謀られ死亡。その顛末
本作は処女作でノリと勢いとパs…若気の至りで書き始め、現在も書いています。こんな作品ですが読んで頂けたら幸いです。m(__)m
日本 新潟県 某所
そこは砲弾と銃弾が飛び交う、戦場とかしていた。
「小隊長!もう無理です!これ以上は戦線を維持できません!」
そんな戦場の真ん中で、とある小隊が残置部隊として小高い丘に陣取っていた。
「くそったれめ!総員、着け剣!白兵戦に備えろ!」
小隊長と呼ばれた男、峰岸深雪は自らが握る九ミリ機関拳銃に弾倉を差し込む。
身長は120㎝をどうにか越えた程度、顔立ちは童顔で中性的を通りすぎ、完全な女顔、そしてその幼い顔の右目を覆う武骨な眼帯。
「深雪!これは1度予備陣地まで後退した方がよい。このままではじり貧じゃ」
深雪の横で対人狙撃銃を構える少女、龍崎小雪は敵将校を優先的に狙撃しながら深雪に意見具申した。
「わかってる。総員!予備陣地まで後退する!第1分隊は俺と残って他が下がるまでの援護だ!ほらほら急げ急げ!」
深雪は命令を出しながら九ミリ機関拳銃を背負うと、今しがた敵から奪った82式機関銃を構え、制圧射撃を始めた。
「小隊長!そんな体格でよく機関銃なんて撃てますね!」
「失礼なやつだな!栗岡曹長!こんなもんも持てんで誰が男だ!」
「あー。小隊長は見た目で言えば完全に幼女な気が…」
「あ゛あ゛?」
深雪はポーチから手榴弾を抜き取り、ピンを抜いた。1度栗岡の頭にぶつけるとコンパクトなフォームで投げる。
「手榴弾!」
約4秒で炸裂。砲弾の炸裂孔に隠れていた敵兵が纏めて負傷した。
「なにするんですか!危ないでしょ!」
「深雪は自分の容姿に少しコンプレックスを感じとるのじゃよ。それをつついたお主が悪いな」
栗岡は苦情を告げるが無視して機関銃を撃ちまくる深雪。
「小隊長殿!第2、第3分隊及び小隊本部後退完了!あとは第1分隊だけです!」
戦場の真ん中でコントを繰り広げていると榊原陸士長が報告しに来た。
「了解だ、第1分隊!後退するぞ!」
弾の切れた82式機関銃を敵兵に投げつけながら深雪は声を張り上げる。
「小雪!」
「ほれ!」
阿吽の呼吸で投げ渡された対人狙撃銃を掴むと、1秒に2発と言う常識外れな連射を見せる。
「槓桿式小銃の連射速度じゃないでしょう。しかも全部眉間に中ててるし。まあ、小隊長の奇行は今に始まったことじゃないけど」
栗岡は89式小銃を撃ちながらあきれ声を挙げる。
「たまにはボルト・アクションもいいもんだよ」
予備陣地の塹壕に飛び込むと機関拳銃を撃ちながら栗岡の独り言にこたえる。横では小雪が壁の隙間からとある装置を引っ張り出してきた。
「遅れてる奴はいるか!」
「いません!」
「よし、諸君、我々の愛しの陣地を取り返すぞ。全力射撃、その後、合図で突撃だ!」
「「「「「「了解!」」」」」」
野郎共の野太い声に満足すると、その場に屈んだ。機関拳銃を背負い、壁にはめた木箱を取りだして。89式銃剣で抉じ開ける。
「!小隊長。なんでそんな骨董品があるんです?」
「これかね?栗岡君」
深雪は木箱から取り出した“物”にクリップで留められた弾丸を流し込みながら答える。
槓桿を動かすと独特の音を鳴らしながら機関部に弾丸が押し込まれる。
「こいつはな。じいちゃんからの誕生日プレゼントなんだよ。」
最後に刃渡りの長い銃剣を取り付け。立ち上がる。
「そろそろ頃合いか。小雪、やれ」
「了解じゃ」
小雪は答えると、引っ張り出した装置のボタンを押す。
その瞬間。辺りを震わす轟音が鳴り響いた。
その正体は陣地内に仕掛けられた大量のC4爆薬と指向性散弾。それらは陣地内にいた敵兵の7割を吹き飛ばし、引きちぎった。
その光景に明らかに浮き足立つ敵と、味方。
「ほらほら!今がチャンスだ!総員、突撃!」
言うが早いか。予備陣地から飛び出し、木箱から取り出した“物”、三八式歩兵銃を構えながら走り出す。
それに続き、深雪と付き合いの長い古参たちも吶喊し、一目散に敵に向かい、銃剣を突き立てる。
すると、そこで不思議な光景が映し出されていた。
栗岡は敵兵を突き殺しながら、深雪と一番付き合いの長い小雪に話しかける。
「准尉。小隊長は何をしてるんですか?ダンス?」
「あれかの?あれはの。敵の弾をかわしているのじゃよ」
「…は?弾を、かわす?どうやって?」
小雪は借りた九ミリ拳銃を使い、敵兵を射殺しながら答える。
「ようは経験と勘、相手の動きじゃ。相手の目線。体の動き。銃口の向き。そう言う物を全感覚でつかみ、そこに自分の経験と勘を加味して相手が引き金を引くより早く射線から逃れるのじゃ」
「…あの人、本当に人間ですか?」
「正真正銘。人間じゃよ?」
2人が話している間も深雪は躍り続ける。
