門出
城魔族たちが、こちらへ飛んでくる。
先頭はザイモンだ。シンに斬られた首は応急処置でどうにかつないだか、まだ完治はしていないものの、動くだけなら問題なさそうだ。
目の前に奴は着地した。
城主たちがすぐ後ろに控えており、その後方には城魔族たちがずらりと並ぶ。
「……決着を、と言ったが?」
ザイモンが、静かに口を開いた。
「ああ」
「銀水序列戦は、完全にバランディアスの敗北だ。校章を奪われた以上、俺はもう戦えん。元首はひれ伏し、主神はその有様、今更なんの決着を――」
「お前たちの元首はまだひれ伏していない」
俺は頭上に視線を向けた。
「そうだな、ファリス」
ゼリドヘヴヌスから降りたファリスが、緩やかに降下してくる。
「……お見通しでしたか」
彼は俺の傍らに着地した。
「どういうことだ? 現にファリスはお前に忠誠を……」
「ファリスはバランディアスの元首ではないということだ」
ザイモンははっとしたような表情を浮かべ、ファリスを見た。
「もしや、カルティナスは…………?」
「……申し訳ございません、ザイモン」
ファリスが魔法陣を描けば、そこに一つの額縁が現れた。
描かれた絵は、不動王カルティナスである。
苦悶の表情の肖像画だが、生々しく今にも動き出しそうだ。
「<封描絵画>にて、額縁の中に封じ込めました」
カルティナスを滅ぼしていれば、その時点でバランディアスの元首は空位となる。
主神メイティレンがそばにいたため、ファリスはすぐさま元首となれただろう。
だが結局、彼は躊躇してしまったのだ。
「決着をつけるのはお前たちだ。己が世界のため、命をなげうって挑んだ、その戦いのな」
<封描絵画>に<封呪縛解復>を使えば、絵の中のカルティナスが目を見開いた。
「……こ、これは……? 朕はいったい……」
額縁に手を当て、外に出ようとしているが、見えぬガラスにでも当たったかのように、奴はそこから動くことができない。
「窮屈だろう。今、出してやる」
額縁の中に手を差し入れ、カルティナスの胸ぐらをつかむ。
「……ぬぐっ……貴様……」
力尽くで絵から不動王を引っぱり出し、そのまま地面に放り捨てた。
「ぎゃっ……!」
尻餅をつきながらも、奴は怒りを灯した目で俺を睨みつけてくる。
「ふんっ、そのまま火露でも奪っておけばいいものを、欲をかきおって……! 二兎を追う者は一兎も得ず、という言葉を知らんかっ……!」
言いながらも、カルティナスが魔法陣を描く。
すると、オットルルーが張った結界の外から、なにかがこちらへ向かって飛んでくる。
五つの額縁だ。
老師カルゼンら、ファリスの同志たちが遺した城である。
「わっはははははっ! こんなこともあろうかと、いつでも使える準備をしておいたのだ! ファリス、朕に逆らったからにはわかっていような?」
カルティナスは自らと、五つの額縁に魔法陣を描く。
「メイティレンッ! さっきの件は許してやろうぞっ! まずはこやつらを叩きのめす。朕が不動王と呼ばれる所以、とくと見せてくれるわっ」
六つの魔法陣は、どれも半分欠けている。
どうやら主神と元首、二人一組で発動する術式のようだな。
「さあ、後悔するがいい、不適合者。朕の本気は、ただ一人でバランディアス城艦部隊に匹敵する。あの五つの名城を使ったならば、無敵ぞ!」
半分だけの魔法陣がカルティナスに、城のような鎧を纏わせる。
それはみるみる巨大化していき、そびえ立つような城ができていく。
「どうした、メイティレン? なにをもったいぶっておるっ。 主神は元首を殺すことはできん。貴様を煮るなり焼くなり朕の勝手というのを忘れるなっ!! とっとと力を寄越せいっ!!」
不動王が魔法陣に魔力を注ぎ込む。
しかし、当然のことではあるのだが、欠けたもう半分の魔法陣が埋められることはない。
