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Cafe Shelly

Cafe Shelly 風船が割れた

作者: 日向ひなた

 由紀子が死んだのは一か月ほど前だった。私の目の前で、「佳恵、さよなら」と小さくつぶやいて、金網の向こう側の線路へ身を投げた。ついさっきまで私と一緒に笑いながら歩いていたのに。けれどその笑いは心の奥からのものではなく、無理に笑おうとしていたのは私にもわかった。

 由紀子が死んだ原因、それははっきりしている。由紀子は学校の中でも成績トップで、希望もはっきりしていた。両親は医者で、将来医者になることを小さい頃から願っていた。

 私は由紀子とは小学校以来の友達。彼女の秀才ぶりはつねに近くで見ていた。高校に入り、私は由紀子とは別の学校へ進学した。彼女は有名大学へ何人も進学させている私立の有名校へ。私は地元の県立高校。けれど私たち二人はずっと友達だった。ときどき女の子らしくショッピングを楽しんだり、ファミレスでなんてことない雑談をしたり。由紀子が死んでしまった日もそうだった。

けれどこの日は目的がいつもとは違っていた。由紀子は希望していた大学に落ちてしまった。正直、まさかの出来事だった。滑り止めの大学には合格したものの、ショックは大きかったようだ。けれど私の前では気丈に振舞う由紀子。その姿がいじらしかった。

 そして別れ際、由紀子は線路へ飛び込んだ。

 でもどうして、どうして…

 その思いだけが今も私の頭の中をグルグルとかけめぐっている。そうして私は大学生になった。桜の花もすっかりと散ってしまい、緑の葉っぱが覆い始めた。

「おはよー」

 同級生は明るく私に声をかけてくれる。

「あ、おはよ」

 けれど私はまだ明るく返事をすることができない。きっと周りからは暗い人だと思われているんだろうな。事実、私の気持ちは暗いまま。ふぅっとため息をつく事の方が多い。この晴れない気持ちをなんとかしたい。そう思ってどこかのサークルに入ろうと思ったけれど、足がなかなか向いてくれない。

 そんな感じで一か月が過ぎようとしていた。結局今日も学校が終わったら、どこにも寄らず一人で家に帰る。

 あ、そうだ、お母さんから買い物を頼まれていたんだった。学校近くの大型ドラッグストアへ足を運んだ。頼まれていたのは特売のティッシュとトイレットペーパー。お一人様一セット限りなので、私にも買っておいて欲しいと言われていた。

 商品を手にとりレジに並ぶ。すると目の前にいた女性も同じようにティッシュとトイレットペーパを手にして並んでいる。その女性、年齢は私と同じくらいかな。一見すると幼い顔をしている。けれど、発するオーラはグンと大人びた、いやそれ以上のものがある。

 なんだか不思議な人だ。その女性がレジでお金を払おうとしたとき、

「あと三十八円ですよね。えっと、確か小銭があったはず、あったはず…」

 お財布の小銭入れを一生懸命探し始めた。が…

チャリン、チャリン

 慌ててしまったのか、小銭が財布から何枚かこぼれてしまった。

「あっ、ごめんなさいっ」

 そのとき、さっきまであった大人びたオーラはどこかへ飛んでしまい、可愛げのある女性へと変身してしまった。私は足元に転がった小銭を拾って渡してあげる。

「あ、ありがとうございます。私ってホントおっちょこちょいなんだから」

 舌をペロッと出してグーの手で自分の頭をポカリと叩く仕草は、嫌味のないかわいらしさを感じさせた。その後は私もレジで支払いを済ませ、買ったものを抱えて帰ろうとした。が、さっきの女性が私を待っていてくれていた。

「さっきはありがとうございます。ひょっとして学校はそこ?」

 女性は指をさして私の通う大学を示した。

「あ、はい。今年入ったばかりです」

「えーっ、ってことは私の後輩になるんだ。落ち着いていたから私より年上かと思っちゃった」

 とても可愛らしくて気持ちのいい話し方をしてくる先輩。聞けば、なんとこの学校の四年生ということ。さらにびっくりしたのは、学校に通いながらプロのセラピストとして活動をしているらしい。

「白石由衣っていいます。由衣って呼んでね」

 親しげに話しかけてくる由衣さん。二人ともトイレットペーパーとティッシュを抱えている姿が、我ながらおかしいなって思えた。

「よかったら一度遊びに来てね」

 渡された名刺の裏に地図が載っていた。

「ありがとうございます」

 セラピストか。今の私に必要な人かもしれない。

 由衣さんと別れて一人で家に帰る途中、どうしても心が苦しくなるところがある。由紀子が飛び降りた場所。よりによって、私の家の近く。そして由紀子の家の近くでもある。あの日以来、私はあの場所を通らないようにしている。けれど、どうしても近くを通らないと家には帰ることができない。そこを通る度にどうしても胸がギュッと締め付けられる思いがする。やはり由衣さんに相談してみようかな。

