表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の男の娘の異世界戦記~異世界にて近代軍隊創りませう~  作者: 永遠の42歳時雨上等兵
第2章 |軍団《アルメーコーア》と商会を設立しよう
18/24

はじめてのお仕事!

 船を降り、港から冒険者ギルドに向かう。ギルドでベルントを捕まえて依頼を受けたい旨を話す。

 ちなみにミアは置いてきた。いっちゃ悪いが足手まといになるからな。


 「依頼を受けたい?またなんでだ?」


 「ちょっと小銭を稼ぎたくてね。いやー何をするにも金がかかって嫌になっちゃうよねー」


 「まあ、そうだが…。まあいい。依頼はあそこの掲示板に貼り出してある。そこから持ってきてカウンターで手続きをすれば依頼開始だ。依頼の完了条件は貼り出してある紙に書いてあるからそれを読んでくれ。んで、依頼を完了したらまたカウンターで手続き。簡単だろ?」


 「分かりやすくていいねぇ。わかった。んじゃ行ってくるわ」


 ベルントと別れ掲示板に移動する。

 …すげー色々あるな。討伐依頼から雑草抜き、荷物配達や便所掃除まである。


 「んじゃ、これやるか」


 「なにやるんや?」


 紙を取ると後ろに控えていたしぐが覗き込んでくる。


 「配達依頼か。ありゃ、結構受けるんやな」


 「一気に大量にやって少しでも小銭を稼いどきたいからな。手伝ってくれよ?」


 「えー。面倒くさそうやな」


 配達依頼の紙を20枚程取り、カウンターに向かう。

 一番近くで暇そうな受付嬢に紙を渡す。


 「こんにちは。依頼受けたいんですけど」


 「あらこんにちは。依頼ねー。でもお嬢ちゃんみたいな子には流石に多いんじゃない?」


 「気にしないでください。少し小銭が入り用なんです」


 「ふーん。まあいいわ。タグ出してくれる?」


 首から下げているタグを取り、受付嬢に渡す。うん。忠告はしつつもちゃんと仕事をこなす。これぞプロだな。

 そう思ったのもつかの間、茶を飲みながら手続きをしようとした受付嬢が茶を噴水の如く盛大に吹き出す。


 「ぶーッ!げほげほっ。ひ、失礼しました」


 「あーあー。しぐ、大丈夫だったか?」


 「俺は大丈夫やで。主は?」


 「俺も大丈夫だ。どうしたんです?」


 「ちょっと驚いてしまいまして」


 何度もタグと俺を見比べる受付嬢。あ、ランクか。こんな子供がAランクだからな。

 …こんな子供って自分で言ってて虚しくなるな。


 「ええーと。リタさん。はい、手続き完了です。ではあちらのカウンターで荷物を受け取ってください」


 「了解」


 しぐを従え、別のカウンターで大小様々な荷物を受け取る。それをしぐと半分づつに分け、街に出た。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 特に問題もなくさくっと終わらせてギルドに戻る。入り口の扉をくぐるとベルントがで向かえた。


 「遅かったな。配達系の依頼を受けたと聞いたんだが。どうだった?初めての依頼は」


 「さくっと終わらせたよ。配達依頼20件しぐと2人でな」


 「ふーん。ん?20件?」


 「ん?20件だが?」


 「それにしちゃ早くねぇか?」


 「疑うとは失敬な、証拠見せようか?」


 ベルントに証拠のサイン入の依頼の紙を見せる。このサインは届け先の住民のものだ。


 「…ああ、確かに完了してるな」


 「だろ?てなわけで報酬報酬」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 そんな感じで俺はしぐと小銭を稼ぎつつ、小雪は訓練に専念し、さらに24日が過ぎた。

 商会側のゴブリン達も作業に慣れ、危なげなく生産出来るようになってきており、作業効率も上がってきた。

 深雪によるダンジョンの構築も進んでおり、内部は広場から枝分かれして幾つかのさらに広い広場になっており、部屋ごとに温度や湿度が別れており、一部は研究用の野外実験場になっているが、他はデカイ農地になっている。もはやダンジョンじゃないな。