「ザイモンッ! 貴様らもなにをしているっ!? そやつをやれいっ! 一族郎党皆殺しにするぞっ!!」
ザイモンたちの鋭い視線が、カルティナスに突き刺さる。
「あーん? なんだ、その顔は? いいのか? 殺すぞ? 殺してしまうぞ?」
ザイモンら城魔族は、整然とカルティナスへ手を向け、魔法陣を描いた。
「不動王カルティナス。貴様のおかげで、何人もの戦友が旅立った」
低く、淡々とした、義憤に満ちた声であった。
「誇りを失おうと民のため。そう思って耐え忍んだが、得られたものは僅かばかりの力と、我がバランディアスの悪評のみ。民も満足な暮らしができぬというのに、元首の貴様は私腹を肥やすばかりっ! そんな王ならば、最早いらんっ!!」
<剛弾爆火大砲>が、カルティナスへ向かって一斉に発射された。
「ごぼぉぉぉっ……!!」
「悪王カルティナス、バランディアスの平定のため貴様を討つ! 天誅っ!!」
魔法砲撃が次々と着弾し、構築途中だったカルティナスの城が、みるみる内に崩壊していく。
「……ぬぐっ……ごおっ……! こ、ここまで、愚かとは……バランディアスの平定だと? そのバランディアスの意思に、朕が選ばれたのではないか。ならば朕の行く道こそが、我が世界の望みぞっ!」
爆炎に城を半壊にされながらも、カルティナスはなおも強気だ。
「メイティレンッ! さっさとせいっ! 朕の本気で、こやつらを蹂躙してくれようぞっ!」
「ふむ。お前がさっきから呼んでいるのは――」
俺は地面に転がっていた虎の頭蓋を持ち上げた。
「――ひょっとしてこいつのことか?」
「……な、げ、げええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、うっがはあああああああああああああああああぁぁぁっ……!!」
カルティナスが驚愕したその瞬間、<剛弾爆火大砲>の集中砲火を浴びせられ、魔法の城は、構築前にあえなく落城する。
「そんなに恋しいなら返してやろう」
城の鎧を剥がされ、生身となった奴の足元に、王虎の頭蓋を放り投げる。
それを見るなり、ひいっと声を上げ、不動王は腰を抜かした。
節穴となった頭蓋の目と、節穴同然のカルティナスの魔眼が合った。
「……ぁ…………こ…………ぁ……な…………あ……ぅ……」
言葉にならぬ声と、歯の根の合わぬ音が響く。
「き……きさ……どう……これ…………は…………?」
「見てわからぬか?」
ゆるりと奴のもとへ歩を進ませ、俺は軽く足を上げた。
「滅ぼしたのだ」
ぐしゃり、と王虎の頭蓋を踏み潰す。
キモが冷えたかのように、カルティナスは真っ青になった。
「まあ、まだかろうじて生きてはいるがな。わかっていると思うが、お前が降伏したとて、主神が滅びるのは時間の問題だ」
「……わ、わかった……朕も小世界を治める元首……ここまで来れば、抵抗はせんわい……」
途端に潔くなり、カルティナスは居住まいを正す。
「ミリティアの軍門に下ろう……。我らバランディアス城艦部隊は、今日よりミリティア城艦部隊と名を変え、貴様の臣下となる……!」
主神の末路を見て、あっさりとカルティナスはそう言った。
「ほう」
奴に顔を近づけ、その本心を暴くように、俺は魔眼を向けた。
「不適合者しかいないミリティア世界、適合者の自分ならば元首に成り上がるのは容易いとでも考えたか?」
「……め、めっそうもないことで……」
「お前のような愚者は、俺の配下にいらぬ。返してもらうのはファリスの火露とあの五枚の絵だけだ」
指先でそっと魔法陣を描く。
「バランディアスの行く末を教えてやろう」
「ま……待て……やめろ……やめろ――」
「銀海に浮かぶ神なき泡、泡沫世界だ」
「やめっ――」
<獄炎殲滅砲>を撃ち放てば、王虎の頭蓋が爆散した。