「ただいまー」

「あら、今日も早かったのね」

 母はあの事件以来、私に気を使っているのがわかる。せっかく大学に入ったのに、まだ友達らしい人がいないことを気にしている。少しでも母を安心させなきゃ。その思いから、ついこんなことをポロッとしゃべってしまった。

「今日ね、すごい人と知り合いになっちゃった」

 私はさっきドラッグストアであったことを母に話した。まるで、由衣さんとは前々から友達だったかのように誇張して話をしてしまった。

「へぇ、すごい先輩がいるのね。佳恵ちゃん、いい人とめぐり合ったわね」

 母の言うとおり、とてもいい人とめぐり合ったって思えた。

「うん、今度遊びに行ってみようと思うの」

「それがいいわね、それが」

 母が本当に言いたいことはなんとなくわかった。由衣さんのセラピーを受けてみてはどうか、ということなのだ。私の心の中はすでにその方向に向かっていることは自覚できていた。

 その日の夜は、由衣さんにもらった名刺に書かれているアドレスから由衣さんのホームページやブログを眺めて過ごした。

「へぇ、こんなこともしているんだ。すごいなー」

 そこに書かれていることは、私の目から見ると未知の世界。精神世界のこと、色の世界のこと、夢を持つこと、そして由衣さんのいろんな友達のこと。その中でちょっと面白い記事を見つけた。コーヒーを飲んで未来を見る、という内容。これ、本当かな?

 私はワクワク感を感じていた。こんなに心が弾みだしたのは久しぶりだ。明日、早速由衣さんのところに訪問してみよう。そして翌日、学校の授業が終わると名刺に書かれてある由衣さんの事務所へ足を運んだ。

「あ、いらっしゃーい」

「おじゃまします」

 そこはマンションの一室。白とグリーンに統一された家具がとてもまぶしく見える。

「さ、こちらにどうぞ」

 通された部屋はセラピールームとして使っているところ。アロマの香りがとてもいい。なんかすごく落ち着くな。

「紅茶でいいかな?」

「あ、はい。ありがとうございます」

 由衣さんは紅茶を入れながら私に話しかけてくる。

「昨日はありがとう。佳恵ちゃんと出会えて、私なんだかうれしいの」

「えっ、どうしてですか?」

「んとね、うまく言葉じゃ表現できないんだけど。心の中の私の天使が喜んでるのよ」

 なんだか不思議な表現をする人だな。けれど、その気持ちは今の私にグッときた。まさに私の今の気持ちが由衣さんの表現にぴったりの状態だから。

 それから紅茶を飲みながら由衣さんの話しを聞いた。びっくりしたのは、この世界に入ったきっかけ。

「私ね、恋人を事故で亡くしちゃったの」

 そう語る目は少し寂しそうだった。

「彼、羽賀さんっていうコーチングをやっている人と知りあって。自分もああいった人になりたいって言ってたの。でもバイク事故で死んじゃって。だから私がその意志を受け継いだの。それから心理学とかの勉強をして。気がついたら今みたいになっちゃった」

「そうなんですか。由衣さんってすごいなぁ。だって、まだ大学生なのにこうやってお仕事をしているだなんて」

「ありがとう。でも私がすごいんじゃないの。私は私ができることをやっているだけ。そのときそのときを一生懸命やっていたら、周りから必要とされるようになってきた。この部屋も、ここのオーナーさんがどうしてもやって欲しいからと言って貸してくれたのよ。私は起業するつもりはまだなかったんだけど」

 それがすごい。周りから必要とされる人間になれるだなんて。私はいつまで経ってもぐずぐずしている。だから大学でまだ友達もできていない。

「ところでさ、佳恵ちゃんは今心に引っかかっているものってない?」

 引っかかっているもの、もちろんある。由紀子の死。これがぬぐえない限り、私はずっと今の殻に閉じこもったまま。その事を話してみようかな。由衣さんだったらなんとかしてくれるかもしれない。

「あの…私の話し、聞いてもらってもいいですか?」

「うん、いいわよ」

 由衣さんの笑顔はすべてを受け入れてくれる。なんだか安心できるな。

 私は由紀子のことを話し始めた。大親友だったこと。高校に入ってからは別の学校に行ったこと。でも、ときどき会って遊んでいたこと。その由紀子が希望の大学受験に失敗したこと。そして、私の目の前で自らの命を絶ったこと。

「そっか、佳恵ちゃんにそんなことがあったんだね。苦しかったんだね」

 由衣さんは私の心を素直に受け止めてくれた。話し終わってから涙が出てきた。それは悲しみの涙ではなく、私の気持ちをわかってくれた喜びの涙。

「それでだったのかな。昨日、なんとなく佳恵ちゃんが気になったの。だからドラッグストアで待ってたの。声をかけなきゃって感じちゃって。私と同じ匂いがするなって思ってさ」