眼帯を着けた幼女のような男性軍人。他者に死をもたらし。己は生き残る為の舞踏。それはある種、神秘めいてすらいた。
しかし、終わりは唐突に訪れた。
「(なんだ?この気配、!弾が曲がった?不味い、よけ)」
深雪は唐突にに膝をついた。しかし、直ぐに立ち上がると機関拳銃に持ち替え、掃射する。
すかさず駆け寄る小雪と栗岡。
「深雪!大丈夫か?」
「小隊長!大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃ、ねえ、やい!」
深雪は三八式歩兵銃を敵に投擲し、突き殺した。そのまま倒れ込むと息も絶え絶えの様子で話し出した。
「小雪。さっき、何か、妙な気配、しなかった、か?」
「小隊長!喋らないでください。傷に障ります!」
「小僧!もう無理じゃ。弾は心臓を貫通しとる。どうあがいてももう助からん。深雪、確かに感じた。そいつがどうかしたのか?」
「たぶん、そいつだ。そいつが、弾道を、ま、げた」
深雪と小雪はアイコンタクトを取ると栗岡に告げる。
「小隊長!」
「栗岡。部隊、は、お前に、任せる、た、のん、だぞ!」
「何故俺なんです!最前任は准尉でしょう!」
「小雪。何か、考えが、あるんだろ?」
「ああ、だから、小僧。部隊の指揮は任せたのじゃ」
すると、深雪が89式銃剣を引き抜き、刀身に手を当てる。
「じゃあ、任せたのじゃよ?」
刹那、一線が小雪を射抜く。次の瞬間には膝から倒れ始めていた。
「それじゃ、栗岡、頼んだぞ」
言い終わるのが早いか、地面に倒れ伏す峰岸深雪。そしてその遺体は重なりあう。
「小隊長!准尉!」
戦闘は続いて行く。
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とある世界
質素ながら神秘さを放つ建物。神殿。
そこではある上級天使に関係する会議が行われていた。
「では、バラール・デ・バラルー上級天使の処遇について、議論していこうと思う」
一番上座に座る青年はよく通る、耳障りのいい声でそう宣言した。
「アザルシア、罪状を読み上げてくれ」
「はっ。では、読み上げます。上級天使バラール・デ・バラルーは上級天使である立場を利用し、第13世界に干渉。己の権力増大の為に観察対象163に不当干渉。自分の手駒にしようとし、さらに手駒を増やし、現天使長の立場を不正に奪おうとした罪が掛けられています。」
青年の右斜め後ろに立つ少女はそう言うと一礼し押し黙った。
「質問、よろしいですかな?」
「ああ、許可する」
「その観察対象163はどうなったんですか?」
再び少女が口を開く。
「観察対象163は一緒に行動していた観察対象98と共同で反撃に転じ、術式に対抗、軽く打ち破り、さらにバラール・デ・バラルー上級天使に負傷を負わせました」
「負傷?」
「はい、自己再生不可能なレベルの負傷です。しかも相手は精神体です」
「馬鹿な!仮にも奴は上級天使だぞ!」
衝撃的な報告に場は騒然となる。
「奴らはアイツの手にはおえんよ」
青年から下座側の1席先の席に座る、筋骨隆々な老人は呟いた。
「ヴィッセル上級天使。何か知っているのか!」
「昔な、1度対決した事がある」
ヴィッセルと呼ばれた老人は昔を懐かしむような表情で話始めた。
「3日3晩やり合った。真眼でみた所、奴らはまだ全力を出しきれてなかった。生まれた世界が悪かったな。でなければもっとやれた」
「その後、どうした」
「意気投合して酒飲んで別れた。奴が手作りだといって飲ませてくれた芋焼酎は旨かったぞ、と話がずれたな。まあ、なんだ。奴らが一番力を発揮できる世界に放り込んだら。恐らく12天使長の内半分はで張る必要があるかもな」
「それほどまでとは…」
「ではバラールを負傷させたあとは何処に」
「ここから脱走し、別の世界に居ます。第7世界ですね」
「まあ、なんにせよ彼等は無事だ。バラールは恐らく彼等を追って第7世界に行くだろう。奴はプライドが高いしな」
少女に全てを任せていた青年はそう語り出す。
「問題は奴を捕縛したあとの話だ。処遇はどうする?」
「…地下牢に幽閉するしかありませんな。さすがに殺すのは」
「ではそうしよう。奴は見つけしだい捕縛。その後は地下牢に幽閉だ。その方向でいいな?」
「異論ありませんな」
「したかないでしょう」
など口々に賛成していく。ある程度待ったあと青年は手を叩いて注目を集める。
「ではその方向でいこう」
青年は立ち上がると今度は跪き、頭を垂れる。
それを見て、会議に参加していた天使達も跪き、頭を垂れた。そして、唱える。
「すべては主のお心のままに」
「「「「「すべては主のお心のままに」」」」」」
お読みくださって誠にありがとうございますm(__)m
今後も読んで頂けたら幸いですm(__)m