4話:店主の葬儀と経営者へ
その後、交通事故による即死なので、警察の指定医による検視が必要ですので、検死が終わり次第、指定医から死亡診断書が交付される迄は、お待ちいただく事になりますと言われた。それを聞いて、それまでどうしたら良いか聞いた。
すると、連絡先の電話番号を教えていただき、こちらから連絡しますと言った。いつ頃までに死亡診断書が出ますかと聞くと今日の15時まではかかると言った。その話を鹿島美鈴さんにすると、仕方ないから店に戻りましょうと話した。
その後、タクシーを呼んで、喫茶店・美鈴へ戻った。そして少し冷静さを取り戻した美鈴さんが、まず、店の入り口に休業の看板を出し3人の子供達の面倒見ていただいていた5人の常連さんにお礼を言った。
お代は、結構ですので本当に助かりましたありがとうございますと、お礼を言うと5人の常連さん達が、このたびは大変だったね、気を落とさずにねと言い、出来るだけ協力するから、言って下さいと話して,帰っていった。
既に昼過ぎになり美鈴さんが、冷蔵庫を空けてトースト、目玉焼きを作り紅茶を入れて子供達と、塚田守と一緒に食べた。その後、早く、旦那の実家、親戚に電話しないと駄目ですよねと、塚田守に聞くので、死亡診断書を受け取ってからで良いと伝えた。
旦那さんが、生命保険入ってましたかと聞くと、入ってましたと言うので、死亡診断書をもらったら、生命保険会社に電話する必要もありますねと教えた。後は、旦那さんの名義の銀行口座の金を、一定の期間のうちに美鈴さんの口座に移してと言った。
その他、役所へ行き、必要書類を聞き出して書いて提出する。それらは、結構面倒ですから、良かったら、私は、今、仕事してないので手伝いますよと塚田守が言うと、それは本当に心強いと、言ってくれた。
そうして、14時過ぎ、死亡診断書が出来たと言うので、塚田守が、子供達と待ってるから、病院に行ってもらってきてと言った。15時頃、帰って来て、彼女が、旦那さんの実家、自分の実家、取引先、旦那の友人に電話をした。
電話している間に、塚田守が、近くの葬儀屋を調べて、携帯電話で葬儀の日程の話をしていた。美鈴さんが電話を終わると塚田守が、葬儀は、一番早くて4日後の2月7日と言われた事を伝えた。次に葬式は何人位と聞くと20人位だと言った。
葬式の内容について、今日にでも、ここに葬儀社の人に来てもらうかと聞くと、そうしましょうというので、塚田守は、今日は、付き合うよと言うと、悪いわねと美鈴さんが言った。30分位して、葬儀社の人が店に来て葬儀の形式と費用を打ち合わせた。
その後、葬儀場は、立川葬儀場になると言われ2月7日10時からだと言った。もし必要なら、お通夜の場所も借りられますがと言うと、どうしましょうと言い、今、どこに住んでるのと塚田守が聞くと小さなアパートと言った。
そこで、借りた方が良いとすすめ、8畳2間、借りる事にした。そして、近くにあったナプキンを広げ、鉛筆で、葬式の案内状を簡単に書き葬儀社の人に聞いて手直しした。それを今日家に帰ったらパソコンに入力して往復はがきを買い印刷すると言った。。
何枚必要だと塚田が、聞くと20枚と言うので了解した。明日中には、出せるように持ってくると言った。そして立川葬儀場のパンフレットもらって葬儀の日時とお通夜に出るかどうか、いて欲しいと、美鈴さんに伝えた。
彼女が、実家と親戚,友人に電話をし始め、1時間程で、終了した。お通夜には、6人来るというので、何とかなるだろうと伝えた。
そして夜19過ぎになり食事してから帰りましょうと塚田守が言うとわかりましたと語った。美鈴さんが、店を片付けて鍵をかけて出てきた。そして、近くのレストランに入って子どの食べやすいものなど、夕飯を注文して食べようと伝えた。
塚田守が、支払いは、俺、株で儲けたから払うよと言って支払った。何から何まで、本当にご迷惑かけて済みませんと美鈴さんが言うので、私は、迷惑だとは思ってませんからと笑いながら言った。こんな可愛い子供達が、いるんだからしっかり生きてと言った。
そして、握手をして別れた。その後、塚田守は、実家に帰り、ゆっくり風呂に入りながら、俺も、考えて見れば、もう今年で25歳か結婚していても、いい年だなーと、いつになく神妙な気持ちになった。今日の事件と言い人生、一寸先は闇と言うからと、いろいろ思いを巡らせた。
しかし、美鈴さんは、若く見えるなーと思い出した。翌日も8時半に起きて、ゆっくり新聞を見て10時開店の駅前の喫茶店「美鈴」へ行くと看板が上がり営業を始めていた。おはようございますと、入ると、昨日は、本当にお世話になりましたと言った。
そこで、堅苦しい、挨拶は、よせよと塚田が、照れた。それより葬式が終わるまでは、付き合うから心配するなと言った。そのうち常連さん達が、数人、入ってきて、すっかり話を聞いた人が多く、入る度に、今回は、大変だったねーと言った。
そんな挨拶ばかりだった。昨日いた、おばあさんもやってきて、気を落とさないでねと言い、何か袋を渡した。美鈴さんが、何ですかこれ、と言うと、心ばかりのお悔やみの気持ちだよ、これから金銭的に困るから、足しにしてくれと言った。
その話を聞いて、数人が、私もと渡しに来てくれた。これを見ていた美鈴さんは、呆然として本当にありがとうございますと深々と頭を下げた。すると、昨日、留守を守ってくれた、おばあさんの1人が、美鈴さんを呼んで対面で座った。
「人はね、優しくされた人には、ちゃんと、お返しするもんだ」
「お返しもらえる人も、もらえない人も、それは、その人の心根一つなんだよ」と、諭すように言うと、美鈴さんは、号泣して、化粧がすっかり、落ちてしまった。
それを見ていた塚田守は、席を立ち、美鈴さんに化粧を直してこいと言い直したら、モーニングセットを作ってと指示した。僕は、珈琲と紅茶を入れてやるからと笑いながら言った。そして、大きなヤカンにお湯を沸かし始めた。
10分位して、化粧を直して、ちょっと待ってて下さいよと言って、手早く、トーストを次々の焼いた。長女の和美さんがミルクとジャムとバターを用意した。お湯が沸くと小さな口の珈琲用のヤカンにお湯を入れた。ひいた珈琲豆を濾紙の上に入れて、お湯を注ぎ入れた。
十分に珈琲にお湯を含ませ30秒後、お湯を少し入れると、珈琲の粉が盛り上がってきた。良い珈琲の臭いが立ちこめ、1分後に、勢い良く、お湯を回し入れて、下の珈琲フラスコがいっぱいになった。次に、暖めた珈琲カップに珈琲を入れはじめた。
並行して紅茶用の硝子容器に茶葉を入れて十分に沸騰したお湯を入れると茶葉が、踊り出し湯が茶褐色になった。約1分半で、完成。次々と、カップに入れて、お客さんの元に届けて、そのうちに、トーストが、完成し、30分程で8人分のモーニングセットが出来た。