 そっか、由衣さんも恋人を亡くしてたんだ。けれど私は由衣さんのようには振る舞えない。どうしたらいいのかな。そのことを由衣さんに話してみた。

「う~ん、そうだな…ところで佳恵ちゃんは大学で何を学んで、将来どんなことをしたいと思ってるの?」

 将来? それを聞かれて言葉に詰まった。そんなこと考えてない。

「私、何のために大学に入ったんだろう…」

 ボソリとつぶやく私。なんだか周りに流されるような感じで、地元だから、学力が見合っているからということで今の大学を選んだ。大学に行くのが当たり前という感覚で今ここにいる。

「由衣さん、私今のままじゃだめなんですよね。未来に夢や希望があるわけじゃないし、いつまでも由紀子のことを引きずっていたら…そう思うと、なんだか押しつぶされそうになっちゃう」

 急に胸がキュッと苦しくなってきた。

「大丈夫、大丈夫よ。私だって大学一年生の頃は似たようなものだったし。それに、啓ちゃん…私の恋人が死んじゃった時も、何も考えられなかったの。でもね、周りの人が助けてくれた。そして未来に希望を与えてくれた。だから今、私はこうやってここにいられるの。その恩返しのために、私はセラピストとして出来ることをやらせてもらっている。今回は佳恵ちゃんを通じてみんなに恩返しをする番がまわってきた。そう思っているわ」

 由衣さんの言葉はとても心強かった。そばにいると安心できるお姉さんだな。

「そうだ、今日はまだ時間ある?」

「はい、大丈夫です」

「じゃぁ、ちょっと面白いところに行こうか」

「面白いところ?」

「ま、ついてきて」

 私は由衣さんの案内するところに、言われるがままについていくことにした。行った先は街中のとある通り。

「あ、ここ私好きなんです」

 街中にありながらも、ちょっと隠れた路地って感じがするところ。道幅は車一台が通る程度。道はパステル色のタイルで敷き詰められている。道の両側にはブロックでできた花壇があり、今は黄色のかわいい花が咲いている。

「佳恵ちゃん、この通りはよく来てたんだ」

「はい、由紀子と時々…」

 ここで言葉が詰まってしまった。急に由紀子のことを思い出してしまったから。由紀子とよく足を運んだ雑貨屋。ときどき服を見ては、いつか大人になったら買いに来ようねと言っていたブティック。入口付近にあるホットドッグ屋でもよく買い食いしてたな。そんなに前のことじゃないのに、ずいぶん昔のことのように思える。由紀子、今はもういないんだ…。

「ここよ、ここの二階」

 思わず涙ぐみそうになったときに、由衣さんがそう声をかけてくれた。

「カフェ・シェリーっていうの。ここのコーヒー、格別よ」

 このときに思い出した。昨日、由衣さんのブログに載っていた未来を見ることができるコーヒーのこと。それが体験できるのかな?

 由衣さんが先導して、ビルの二階に上がっていく。一歩一歩階段を上がるごとに、ちょっとした期待が高まってくる。


カラン、コロン、カラン


 由衣さんがドアを開くと、心地よいカウベルの音が。同時にいらっしゃいませの声。そして甘い香りが私を包み込んだ。なんだか一気に心が安らぐ。

「マスター、マイさん、こんにちは」

「あ、由衣ちゃん。今日はお友達と一緒?」

「うん、大学の後輩になるの」

 由衣さんはここのお店の方と知り合いみたい。気軽に話をしている。

「こちらは佳恵ちゃん。ね、マスター、よかったら、お願い」

 由衣さんの言葉に、マスターは笑顔でこっくりとうなづいて応えた。お願いって、何のことだろう?

「じゃ、こちらへどうぞ」

 マスターから案内されたのはカウンター席。この喫茶店、席は窓際に半円型のテーブルに四席と真ん中の丸テーブルに三席、そしてカウンターに四席しかない。とても小さな喫茶店。けれど、なにかわからないけれどこの空間にはギュッと詰まったものがある。なんだろう、それって。

