黒幕と出立
今回短いです(;・ω・)
リタと小雪が月を見ながら酒を飲んでいる、ちょうどその頃。
アウグスタ家の所有する屋敷のとある部屋、そこにある天蓋ベッドの上では首輪をつけられた美しい女性が寝そべっていた。
女性はつけられた奴隷の首輪のせいで抵抗することも出来ず。とある男の性奴隷として、道具のように扱われていた。
女性に首輪をつけ、自分の性奴隷として道具のように扱う太った男。
バルドミル・フォン・アウグスタは行為を終え、なぜかすこし、不満足そうな表情で酒を飲んでいた。
「おい、もう戻っていいぞ」
「は、はい…」
女性はよろよろと立ち上がり、覚束無い足取りで部屋を出ていく。
「あの女にも飽きてきたな。あと7日で新しい女も入るし、あの女も捨て時か」
バルドミルが独り言を呟くと、それに答える声があった。
「しかし、バルドミル様、あの女はまだ貴方様の物になると決まった訳ではないのでは?」
「ああ、ウィリアム。貴様居たのか」
身長2メートル程の大男、傭兵団隊長のウィリアムは頭を下げると話始める。
「私は貴方様の護衛でありますから、当然でございます。ところで、話は変わるのですが、バナードの住む女。あの女が小金貨3枚を集めてきたらどうなさるのですか?」
「孤児院を経院する平民の女が小金貨3枚と言う大金を払えるとは思えんが、払えたら手に入れるのが半年後に延びるだけだ。あの女は必ず手に入れる。あの美貌があんな田舎で朽ちるのは惜しい」
「大金貨10枚が払える可能性もありますが」
「そこも、心配は要らん」
バルドミルは立ち上がり、棚の引き出しを開け、2枚の羊皮紙を取り出す。
「これはあの女の借金の借用書だが、読んでみよ」
「…1枚目は大金貨10枚ですが、2枚目は大金貨100枚になってますね」
「その通り、たとえ大金貨10枚払えたとしても本当は100枚だったと言って身柄を拘束できる。書類に10枚と書いてあったと言われても書類の不備だったと言って押し通せる。それで拒否するようならお前達があの街に攻め入り、奪ってしまえばいい。完璧だよ」
バルドミルは下卑た笑みを浮かべる。
それにつられて、ウィリアムも笑みを浮かべた。
夜中の屋敷に男の野太い笑い声が響き渡る。
しかし、彼らは知らない。
あの孤児院には、化け物が居ると言う事を。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
翌日。
港町バナードにある孤児院の前には、2人の女性が旅支度を整え、飛竜討伐に向け、出発しようとしていた。
「ではデビットさん、ナンシーさん。留守番任せましたよ」
「はい、わかりました。気をつけて来てください」
「俺も行きたいですが、エミリアさんが留守番を頼むなら、留守番してるしかありませんね。…必ず、生きて帰ってきてください」
「ふふ、わかりました。必ず生きて帰ってきます」
そして、そんなやり取りを下世話な目で見守る2つの視線。
「なんであの2人って結婚しないのかなー」
「む?あの2人はまだ所帯を持っておらぬのか?」
「ああ、あんなにお似合いなのにな」
「ほーう。なるほどのう」
2人してニヤニヤと眺める。
「あ、そうじゃ、ワシがない間にエルフの少女がここを訪ねてくるかもしれる。そのときは適当にいなしといてくれぬか」
「まあいいが、なんだ?厄介事か?」
「ここに来るまでに変な奴になつかれてのう。ずっとついてくるのじゃ。バナードにつく少し前に少しは引き離したのじゃが…」
「わかった。任しとけ」
「頼んだのじゃ」
拳を付き合わせる。お馴染みのあれだ。
小雪は振り返ると、口調を変えて言った。
「では、行きましょう」
「…そうですね。じゃあ行ってきます」
2人は港に向けて歩き出す。デビットは2人が見えなくなるまでずっと手を振っていた。
鉄砲分(通称:鉄分)と兵器分(通称:兵分)が不足し、更新が滞ってしまいました、申し訳ありませんm(__)m
自然消滅することは無いのでご安心を。
(;・ω・)