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Ospite ―オスピテ―

作者: Falco

改行が少なく、携帯小説慣れしている人は、読みにくいかもしれません。私自身が、本派なので改行はあまりいれませんでした。


空は快晴。雲一つない。

今日もここは平和である。



とある、街中に一人の男の子がいた。建ちならぶ、家のあいだにある道路を、木の枝をふり回し、彼は歩いている。どうやら、黒いランドセルの背負いようからして、学校の帰りのようだ。よごれた青いジーンズの短パンや、白いティーシャツは、家に帰宅したら母親にしかられるだろう。

男の子は、道沿いにはえている長い雑草をつかむと、ブチとくきの半分ほどでちぎった。一度立ち止まり、木の枝を見てから、むしり取った雑草を見る。どちらかを、捨てるか、捨てまいかを、なやんでいるのだろう。

男の子は、よし、とつぶやくと取ったばかりの草を道路に捨て、また歩きだした。どうやら、木の枝は捨てたくないらしい。

たれっぱなしの鼻水を、ズズッとすすると、また枝をふり回しはじめる。鼻水は、すすっても、また出てくるみたいだ。

枝は、乱暴にあつかわれている。電柱をたたき――ブロック壁でひきずり――落ちているゴミをつつく。じつに、きたない枝でもある。

そんな風に、枝で遊んでいると、突然男の子は、ピタリと足を止めた。

電柱のそばに、なにかが落ちているのだ。

男の子は、まゆをひそめ、電柱の下をのぞきこんだ。どうやら、小さな段ボール箱らしい。ふちがヨレヨレで、いかにも数日前に降った雨に、あたっていた跡がある。

その段ボール箱の中に、変わった生き物がいた。深緑色をした、ゴワゴワな長い毛並。目はパチンコ玉より少し小さく赤い。長い耳や、全体の形、大きさなどはウサギに似ている。しかし、口や鼻が無い。しっぽも見あたらないようだ。この世の生き物ともいいがたいだろう。

純粋な少年は、首をかしげると、おそるおそる枝の先端でその生き物をつついた。とくに変化はなし。それほど、柔らかいというわけでもなさそうだ。

お気に入りの枝を地面に置くと、変わった生き物を両手でつかんだ。ゆっくりと、目の高さまで持ち上げる。

マジマジと、赤い目玉を少年がみつめる――いや、もしくは、赤い目玉が少年を、みつめているのかもしれない。


「お前、オレの家にくるか?」


少年が、一人生き物にたずねる。もちろん、耳があるので聞こえてはいても、口がないので鳴くことはない。変わった生き物は、少年の言っている意味がわからなかったのか、キョトンとした顔をする。そんな様子に、少年がため息をつき、自分の顔をその生き物によせた。


「だーかーら!オレの家にいこ?なっ?」


変な生き物が、また少年に無反応でかえす。

と、そうみえた。変な生き物が、背中のほうから何やら長いフサフサなものを持ち上げた。どうやら、これがしっぽみたいだ。体と同色で、深緑色をしている。長く、そして大きい。尻尾が、少年の頭より高く上がっていく。

もちろん、少年はまったくきづいていない。

しっぽは、少年の頭上で止まった。すると、突然そのしっぽが、ガバッと花のように開き、ビッシリと鋭い牙をみせたではないか。そう、どうやら“しっぽ”ではなく、“口”だったらしい。口から黄色い粘液が、ダラリと少年の足元に落ちた。

少年がそれに気づき、チラリと足元に目をむける。


「なんだ、鳥のフンか」


しばし、その地面についた粘液を見つめると、ため息をついた。

だが、その瞬間、口が勢いよく少年を頭から丸のみしたではないか。もがき苦しむ少年は、その生き物を手からはなし、胸元までかぶりついてきた口を必死に取ろうとする。手から離された変な生き物は、また段ボール箱に落ち、戻されてしまった。少年は、ジタバタと暴れていると、突然ブラン、と力が抜けたように両手がたれた。どうやら、飲みこみながら中で消化も始まっているようだ。静かになった少年が、ゆっくりと口に飲みこまれていく。

しばらくすると、地面には黒いランドセルと、木の枝だけが残された。



空は快晴。雲一つない。

今日もここは平和である。


わたしは、それを上からみていた。



end.

ここまで、よんで下さってありがとうございます!

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