「シェリー・ブレンド二つ、お願いします」

「かしこまりました」

 私がキョロキョロしていると、由衣さんはマスターに注文をしてくれた。

「落ち着く喫茶店でしょ」

「あ、はい。なんか不思議な空間ですね」

「うふふ、これからもっと不思議なことが起こるわよ。ところで、お友達の由紀子さんの話をもう少し聞かせてくれる?」

「どんなことでしょうか?」

「ちょっとつらいかもしれないけれど。由紀子さん、希望する大学にはかなり行きたいと思っていたの?」

「うぅん、本人が希望していたというよりは、両親の希望の方が強かったような気がします。相当プレッシャーがかけられていたんじゃないかな」

「由紀子さんのご両親はどんな方だったの?」

「二人とも医者で。開業医をやっていて、由紀子はそこの跡継ぎとして期待されていたと思います。由紀子は一人っ子なんですよね」

「そっか、なるほど。由紀子さん、風船が割れちゃったんだ」

「えっ、それどういう意味ですか?」

 風船が割れたって、どういうことなんだろう? ちょうどそのとき、コーヒーが運ばれてきた。

「由紀子さんの風船を説明する前に、佳恵ちゃんの風船をふくらませないとね。さ、飲んでみて」

 由衣さんがそう促すので、私は魔法のコーヒー、シェリー・ブレンドに口をつけることにした。一体どんな味がするんだろう? 期待をもちつつ、私はゆっくりとコーヒーカップに口をつけた。

 私はコーヒーというのをあまり飲みなれていない。どちらかと言えば紅茶派。だからだろうか、最初に口に入れた時の感想は

「苦いっ」

だった。けれど、その苦味はいつの間にかどこかへ飛んでいった。その後に口の中に広がってきたのは、何かがふくらむ感覚。そういえばさっき由衣さんが風船の話しをしてたな。まるで、心のなかにあった風船が大きく、大きく、さらに大きくふくらんでいく、そんな感覚。

 そのとき気づいた。私、何かに抑圧されていたんだ。大きくふくらみたいのに、何かにギュって押されていたんだ。それを取り払い、もっと大きく膨らんでいきたい。そんなことが頭の中で浮かんできた。

「どんな味がしたかな?」

 由衣さんの言葉で目の前に現実が戻ってきた。あれっ、今の感覚はなんだったんだろう?

「うふふ、なんだか不思議そうな顔してるね。これがシェリー・ブレンドの魔法なの。今味わった感覚、よかったら教えてくれるかな?」

「あ、はい、えっとですね…」

 なんだか狐につままれたような感じがしながらも、さっき感じた風船が大きく膨らんでいく感覚の話をした。そして、何かに抑圧されていたような感じがしていることも。

「そっか、心が抑圧されている、か」

 由衣さんのつぶやきにマスターがこんな言葉を返した。

「風船がつぶされていたんだね」

 また風船だ。

「あの…風船ってどういう意味なんですか?」

 思わず私は質問してしまった。するとマスターはちょっと待っててと言って店の奥に一度引っ込んでいった。すぐに戻ってきたが、そのとき手には風船が握られていた。

「じゃぁ私から説明しよう。人の心にはやる気というものがあるよね。それは見えないものだから、風船にたとえてみよう」

 そう言ってマスターは風船をふくらませ胸に掲げた。

「この風船がやる気。これが大きければやる気があって活気づいている状態。しかし、こうやって小さくなると…」

 マスターは風船の口を緩め空気を抜いて風船を小さくしていった。

「この状態はやる気が無い、失われた状態だ」

 マスターは再び風船をもとの大きさにふくらませた。

「マイ、ちょっと手伝ってくれるか?」

 はぁい、と返事をして店員のお姉さんがカウンターに入ってきた。

「マイ、この風船を両手で押さえてくれるか」

 店員のマイさんが風船を両手で挟み込む。すると風船はいびつな形になる。

「わぁ、怖い怖い…」

 今にも割れそうな風船。私は手で耳栓をして、思わず身をのけぞらせてしまった。

「大丈夫だよ。この風船、意外と丈夫だからね。ところで、今風船はどんな形をしているかな?」

「どんなって…つぶれてへんな形をしています」

 私は身をのけぞらせたまま、マスターの問いかけに答えた。

「そのとおりだね。これはマイが風船に圧力をかけたから。この圧力というのが、私たちが感じているストレスなんだよ。ストレスを感じると、このようにストレスの無い方法へ逃げよう、逃げようとしてしまうだろう」

 あ、なるほど、その通りだ。

「まだ他にもあるんだよ。ストレスを受けると…」

 今度は見ていると、みるみる風船が小さくなっていく。どうやらマスターは風船の口を緩めて空気を抜いたようだ。

「ほら、小っちゃくなった。この状態をさっきなんと言ったか覚えているかな?」

「えっと、やる気が無い状態、じゃなかったですか?」

「そのとおり。ストレスを感じると、エネルギー漏れを起こしてやる気が失われるというのが二つ目のケースだ。この状態を見て、さらに風船に圧力、つまり相手にストレスを与えてしまうと終いには…」

