感じるようになった。
もう彼が送ってくれるメッセージも、昔のような温かさが感じられなかった。
ある夜、真琴はふと思い立って慎一に電話をかけた。
「久しぶり。元気にしてる?」
電話の向こうからは少し戸惑ったような沈黙が続いた後、慎一の声がやっと返ってきた。
「うん、元気だよ。でも、最近は忙しくて…」
その一言に、真琴は自分の心が少しずつ崩れていくのを感じた。
彼は確かに忙しかったのだろう。
でも、それ以上に、彼の心はもう自分に向いていないのだと、何となく感じ取ってしまった。
「そうなんだ…」
電話の向こうで、慎一はもう何も言わなかった。
真琴はゆっくりと電話を切り、窓の外に広がる星空を見上げた。
星々はいつでもそこにあったが、彼の存在は、もうどこにも感じることができなかった。
どんなに遠くにいても、昔のように彼の温もりを感じたかった。
けれど、もうそれは叶わぬ願いだと気づいていた。
それでも、彼女は星を見上げ続けた。
そこには、あの日と同じ星空が広がっていたから。
環境が変われば人間関係もかわっていく。
それは仕方ない事かも知れない。
変わらないのはこの夜空だけだった。
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