「……あっ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
自らの野望が燃え尽きていく光景を見ながら、カルティナスはまるで断末魔のような叫び声を上げた。
「……朕の……主神が…………これまで、築き上げた銀城が…………燃えて………ぁ……ぁぁ……あぁぁ……………」
生気を失ったような瞳で、カルティナスは呆然と黒き炎を見つめる。
「………た、頼む………………」
弱々しく、言葉がこぼれ落ちる。
「王虎を……!! メイティレンを助けてくれっ……! これでは……このままでは……この通り、この通りじゃっ……!! 」
地面に額をこすりつけ、不動王は平伏した。
「これまで駒のように扱われてきた臣下や民たちは、お前をどうするだろうな?」
その要求に取り合う気はないとばかりに俺は言った。
「銀水序列戦でお前が蹴落とした小世界も、バランディアスが泡沫世界となったと知れば、血眼になってお前を捜そうとするだろう」
ぶるぶると震えながら、奴は俺に頭を垂れ続ける。
「……これでは、バランディアスまで……滅びてしまう……」
主神の加護がない世界は、秩序の整合がとれず、火露が外へ溢れ出ていく。行きつく先は世界の終わりだ。
「……それ、だけは……なんの罪もない民まで、滅ぼすことだけは……すべての責は……この朕に……」
「ほう。やり直す覚悟があるのか?」
ばっとカルティナスは顔を上げた。
見えすいた嘘を並べるように、奴は殊勝な表情を作って言った。
「も、勿論でございます。ですから、メイティレンのことだけは、何卒……」
「主神がなくとも、世界は回る。我がミリティアのように」
さーっと波が引くように、奴の顔面が蒼白になった。
「己が見下した泡沫世界の住人となって生きることだ。神も銀城もなく、裸一貫となって、それでも国と世界を思う心があり、民がそれを認めるのならば、再びバランディアスの元首となれるだろう」
俺は言った。
「つまらぬ神に世界を委ねるな。勝ち取れ。この世界が愛おしいのならばな」
ざっと足音が響く。
城主たちが、不動王カルティナスの背後に立っていた。
俺が踵を返せば、奴らはすぐにカルティナスを取り押さえにかかる。
「……う、あ…………ま、待て……貴様ら……な、なにを……朕は、うぐぅっ……ぎゃあぁぁぁぁぁっ……」
縄で体を縛られ、カルティナスはあっという間に拘束された。
「ミリティアの元首、アノス殿」
ザイモンが俺の前に立つ。
その後ろには三人の城主がいた。
恐らくは、カムラヒを駆っていた三人であろう。
「……かたじけない……本来ならば、主神を滅ぼされた我らバランディアスは、すべてを奪われるが常……この情けを忘れはしない……」
「なに、その当たり前が気に食わなかっただけだ」
「陛下」
ファリスが俺に視線を向ける。
「……不動王カルティナスには当然の結末なれど、城魔族たちは生きて戻れぬ崖に突き進むことになるかもしれません……その戦いは、あまりに酷かと……」
バランディアスのため、とりなそうと進言するファリスへ、ふっと笑みを返してやる。
「お前はやはり戦士ではないな」
<飛行>にて、俺はゆるりと飛び上がった。
ファリスは頭上を見上げ、戸惑ったようにこの身を視線で追う。やがて、その視界に、翼を広げるゼリドヘヴヌスが映った。
「――<創造芸術建築>。あれが、お前の本来の翼なのだな」
ファリスは視線を下げる。
傍らには、ザイモンがいた。彼はゼリドヘヴヌスを見上げている。
「美しい城だ……。城を美しいと感じるのは、生まれて初めてかもしれん……」
空を行く翼に視線を惹きつけられながら、ザイモンは傍らに立つ戦友に言葉をこぼした。