 最後には完全に風船から空気が抜けてしまった。

「こうなると、なかなか回復できなくなる。今、この状態の人が多いのを知っているかい?」

「しぼんでしまった状態の人が多い…」

 どういうことだろう。エネルギーが漏れてしまって、回復できなくなる。私が考え込んでいると、由衣さんがヒントをくれた。

「心の病、と言われているものよね」

 この言葉でピンときた。

「うつ、ですか?」

「そのとおり。まぁうつの原因はさまざまだけれど、多いのは外部からの圧力、ストレスに耐えられなくて、心のエネルギーが漏れてしまった状態なんだ。エネルギーがないから、体が自動的に省エネ運転モードに入る。そのため、行動意欲が湧かなくなってしまい、やる気がなくなってしまう」

 そっか、そういう状態の人が今すごく多いのはわかるな。

「私のところにも、うつの人が相談にくることは多いの。けれど、私一人じゃ残念ながら治すことはできないわ。そういう方が来た場合は、必ず私が知っている専門のお医者さんを紹介して、二人三脚でその方を診るの。うつは薬の処方と周りの正しいコミュニケーションがあれば、かならず治る病気なのよ」

 由衣さんの言葉で少し気持ちが軽くなった。というのも、私はうつではないかと自分を疑っていたから。由衣さんと知り合ったことで、なにかあったら守ってもらえるという気持ちが高まってきた。

「そしてもう一つ…」

 マスターは風船をもう一度ふくらませた。

「マイ、もう一度風船を手で挟んでくれ」

 マイさんはさっきと同じように、いやさっきよりももっと力を入れて風船を挟み込んだ。私はまた耳をふさいでのけぞった。

「このままだと、最後にはどうなると思う?」

「どうなるって…うわっ、こわいっ…わ、割れちゃいますよね」

「大丈夫だよ。この風船、結構丈夫だから。でも、ずっと風船に圧力をかけ続けると…」

 パァン!

 風船が突然、大きな音を立てて破裂してしまった。これにはお店にいた他のお客さんもびっくり。

「あはは、驚かせてすいません」

 マスターは他のお客さんに笑顔で謝っていた。そして私を見つめて言葉を続けた。

「そう、今の通り最後には風船は割れてしまうんだよ。これは心も同じこと」

ここで由衣さんの言葉を思い出した。由紀子の風船が割れた。ひょっとしてこのことだったのだろうか。

「あの…風船が割れるって、人に当てはめるとどういうことなんでしょうか?」

 マスターに代わって、由衣さんが私に解説をしてくれた。

「これは、ガマンにガマンを重ねた結果起きてしまうことなの。今までおとなしかった人が突然暴れだす、なんてことあるでしょ」

「あ、それなら高校のときにありました。おとなしかった同級生の隆くんが、ちょっといじられキャラだったんです。でもある日、いいかげんにしろって大きな声でわめいたことがあって。あのときはクラスのみんな、目を丸くしてしまいました」

「そうね、まだそれは軽い方かもしれない。そういうのをなんて言うか知ってる?」

「えっ、そのときはみんな、隆くんが突然キレちゃったって言ってたけど」

「そう、キレるっていう行為がこれに当たるの。さっき軽い方だって言ったのは、まだ他の人に被害が及んでいないから。この風船の破裂がひどくなると、相手に暴力をふるったり、さらにひどくなると殺人なんて行為に至ることもあるのよ」

 それはわかる気がする。隆くんもそのとき一人の同級生に掴みかかった。けれど殴りつけるところまではいかなかったけれど、そうなってもおかしくない雰囲気だったから。でもここで一つ疑問が湧いた。

「キレるっていうのはわかりました。でも由紀子は他の人に被害を及ぼしたわけじゃないですよ。だって、由紀子は自分で命を絶ったんですから…」

 すると今度はマスターが私に説明を始めた。

「それはエネルギーの方向の問題だね」

「エネルギーの方向?」

「そう、エネルギーの方向。これが外に向けば、人を傷つけたり被害を及ぼしたりする行動に出る。しかし、内側に向けば…」

 マスターは親指で自分を指して、そのあと首を斬るジェスチャーをした。これが何を意味しているのかはわかった。

「つまり、由紀子は内側に向く行動をしちゃったんだ。でも、由紀子は何を我慢していたの? 由紀子の風船はどうして割れちゃったの?」

 私の声は大きくなり、まるでその答えを懇願するかのように叫んでしまった。

「佳恵ちゃん、落ち着いて。それを説明する前に、もう一度シェリー・ブレンドを飲んでみて」

 由衣さんの言葉に私は素直に従った。少し冷めてしまったシェリー・ブレンドを私は一気に飲み干した。そのとき、私は由紀子の姿を見た。

 あの見慣れた笑顔。しかし、その奥には何か疲れが感じられた。由紀子、無理して笑わなくていいんだよ。泣きたいときには泣いて、怒りたいときには怒って、そして笑いたいときに思いっきり笑えばいいの。そう言葉を掛けたくなった私がいた。