 軍団の方だが商会の技術蓄積の為の試作型、先行量産型などを受領し、装備面では戦力として整い始めてきている。練度については基本教練が出来る程度だ。


 「小雪、軍団の状況は?」


 「装備品は武器については一段落ついたのう。その他被服等については全然じゃが」


 屋根と柱、少しの壁で建てられた小さめの建物の中で打ち合わせをする俺と小雪。

 この建物は俺と小雪、しぐとナターシャでさくっと建てた物で見た目はラバウル航空基地司令部と似ており、それを縮小したような見た目だ。

 外ではゴブリン達がランニングをしており、その近くでしぐとナターシャがミアに体術や魔法を教えている。


 「商会の方は?」


 「こっちの紙にまとめてあるのじゃ」


 「植物紙の試作型か?」


 「それに報告事項を纏めたなんちゃって報告書じゃな。コピー紙に馴れておったから和紙なのが少しの気になるがのう」


 小雪から手渡された紙束を見る。

 和紙に墨で書かれており、糸を使って縫い綴じられていた。


 「この墨って確か」


 「近海で取れた烏賊の墨じゃ」


 「そうだったそうだった。んじゃ軍団の方も報告書にまとめといてくれ」


 「了解じゃ」


 小雪が紙と墨を取りに行く。

 1人になった軍団本部でランニングの掛け声をBGMに報告書を読む。






 商会 第一次活動報告書


 農産部


 芋、ライ麦、テンサク大根、綿花、麻を栽培中。

 芋は主食とし、ライ麦とテンサク大根、綿花、麻は加工用。


 鉄鋼部


 鉄、石炭、硝石、鉛、銅、亜鉛の採掘は軌道に乗りつつあり。

 しかし銑鉄等の加工についてはいまだ難航中。改善に数日から数週間かかる模様。

 なお、先日見つかった砂鉄についてはたたらによる実用化に成功。しばらくは金属製品の主材料となる。

 現在、新たに硫黄の採掘場が発見され、2日後に採掘開始予定。


 武器・兵器部


 軍団受注の機械式洋弓銃13丁及び短剣12本は納品済。

 円匙(えんぴ)16本については生産中。

 販売用長剣及び短剣、(くわ)(おの)については受注品納品後に生産予定。


 物道部


 現在稼動可能な船舶。

 小型帆船一号艇及び二号艇。

 現在造船中の船舶

 小型帆船三号艇。


 燃料部


 木炭の生産は軌道に乗りつつあり。


 研究開発部


 蒸気機関、実用化の目処なし。

 火薬、実用化間近。

 打ち石式鉄砲、実用化の目処なし。

 大砲、実用化の目処なし。

 植物紙、実用化間近。現在先行量産中。






 「…自分で始めたことだが手を広げ過ぎたか?少し人員不足な気がしてきた」


 ゴブリン46人中12人が軍団。36人で回してるからなぁ。

 …そう言やギルドに丁度よさそうな依頼があったな。うまくやれば人員不足も解消できるか?


 「…疲れた、休憩」


 紙束を机に置き、悪どい笑みを浮かべているとミアがやって来た。しぐとナターシャはそのまま模擬戦をするらしい。


 「やはり数日で鍛冶技術修得は難しいか。しかし全然出来ない訳じゃないからなあ。様子見だな」


 「…リタ君、なにしてるの?」


 「おっとごめん、嫌だった?」


 こっちにやって来てそのまま膝の上に乗せられ、頭を撫で回されているミアが言う。唐突過ぎたな。


 「…別に」


 「んじゃ嫌だったら言ってね」


 「…わかった」


 再びミアの頭を撫で回す。今は同じくらいの身長だがそのうち抜かれるんだろうなぁ。


 「紙もらってきたのじゃ、と。お邪魔じゃったかのう」


 勝手に想像して悲しくなっているとニヤニヤしながら小雪がやって来た。


 「うるせぇよ。とっとと書類仕事片付けろ」


 「フフッ、了解じゃ」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 同日 午後 軍団本部


 「つまり今販売可能な物はこの紙、植物紙と言ったか?これしかないと」


 「はい、他の生産物は現在量産中や試作などでまだ売ることができません。その紙にしたって先行量産品ですし」


 ナターシャの質問にゴブタケが答える。


 「どう思う?小雪」


 「うーん。そうじゃのう…。元々ワシらが使う用で作ったからのう。それにそもそも貴族や商店にしか紙と言う物に馴染みがないのじゃ。大衆受けはそんなにしないじゃろ」


 「なるほどな。しぐは?」


 「姉御と同じ意見や。それと物があっても需要がないからなぁ。貴族や商店言うても羊皮紙と同じ値段やったら最初は売れるかも知れんが所詮一見や。リピーターはそうは居らんやろ」


 「そうか。では紙の販売は小数販売にしよう。しばらくは生産と技術蓄積に傾注。その間は軍団が訓練を兼ねての依頼をこなし、小銭を稼ぐ。何か質問は?」


 「それでは間に合わなくなる可能性も出てきますが」


 「そうだ。だが、やるしかない。なんとしても後4ヶ月で目標金額を稼ぐんだ」


 「わかりました」


 「他に質問は?」


 会議参加者全員の顔を見渡す。どうやら無いようだ。


 「よろしい。では小雪。軍団の状況を」


 「はっ」


 適当に作った有り合わせの椅子をガタガタ言わせながら小雪が立ち上がる。


 「現在、誠意訓練中ですがやはりまだ時間が掛かるでしょう。練度的に言えば基本教練を終え、パレードには参加出来ますが実戦投入、特に対人戦は厳しいでしょう。武器装備の充足率も悪く、機械式洋弓銃及び短剣を装備していますが、その他被服等の装備品は全く手がついていない状態です」


 「なるほどな。実戦投入は時期尚早と言うわけか」


 「そうです」


 「ふむ、実弾射撃訓練はしてたか?」


 「何回かは。しかし統制射撃も訓練では出来てますが実戦では難しいですね」


 「なるほど…。ではそんな新兵に実戦を経験してもらおう」


 そう言うと、しぐに合図を送り、1枚の紙を取り出してもらう。


 「それは?」


 「依頼だよ。街の郊外に盗賊どもが根城を作り、この街にやって来る商人を襲ってるらしい。その盗賊の撃滅だ」


 「報酬は?」


 「小銀貨1枚と盗賊が今まで溜め込んだ品物を優先的に得ることが出来る権利だ。うまく行けば人員不足気味なこの状況を打開出来るかも知れないぞ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