「創術家というのは、すごいものだ。戦うしか能のない俺とは違う」
ファリスは目を丸くする。
「志は同じと信じていた。だが、お前は俺とは、違ったのだな」
ファリスは申し訳なさそうな表情を浮かべる。
だが、ザイモンはすぐに頭を下げた。
「……すまん……ファリス……。俺はお前に、重荷を背負わせた」
再び、ファリスの瞳が驚きに染まる。
彼は、否定するように首を何度も横に振った。
「……いいえ。いいえ、ザイモン。私は自ら望んで背負ったのです。まっすぐ、美しく、清々しいほど愚直な心を持つあなたたちが、傷ついていくのをただ見てはいられなかったのです。私は自ら戦士となる道を選んだ。にもかかわらず、最後の最後にあなた方を裏切り、結局カルティナスを――」
言葉を遮るように、ザイモンはファリスの肩に手を回す。
「なあ、戦友よ。俺が弱かったのだ。俺は強くあらねばならなかった。お前が自由に絵を描けるほど、強くあれば、お前の心を二つに引き裂いてしまうこともなかった」
ザイモンは真剣な顔で言う。
「これは俺の責だ。俺が元首になればよかったのだ。そうであろう」
創術家として、強くなくともよかったファリス。
戦士として、強くあらねばならなかったザイモン。
それでも、今間違えたと悟った彼は、ファリスに責を押しつけるほどに弱くはなかった。
「出直すぞ。泡沫世界から。なあ、皆の者っ」
ザイモンは振り返り、城魔族たちへ言う。
「一から、このバランディアスをやり直そう。我らが翼が教えてくれた。主神の権能にすら、我らは立ち向かうことができるのだ! そして、ミリティアの元首、暴虐の魔王アノス・ヴォルディゴードが教えてくれた。我らは世界の秩序に立ち向かい、主神さえも打ち倒すことができるのだ、と!」
城魔族たちは晴れやかな顔でうなずく。
ここからが、バランディアスの始まりだと言わんばかりに。
「新しい城を築こうぞ。愚かな王や、強いだけの主神に支配されることのない、俺たちの城をっ! 戦うだけではない、絵画や美しい城に溢れた、素晴らしい世界をっ! そして、いつしか、我らをここまで導いた翼、銀城創手をここに招くのだっ」
「「「応っ!!!」」」
城魔族たちが声を揃える。
そうして、彼らはファリスのもとに集まっていく。
「ファリス殿、たとえミリティア世界に戻ろうとも、我らのことはお忘れなく」
「あなたは今もバランディアスの翼。城魔族の目が覚めるまで、戦って下さった。このご恩は一生忘れることはない」
「安心してくだされ。我らも誇り高きバランディアスの城主。創術家でありながら、城剣を手に戦った勇姿を見て、奮い立たぬほど腑抜け揃いではない」
ファリスに裏切り者の負い目を持たせぬよう、皆、笑顔で彼を送り出そうとしていた。
絵を描きたい、とあの場で崩れた落ちたファリスの嘆きが、城主たちの心を打ち、その魂を奮い立たせたのだろう。彼らの戦士の魂を。
ファリスがこれまで築いてきた絆を眼下に見ながら、俺は彼らに声を飛ばした。
「生まれ変わったバランディアスの門出だ。我がミリティア世界からも、餞別をくれてやろう」
バランディアスの空に浮かんでいた<終滅の日蝕>。
それが反転し、今は赤銀の光を発している。
<源創の月蝕>だ――
『――三面世界<創世天球>』
ミーシャの声が天に響き、赤銀の月明かりが降り注いだ。
灰と化した王虎メイティレンの骨、崩れ落ち破片と化した<因果の長城>が、その創造の権能によって少しずつ創り変えられていく。
「あともうちょっと、がんばるぞぉっ!」
「えいえい、おーえん……です……!」
赤銀の月明かりの中、コウノトリの羽根が無数に舞う。
<根源降誕母胎>によって、創り出されていく想いは、無数の愛と優しさである。
「レイ君も聖剣で大変だろうけど、もう少しがんばるんだぞっ」