 そしてわかった。私がそれをやっていない。泣くことも、怒ることも、笑うことも思い切ってやっていない。自分の感情を素直に受け止めていない。そんな私がいる。どうしてそんな私がいるの? そう思ったとき、ふと現れたのが由衣さんの顔。その顔を見ていると、私にかかっていた圧力がふぅっと抜けていく、そんな感じがした。気が休まる、心が洗われる、体の力が抜けリラックスできる。由衣さんの存在がいまの私にとっては救いとなっている。由衣さんがいなければ、私の風船は破裂してしまったかもしれない。

 そしてわかった。由紀子の風船がどうして破裂したのか。ここでパッと目が覚めた。

「由衣さん、わかりました。どうして由紀子の風船が割れてしまったのか。私は今日、由衣さんに話を聴いてもらってすごく心が軽くなった。それと同じことをやればよかったのに。私、あのとき由紀子を励まそうとしていろいろな言葉をかけてあげたの。元気づけようとして、大丈夫大丈夫、がんばっていこうって何度も言った。でも、由紀子の話しを聴いてあげなかった。私は由紀子を励ますばかりで、由紀子の話しをさえぎってた。由紀子はいつも私の話しを聴いてくれていたのに。どうして私は話を聴いてあげられなかったの。どうしてもっと早くそのことに気付かなかったの。由紀子をあんなふうに追いつめたのは私なんだ。私のせいで由紀子は、由紀子は…」

 涙がポロポロと流れてきた。止めようと思っても、どんどん、どんどん目からこぼれてくる。私のせいで由紀子は死んでしまった。自ら命を絶ってしまった。その思いだけが私の中でグルグルと廻っていた。

 しばらくして気づいた。背中が温かい。そこに気づいた瞬間、スゥーッと心が落ち着いてきた。由衣さんが背中にそっと手を当ててくれている。何も言わず、ただ背中に手を当ててくれているだけ。それだけなのに、たったそれだけなのに、私にかかっていた抑圧的なものがどこかへ飛んで行ってしまった。そして気づいたら涙は止まっていた。

「佳恵ちゃん、いいのよ、今のその気持ちはあなたの心の奥にあった自分でも気づいていなかったもの。それがようやく表に出てきたのね。大丈夫、その心の奥にあったものを天に飛ばしてしまいましょう」

 すると由衣さんは私をぎゅっと抱きしめた。そして小さな声で、ささやくように私に語りかけてくれる。

「大丈夫、大丈夫。もう大丈夫。私たちがついているから。もうあなたは自由なの。さぁ、大きくはばたきましょう」

 その声は私の心にどんどん染み入る。なんてやさしい声。まるでお母さんに抱っこされているような感覚。あぁ、なんだか幸せ。

 また涙があふれてきた。今度は悲しみじゃない、喜びの涙。涙がでれば出るほど、心の中の風船にかけられていた圧力がどんどん減っていく。気がつけば涙は出なくなっていた。その代わりに、心の奥からものすごいエネルギーが湧いてきた。そのエネルギーは私に最高のプレゼントを与えてくれた。

「佳恵ちゃん、その笑顔とてもステキだよ」

 そのプレゼントとは、笑顔。

「はい、ありがとうございます」

 私は由衣さんの言葉を素直に受け止めることができた。

「うん、よかった、よかった。佳恵ちゃん、今最高に輝いているよ」

 マスターからもお褒めの言葉をもらった。

「これでもう大丈夫。もし不安や恐れが襲ってきたら、いつでも私に連絡して。

力になるから」

「はい、ありがとうございます。あ、でも由衣さんってプロのセラピストですよね。ちゃんとお礼をしなきゃ…」

 私はあわてて財布を取り出そうとした。が、由衣さんは笑って私にこう言ってくれた。

「あはは、心配はいらないわよ。これはあくまでもお友達と会話をしてそうなっただけのことなんだから。私がお金をいただくのは、ちゃんと予約をしてその目的でいらした方だけ。今日は佳恵ちゃんとコーヒーを飲みに来たんだから、ね」

「えっ、でも…」

 私が躊躇していると、マスターがこんな言葉を与えてくれた。

「佳恵ちゃん、こういうときは笑顔で『ありがとう』って言うんだよ。相手が与えてくれた行為を素直に受け止める。そうすると相手も喜んでくれるよ。相手が与えてくれた行為を拒否するってことは、相手そのものを拒否しているのと同じなんだよ。本当の謙虚さって、素直に受け止めることだと私は思うな」

 また心がスーっと軽くなった。そうか、そうなんだ。このときお母さんのことが頭に浮かんだ。

 お母さん、由紀子のこと以来私にとても気を遣ってくれている。私はそれを「もういいよ」って素直に受け取らず拒否をしていた。なんだかお母さんに悪くて。でもそれは逆だったんだ。ひょっとしたらそのことがお母さんの心の風船に圧力をかけているのかもしれない。いや、そうに違いない。だって、私が拒否をするとお母さんの顔は必ず悲しそうになるから。

