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日が沈み、夕飯にありつこうとシオンは階段を下りた。
そこには、昼に言っていた通りルカの姿もあった。
ルカはシオンの姿を認めると、軽く会釈をした。
シオンも片手を上げ、挨拶をし、そのままルカの隣に座った。
「ルカは、明日何か用事があるのか?」
「いえ、特別には、何も…町の子供たちに、勉強と剣術らしきものを教える程度です」
「そうか…」
「空いた時間に町を案内いたしましょうか?」
シオンにとって、それは願っても無い申し出だ。
実は、それを頼もうとしていたのだが、ルカが先生と呼ばれていたことを思い出し、時間は取れないのだろうか、と思っていたところだった。
「大きな町ではないので、ゆっくり見積もっても二日もあれば、一通り見て回れます。旅に役立ちそうな物を売っている店なども紹介しますよ」
「ああ、ありがたい」
ルカは、食事を終え、傍らから茶色い瓶を取り出し、一気に飲み干した。
「……酒…ではないな?」
シオンがその瓶を見て尋ねると、ルカは少し困ったように言った。
「薬なんですよ。生まれた時から、ちょっと持病を抱えてまして。決まった時間に薬を飲むんですよ」
「そうか…大変だな」
いや、とルカは首を振った。
「これでも、だいぶましになったので」
自分の指にはめてある青い石に不思議な模様のある指輪をなでながら、面倒な体ですよ、と笑った。
「それでは、明日の、昼頃にここに来ます。サザビィさん、ご馳走様でした」
と、シオンとサザビィに軽く会釈し、帰って行った。