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職員室

 この時間帯の職員室は、教員が補習や部活の指導に出かけており、数人しか残っていない。

 電算部顧問の佐藤敏夫(さとう としお)は、いつもの放課後ならPC実習室で資格やプログラミングの指導をしている。しかし、この日は教頭より急な書類作成を頼まれたため職員室で作業をしていた。


「失礼します! 佐藤先生、ちょっと良いですか?」


 速人は職員室の扉を開けると同時に、少し大きめの声で佐藤を呼んだ。

 佐藤はノートPCの手を止めて、速人の方を見た。


「光田君、どうしたんだい? こっちまでへ来なさい」


 速人は速足で佐藤の席の前まで来て話し始めた。


「電算部での活動なんですが、プログラミングとネットサーフィンしか許可されていないですよね。僕はeスポーツがやりたいんです。許可していただけませんか?」


 佐藤は少し困った顔をしながら応えた。


「我が校の電算部は30年以上の歴史があって、情報処理の国家試験の合格率だって七割を超えているんだ。これは大学や専門学校にも引けを取らない実績だ。さらにU18プログラミングコンテストでも毎年全国大会に出場している。

 同じ1年生の安部真理亜さんは中学時代にこのコンテストに入賞している期待の新人だ。君も一緒に頑張って全国大会に出場してみないか?」


「違うんです。僕は資格が取りたいわけでもプログラムコンテストに出場したいわけでもないんです。eスポーツがやりたいんです」


「eスポーツって言ってもゲームだろ? そうだ! Unity(ユニティ)というツールを勉強してゲームを作ってみてはどうかな? 日本ゲーム大賞というのがあって……」


「先生、僕は単にゲーム好きって訳じゃないんです。eスポーツで大会に出たいんです」


 速人は佐藤がeスポーツをやらせたくないという強い意思を感じた。しかし、このまま引き下がるわけにはいかない。意見を押し込むしかないと思った。


「県内でeスポーツ部がある高校はいくつもあるでしょ? うちの学校でもやってもいいんじゃないですか?」


「うん、確かにeスポーツ部があちこちの高校で作られているのは知っている。でも、どの学校でも賛否両論あって概ね保護者からの評判は良くないんだよ」


「賛否って事は賛成の意見だってあるって事じゃないですか?」


「そうは言ってもね……」


「何をもめているのですか?」


 佐藤は声が聞こえた方に振り向いた。


「あっ、校長!」


この作品は https://www.alphapolis.co.jp/novel/361835724/978399492 においてイラスト付きで先行公開しています。

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