「はい、わかりました。じゃぁ由衣さん、今日はご好意に甘えます。ありがとうございます」

「うん、佳恵ちゃん、なんだか輝いてるよ。その笑顔、とてもステキ」

「えっ、そ、そんなことないですよ」

 私は顔を赤らめて由衣さんの言葉を拒否してしまった。

「佳恵ちゃん、ほら、こういうときこそ」

 マスターの言葉にハッとさせられた。そうだ、こういうときこそありがとうと素直に受け止めなきゃ。

「あ、ありがとうございます」

 なんだか恥ずかしい。けれど、気持ちがいい。また心の風船が少し膨らんだ気がした。由衣さんやマスターとの素敵な時間を味わって、私は満足感でいっぱいになった。

 そしてその日の夜。

「お母さん、今日ね、由衣さんにステキなところに連れていってもらったんだ」

 食事をしながら今日あった出来事をお母さんに話した。お母さんはにこやかに私の話しに耳を傾けてくれる。そして一通り話し終えたとき、お母さんは突然泣き出した。

「ど、どうしたの?」

「ごめんなさいね。あなたがとても楽しそうに話すから。お母さん、うれしくて、うれしくて…」

 お母さんの涙は私の心にとても響いた。今までどれだけお母さんに心配をかけてきたのだろう。そのたびにお母さんの心の風船に圧力をかけてきたんだ。それが今、少しかもしれないけれどお母さんの心の風船が広がっているんだ。お母さんのためにも、これからは笑顔で過ごさなきゃ。

「今まで心配かけてごめんなさいでも、もう心配はいらないよ。私、大丈夫だから」

「そうかい、そうかい」

 お母さんはまだ涙ぐんでいる。けれど、その涙は私がカフェ・シェリーで流したものと一緒。悲しみではなく喜びの涙。私もお母さんの涙を見て、一緒に涙を流した。泣きながらではなく、笑いながらの涙を。

 翌日、学校に行く途中で由衣さんに出会った。いや、学校の正門で由衣さんが私を待っていたと言った方が正解のようだ。

「あ、佳恵ちゃん!」

 私を見つけるなり、手を振りながら駆け寄ってくる由衣さん。その様子は無邪気で、私よりも年下の可愛らしい女性を感じさせる。昨日、カフェ・シェリーで私と話した由衣さんとはまた別人の感じがする。

「由衣さん、おはようございます」

「おはよー、あたっ!」

 由衣さん、私に近づく直前でおもいっきりこけてしまった。

「由衣さん、大丈夫?」

「あたた、またやっちゃった。私、なぜだかなんでもないところでよくこけちゃうのよね。てへっ」

 周りの学生はクスクス笑っている。けれど由衣さん、そんなことお構いなし。

「あのね、あのね、昨日お客さんからおいしいロールケーキをいただいたの。今日佳恵ちゃんと一緒に食べたいなって思って。ね、放課後時間ある?」

 そう語る目はらんらんと輝いている。

「はい、大丈夫です」

「よかった。あ、私の友達も一緒にさそっちゃっても大丈夫かな?」

「えぇ、大丈夫ですけど…」

 由衣さんの友達も一緒か。知らない人と話をするのはちょっと苦手。ここで心の風船にほんの少しだけ圧力がかかった。

「怖い?」

 由衣さんは私の心を見透かしたかのように、そう質問してきた。

「えっ、ど、どうして?」

「佳恵ちゃんってすぐ顔に出るのよね。でも大丈夫よ。それが佳恵ちゃんのチャームポイントでもあるの」

「チャームポイントって、これがですか?」

「そう。人ってね、言葉だけじゃ相手の気持ちは理解できないの。目から受ける情報を重視しちゃうのよ。だから佳恵ちゃんは目で自分の気持ちを相手にわからせる力があるの。今はちょっと困った顔をしちゃったから。これを良い方向に使えば、佳恵ちゃんは人に気持ちを伝える名人になれるわよ」

「良い方向?」

「うん。ほら、笑ってごらん。そしたら、この人いつもニコニコして気持ちのいい人だなって周りが思ってくれるから」

 そう言って由衣さんはニコッと笑う。あ、このことなんだ。だから由衣さんには抵抗なくなんでも話せちゃう。

「こ、こうですか?」

 私も由衣さんの真似をしてニコッと笑ってみる。

「うん、いいっ、佳恵ちゃん、すっごくいいよ」

 そんなふうに褒められて、私は心の奥から笑顔になれた。朝のそんな出来事のおかげか、今日は周りから声をかけられることが多かった。なんと、大学に入って初めて食事にも誘われた。なんだかうれしいことばかり起きている

