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最強の男の娘の異世界戦記~異世界にて近代軍隊創りませう~  作者: 永遠の42歳時雨上等兵
第2章 |軍団《アルメーコーア》と商会を設立しよう
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はじめての(軍団の)お仕事!

 翌日 島 軍団本部前


 早朝にもかかわらず12人ものゴブリンが肩から矢筒と短剣を提げ、機械式洋弓銃を立て銃(たてつつ)の状態で持ち、2列横隊で直立不動の姿勢をとっていた。


 「総員!傾注!」


 突如、凛とした声が響き渡る。


 「軍団長より!訓示!」


 ゴブリン達の前に立っていた小雪はそう言うと押し黙り、軍団長たるリタの言葉を待つ。


 「さて、新兵訓練すら終えていないゴミ虫諸君。いつもの小雪一等軍曹の素晴らしい訓練を邪魔して悪いが本日から少しの間、諸君らにはちょっとした遠征に行ってもらう」


 微かに動揺するゴブリン達。しかし小雪の指導の賜物か誰一人余計な動きはとらない。


 「遠征先はバナード郊外。そこで諸君らには長距離行軍訓練と偵察・斥候訓練、実弾使用の実戦形式の演習、捕虜移送訓練、この4つの訓練と演習をしてもらう」


 堂々とした訓示。何度もしてきたかのような貫禄すら漂わせている子供は、周りを見渡すと再び口を開く。


 「なお、今回の演習の相手はおそらく反撃してくる、はずだ。まあゴミ虫諸君には死なないようにしろと言うのは少し酷かも知れんがな。まあいい。死ななければ上出来だ。精々ゴミ虫らしくしぶとく生き残ることだな。では、出発準備!」


 「「「「「「Sir yes Sir !!」」」」」」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 しぐとナターシャを孤児院、軍団本部に残し、徹夜で作った荷車(簡易輜重車(しちょうしゃ)と命名)に矢と糧食、炭を乗せ、村を出発。

 小型帆船一号艇に兵員、二号艇に輜重車を乗せ、バナードに移動。途中でギルドにより、ベルントを呼ぶ。


 「…盗賊討伐の依頼、やるとは言ってたがこんなに早いとはな」


 「悪いか?」


 「別に悪かねぇが。…まああんたらなら大丈夫か。出来れば死なないようにしてくれよ。子供に死なれると流石に目覚めが悪い」


 「わかってるよ」


 「ほい、これで依頼開始だ。それと1人ギルド職員を連れていってもらう」


 「ほう。理由は?」


 「盗賊等の討伐はギルド職員を連れていって討伐までを審査しなきゃならねぇんだ。盗賊と繋がってて共謀してたらやべぇからな」


 「なるほどね。わかった。ただ邪魔にならないような人材を選んでくれ、邪魔になって依頼に失敗したら話にならん」


 「わかったよ。んじゃ待っててくれ」


 こうして呼ばれたギルド職員を連れ、街道を歩き、バナード郊外を目指す。

 途中で2回の休憩を挟んで半日歩き通し、被害多発地帯から少し離れた場所で街道を外れる。

 街道から外れた後にあるちょっとした森で野営の準備をさせた。


 「それにしてもよくエミリア殿から外泊許可など取れたのう」


 「まあ色々言いくるめてきたからな。帰ったらなに言われるかわかったもんじゃない。…さて、無駄話はここまでにしてそろそろ行くか」


 「了解じゃ。第一射撃班集合!第二第三射撃班はこのまま野営の準備!」


 「「「「「「Sir yes Sir !!」」」」」」


 小雪が第一射撃班を集めるとすぐに集合し、報告を開始する。


 「Sir !第一射撃班。集合しました」


 「よろしい、これより敵勢力支配予測地域だ。我々は敵の拠点を探すためこれより偵察を行う。諸君らは我々の後ろを黙って動けばよい。会話はするな。いいな」


 「「「「Sir yes Sir !!」」」」


 「よろしい。5分後に出発だ。準備しろ。以上、別れ」


 「Sir !別れます!」


 第一射撃班の面々が装備を手に取り輜重車から取り出した矢を矢筒に入れる。その間、俺と小雪は昨日作った擬装網(ぎそうもう)を取り出し、近くの植物をで入念な擬装を施す。


