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LoLとの出会い

 さて、どうやってeスポーツ部の募集をやろう? 部活説明会はもう終わってるから、まずはポスターを作る事からやるか。そう考えた速人は、すぐにPCの電源をいれた。このPCはHDDをSSDに乗せ換えているので起動は早い。ほんの十秒もあれば良い。

 とりあえず、Googleでポスターの見本を検索することにした。

 『部活募集 ポスター』そうキーボードで入力し、検索した。するとすぐに大量のポスター画像がモニターに表示される。

 アニメのキャラクターを使ったものが多く見つかるが、著作権など気にしていないのだろうか?

 それとも非営利で、学内で使うだけなので黙認されているのか?

 とりあえず面倒ごとは避けたいので、問題がなさそうなデザインを参考にした。

 ポスターでLoLの楽しさをどうやって伝えるかを考えているとき、ふと初めてLoLと出会った時を思い出した。


 三年前、父、勇人が交通事故で入院していたとき、祖母と一緒に病院へ見舞いに行った。勇人は四人部屋に入っており、ベッドをリクライニングしてノートPCを開いていた。

 二人に気が付くとすぐに声をかけてきた。


「おう速人、見舞いに来てくれたか、ありがとうな」


「お父さん、具合はどう?」


「入院して二週間も経つからだいぶ良くなった。幻肢痛(げんしつう)も収まってきたし」


 そう言うと、膝より下が無い右足を見せた。

 

「幻肢痛って?」


「お父さん、足を切断しただろ。ところが無いはずのつま先が痛かったんだ。そういうのを幻肢痛っていうんだ」


「もう無くなっている所が痛いの?」


「そう、原因はよく分からないんだってさ。何年も痛い人もいるって、お医者さんが言っていた。とりあえず、そうならなくて良かったよ」


「本当? それはよかったね」


「そうそう、義足を作ってもらう事にした。ちゃんとリハビリすれば杖なして歩けるようになるんだってさ。パラリンピックでも目指そうかな? ハ、ハ、ハ」


 速人はすっかり元の父親に戻っている事が嬉しかった。


 もともと陽気な人だったが、事故の後しばらく一言も口を開かず、まったく別人になっていたからだ。


「ところでお父さん、ノートパソコンでやっているのは何のゲーム?」


「ああ、これか。これは『リーグ・オブ・レジェンド』という海外のゲームだよ」


「へぇ~、どんなゲームなの?」


「う~ん、一言で説明するのは難しいな。あえて言うならロールプレイングとアクションとシミュレーションをミックスしたようなゲームなんだ。ちょっとルールが複雑なので、速人には難しいかも知れないな」


「馬鹿にしないでくれるかな。僕も中学生になったんだから、それくらいできるって」


「そうか、そうか、じゃあ、退院したら教えてやるよ」


 LoLとの初めての出会いはこんな感じだった。

 あれから三年。その間にLoLに関しては、父をはるかしのぐ腕前になっていた。

 このゲームの楽しさを皆に伝えたい。そして一緒にプレイして、全国大会にも出場したい。

 速人はそんな事を考えながら、夜遅くまでポスター作りをした。


この作品は https://www.alphapolis.co.jp/novel/361835724/978399492 においてイラスト付きで先行公開しています。

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