 その日の放課後、私は由衣さんの事務所へと向かうことに。手ぶらもなんだから、おみやげでも。でもロールケーキをいただくのにケーキのおみやげってのもおかしいし。何がいいのか思いつかず、結局お菓子を三袋ほど買うことに。買ったのは由衣さんと初めて出会ったドラッグストア。ここ、食料品も安いのよね。

 レジで並んでいると、目の前には背の高い男性が。年齢は私と同じくらいかな。カゴにはトイレットペーパーやティッシュなどの日用品がいっぱい入っている。ありゃ、これは時間かかりそうかな。と、そのとき。

 チャリン、チャリン

 その男性が財布を広げた途端、小銭が何枚かこぼれおちた。

「あっ」

 男性はあわてて小銭を拾い集め始める。私も一緒になって小銭を集める。

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます。オレってホントおっちょこちょいだからなぁ」

 あれっ、これって由衣さんの時と同じパターン。その後もその男性が気になって。私の買い物を済ませたら、急いでその男性を追いかけてしまった。

「あの…」

「あ、さっきはありがとうございます」

「お荷物、多いですね」

「あ、はい。今年から一人暮らしなもので。今までは実家から送ってもらったものを使ってたんですけど、早くも切れちゃって。初めてですよ、トイレットペーパーとか買ったのは」

「じゃぁ、大学一年生?」

「そうです」

「実は私もなの」

 気がついたらこんな感じで会話を交わす私がいた。すっごく不思議。今までは絶対にそんなことできなかったのに。話していくうちに、その男性のアパートが由衣さんのオフィスのすぐ近くだということがわかった。よし、ちょっと思い切ったことやっちゃおう。

「ねぇ、今から時間ありますか?」

「あ、はい」

「私、知り合いの先輩のところに行くんですけど、一緒にどうですか? とても頼りになる人で、ぜひ紹介してみたいんです」

 わぁ、言っちゃった。なんか女性のほうから大胆にデートに誘ってるみたいになっちゃったな。それに由衣さんに確認もしないまま誘っちゃったし。

「え、いいんですか? 実はオレ、こっちにきてまだ友達らしい人がいなくて…すごくうれしいです」

 その男性、甲斐利樹くんっていうんだけど、聞けばかなり遠くからやってきたらしい。見た目は爽やかなんだけど、内気な性格でなかなか友達を作るのが難しかったとか。一ヶ月経った今も一人でいることが多いらしい。なんか私と一緒だな。さらにこんな話しもしてくれた。

「実はオレ、親から逃げ出してきたんだ」

「それ、どういうこと?」

「親はオレに家業を継がせたくて。家は老舗の着物屋で。早くからそのつもりでいろいろと教え込まれてたんだ。大学も地元の経済学部に行かせて、早くから経営について学ばせようと思ったみたいで。でもホントはオレ、外国に行くのが夢で。海外でいろんな人と交わって仕事がしてみたいんだ。青年海外協力に応募して、アフリカで仕事をしてみたい。そのためにこの大学の外国語科に入ったんだ。でも…」

 利樹くんは言葉をつぐんだ。すぐにわかった。親の言いなりになりたくない利樹くんのささやかな反抗。それが遠く離れたこの地の大学に進学したこと。けれど、最後は親に逆らえない。その葛藤の中にあるんだ。利樹くん、今心の風船に圧力がかかっているんだ。風船、逃げの状態にあるんだな。でもこれが破裂してしまわないようにしなきゃ。ここで私はあることが頭にひらめいた。

「あのさ、今度おもしろいところに行かない?」

「おもしろいところ?」

「うん。そこね、喫茶店なんだけどすっごく気のいいマスターと、そしてとびっきりのコーヒーがあるんだ」

「コーヒーか、結構好きだな」

「じゃぁ決まりね。そこに行けば、利樹くんの心の風船もきっと大きくなるわよ」

「心の風船?」

「そう、心の風船。実はね、私は…」

 ここで私は自分が経験したことを話した。親友の由紀子の自殺、学校に入って友達ができなかったこと、由衣さんとの出会い、そしてカフェ・シェリーでのこと。

「そんなことがあったなんて、そんな風には見えないなぁ。佳恵さん、すっごく明るいし。それに笑顔がとてもステキだし」

「えへっ、ありがとう。あ、由衣さんところに行かなきゃ。利樹くんもきっと由衣さんと気が合うと思うの」

「今の話を聞いていたら、なんだか心の風船が少し膨らんだ気がしたよ。じゃぁ由衣さんのところにご一緒させてもらおうっと」

 今、私の心の風船はとっても大きく膨らんでいる。未来への希望と周りへの感謝。気持ちも足取りも軽く、どこまでも進んで行けそうな気がする。

 もっと沢山の人の風船をふくらませてあげたいな。



<風船が割れた 完>

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