「……わかってるよ」
霊神人剣エヴァンスマナの力を解放しながら、レイはエレオノールが生み出した愛と優しさを<想司総愛>に変換する。
「カカカッ、ついでに希望も持っていきたまえ!」
機関室のエールドメードは、倒れた缶焚きの代わりにスコップを握り、火室に勢いよく投炭する。
神の魔力とともに、激しく炎が渦巻いた。
『……うごごっ……や、やめろぉ……私はぁぁ……』
エクエスの声が響き渡る。
魔王列車の水車と風車が勢いよく回転し、バランディアスの絶望が希望へと変換されていく。
『<優しい世界はここから始まる>』
第二バランディアスが赤銀に染まった。
ミリティア世界で行ったときと同じように、ミーシャは創造神の権能にて、バランディアスの秩序を整え、王虎メイティレンと<因果の長城>を優しく創り変えていく。
「――王虎メイティレンの消滅を確認しました」
上空で事態を見守っていた裁定神オットルルーが言った。
「オットルルーは、ここに魔王学院の勝利を宣言します。主神が消滅したため、バランディアスの火露の所有権が、ミリティア世界へ移ります」
<優しい世界はここから始まる>により、メイティレンが別物に創り変えられたため、主神としての資格を失ったのだろう。
「いらぬ。それはバランディアスのものだ。ファリスの火露だけ返してもらおう」
「バランディアスの全火露を回収すれば、ミリティアは深層世界へ至ることもできます。本当によろしいですか?」
「構わぬ」
「承知しました。主神を滅ぼした元首の決定に従います。火露の回収は独力で可能ですか?」
俺は<源創の月蝕>に視線を向けた。
さすがに火露の見分けはつかぬ。
『ファリスの火露は、ここにない』
ミーシャが言った。
『第一バランディアスだと思う』
「ふむ。では、そこまで行かねばならぬか」
「問題ありません。距離は離れても、秩序はつながっています」
オットルルーが魔法陣を描き、その鍵穴にねじ巻きを差し込んだ。
三度それを回せば、魔法陣が開かれ、その奥に火露の光が見えた。
「どうぞ、お受け取り下さい」
赤銀の月明かりが降り注ぎ、火露はゆっくりと<源創の月蝕>に吸い込まれていく。
「……これは…………?」
オットルルーが、不思議そうに地上を見つめる。
その神眼の奥に、歯車が現れていた。
「……滅びたはずの主神の力……? 確かにメイティレンの消滅を確認したはずですが……?」
「よく見ておけ。バケツの穴の塞ぎ方をな」
赤銀の月明かりが収まり、空にあった<源創の月蝕>は消えた。
バランディアスの再創世が終わったのだ。
「……空が…………」
地上でザイモンが呟いた。
城主たちがこぞって頭上を仰ぎ、それを見つめていた。
生まれ変わったバランディアス。
天蓋は消え去り、そこにはかつてはなかった果てしなく青い空があった。
「……バランディアスに青空ができるなど…………」
「ザイモン。あれを……」
二人は目を見開く。
青空に浮遊しているのは、巨大な八枚の翼。より正確に言えば、翼の形をした建物である。
「ふむ。なにを創ったミーシャ?」
空を飛ぶサーシャとミーシャが俺の位置まで降下してくる。
「見てみる?」
俺はうなずき、地上にいる城魔族たちを振り返った。
「ともに来い。お前たちを支配していた<因果の長城>がどう変わったのか、その目で見ておくことだ」
生まれ変わった銀城世界の象徴――
いつもお読みくださり、ありがとうございます。
十一章も残すところ、あと一話、エピローグのみとなりました。
次章につきましてはまたプロットなどを練る時間が
必要となりまして、一ヶ月後、4月23日より再開予定です。
お待たせして申し訳ございませんが、
面白い物語が書けるように精一杯努力して参りますので、
何卒よろしくお願い申し上げます。