 「やはり少し使いにくいのう」


 「まあその辺の蔓を使って自作したからな。しょうがない」


 「Sir !一等軍曹!準備、完了しました!」


 「よろしい。では諸君らにはこの擬装網を使い自らを隠蔽してもらう。やる方は覚えているな」


 「Sir yes Sir !!」


 「ではかかれ」


 「はっ!」


 しばらく待っていると完璧とは言いがたいがそれなりに隠蔽されたゴブリン達が整列した。


 「では諸君、行くぞ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「暇だな…」


 「そう言やボスが狩場をそろそろ変えるとか言ってたな」


 「ここもあまり商人が通らなくなったからな」


 注意深く極力物音をさせずに歩いていると、2人組の喋り声がした。

 小雪にハンドサインで合図を送り、1人をテイクダウン、首を極め、気絶される。

 もう1人の背後に回り込むと、そのまま相手を押し倒し、手を極めて小雪から借りたカランビットナイフを首元に押し付ける。


 「ッ!」


 「動くな。お前らの拠点と人数を喋ってもらおう。ゆっくり、小さな声でだ」


 「こ、断ったら?」


 こめかみを殴り付け、気絶される。1度担いで野営地に戻り2人を木に縛り付ける。


 「どうするんじゃ」


 「今は…大体夕方くらいか。んじゃ日暮れ直前にこいつらを元居た場所に寝かしておく。んで拠点に戻ったところをつけて一網打尽だ。これでいこう」


 「なるほど、手堅いのう。しかしその場合夜間戦闘になるぞ。よいのか?」


 「その場合は小雪の火属性魔法で敵拠点付近を放火、浮かび上がった敵を狩る」


 「了解じゃ」


 小雪は満足げに微笑んだ。

 全員を集合させ、飯を食い、休憩させる。

 日暮れ少し前に装備を整いさせると焚き火を消し、炭で全身を汚して念入りに擬装する。


 「第一射撃班はついてこい。第二第三射撃班は別名あるまで待機」


 「「Sir yes Sir」」


 盗賊2名を担いで移動。こいつらを捕まえたところまで行き、地面に寝かせ、隠れる。


 「ッつ。なんだったんだ?ん?おい、起きろ」


 「なんだ?あ、いっつ。頭いて」


 「大丈夫か?」


 「あーマジいてぇ。…そう言えばあいつは?」


 「あいつ?」


 「俺を殴って気絶させた奴だよ。マジで許さねぇ」


 「…どこにもいねーけど?」


 「…しゃーない1回アジト戻るぞ」


 2人の盗賊が歩き出す。

 小雪にアイコンタクトで合図を送り、ゴブリン達に手振りでついてくるように指示、静かに後を着ける。

 しばらく進むと盗賊は洞窟にたどり着いた。


 「(テイクダウン)」


 「(了解)」


 ハンドサインで合図を送り、2人を同時に無力化する。

 木に縛り付け、第一射撃班に待機命令を出す。


 「(行くぞ)」


 「(了解じゃ)」


 ナイフを構え慎重に進む、洞窟は2度曲がるが一本道で道幅はすこし広めだった。


 「……………!……………!……!」


 「(停止)」


 最後の角から覗き込むと数メートル先が急に開けており、盗賊達が焚き火を囲んで食事をしていた。

 しばらく観察した後ハンドサインで後退を指示、洞窟を出て、第一射撃班と合流する。


 「(お前とお前、伝令として残りを呼んでこい、静かにな)」


 「「(Sir yes Sir)」」


 2人のゴブリンを伝令として出し、残った2人に洞窟を監視させる。


 「(どうじゃった?)」


 「(最後の角を曲がると約5メートル先から広場になってる。そこに盗賊が大体30人程度いるな。あそこ以外に出口はないみたいだ)」


 「(なるほどのう)」


 しばらく黙り込み、作戦を練りながら待っていると伝令が第二第三射撃班を引き連れ、戻ってきた。


 「(全員よく聞け、これから作戦を説明する。第一射撃班はあの斜面を登り、洞窟入り口の上に陣取れ、第二第三射撃班は入り口を半包囲する形で陣取り敵が来たら片っ端から撃て。第一射撃班は第二第三射撃班が射撃後に射撃。敵は俺と小雪で燻りだす。何か質問は?)」


 見渡すが誰も手をあげない、よろしい。


 「(では作戦行動開始、散開しろ)」


 「「「「「「(Sir yes Sir)」」」」」」


 ゴブリン達が動き出す。

 小雪がゴブリン達の遮蔽物になるよう土魔法で胸壁を作りながら呟く。


 「(まどろっこしいのう)」


 「(しゃーない。練度向上の為だ、我慢しろ)」


 「(Sir 一等軍曹殿、配置、完了しました)」


 「(よろしい、リタ)」


 「(ああ、行くぞ)」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 他のゴブリンに持ってこさせた洋弓銃を構え、洞窟内を進む。


 「(さっきの魔法で何かが来たのはバレたはずなんじゃが。何の反応もないのう)」


 「(何でだろうな)」


 しばらく進み、最後の角に到着する。

 小雪が鞄から“ある”物を取り出し、両手に手渡してきた。


 「(よく作ったな)」


 「(簡単じゃったぞ)」


 「(そうかい、んじゃ行くか)」


 「(了解じゃ)」


 物から飛び出したよじった紙に小雪が火を着ける。

 着火したのを確認し、角から出て身を(さら)した。


 「イェア!楽しく飲んでるかクソ共?俺様からの素敵なプレゼントだ。受け取れ!」


 大声をあげ、両手に持った球体の物体──導火線式の爆発物を投げる。

 爆発物は放物線を描き飛んでいくと天井付近で爆発、辺りに薄い水色の煙を撒き散らした。


 「げほごほっ」


 「げほごほっがはっ。ふざけやがって!ぶっ殺してやる!」


 俺の登場に、呆気にとられていた盗賊達が爆発音で動き始める。ほぼ全員がこっちに向かってきてるようだが何人かが落ち着くように大声で指示を出している。

 その中で一番でかい男に狙いを定め、引き金を引く。

 短い少し太めの矢は指示を出していた大男に当たると速やかに男を黙らせる。


 「よし小雪、逃げるぞ」


 「了解じゃ」


 敵に背を見せ、走り出す。

 敵がついてきているか確認しつつ追い付けそうで追い付けないギリギリのスピードで走るのがコツだ。


 「まちやがれ!」


 「どうなってんだ?あのガキはえぇぞ!」


 「ふむ、これは色々な種族がいるのう」


 「よくもまあこんなに沢山の種族が1つの盗賊団として活動できてるな」


 「それだけ指揮官が有能と言うことじゃろ。それより、そろそろ出口じゃぞ」


 見ると出口はすぐそこにあった。

 速度を緩めずに走り抜け、胸壁を背にして座り込む。


 「まちやがれ!どこいきやがった!」


 「まだ近くにいるはずだ!探すぞ!」


 洋弓銃に次発装填。近くのゴブリンに合図を送る。


 「二班!撃ち方用意!」


 「!?」


 「テェー!」

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