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二千年後に祈りを込めて


 涙花の花畑。

 長く伸びた花々の間に身を潜めるように寝転びながら、俺はこの場を俯瞰していた。


 目に映っているのは、レノだ。彼女は魔法で水球を作り、しとしとと愛情の雨を降らしていた。


 涙花の花々はすくすくと成長し、また新たな種をまく。

 花の数が増えていったが、まだその場所の半分は更地だった。


 この視界は、エニユニエンにいるレイやミーシャたちと共有している。

 レノは半霊半魔の子を、その身に宿した。


 まもなく、なにかが起きようとしている。

 そんな予感がしたのだ。


「レノ様」


 嗄れた声が響く。エニユニエンのものだが、その声は遠かった。

 花畑のドアは開いており、そこから聞こえてくるのだ。


「レノ様、その場所はわしの魔眼が届きませんのじゃ。あまり無理をなされぬように」


「大丈夫だよ。それに、精霊は私以外に水やりできないでしょ。枯れちゃったら、シンが戻ってきたときに、きっと悲しい想いをするから」


「……うぅむ。では、旅芸人の方々にお任せしてはいかがかのう?」


「アノシュたちだって、いつここを出ていくかわからないんだから。できることぐらい、自分でやらなきゃ。それに、今日は愛を持て余しちゃってるから、もったいないと思って」


 一通り、涙花に水をやり終え、彼女は花畑を嬉しそうに見つめた。


「……本当に、あれで、よかったのかの?」


 エニユニエンが、改まったようにレノに訊いた。


「あれでって?」


「母なる大精霊レノ、あなた様の噂と伝承には、あらゆる精霊たちの母とある。いついかなるときも、あまねく精霊だけの母とのう」


 神妙な声でエニユニエンの大樹は、声を響かせた。


「その子は、半分が魔族じゃて。産んでしまえば、あなたは噂と伝承に背く。潰えることになるのじゃ。わかっておるのじゃろう?」


「うん。わかってるよ」


 あっけらかんとレノは笑う。

 まるで、それがなんでもないことのように。


「私ね。おばあちゃんが言ってたこと、ようやくわかったんだよ」


 エニユニエンの大樹は、うぅむ、と唸る。


「大戦の樹木、ミゲロノフのことかの?」


「あ、そっか。エニユニエンはおばあちゃんに会ったことないよね。あのね、これは、精霊の宿命なんだって。精霊として噂と伝承を守るか、それとも、噂と伝承に背き、大切なものを守るか」


 レノは慈しむように、その指先を自らの腹部にそっと当てる。


「私は母なる大精霊レノ。そのことを疑問に思ったことはないし、精霊たちはみんな私の大切な子どもだよ。でも、だけどね、私は出会っちゃったんだよ。私をただのレノにしてくれる人に、私は出会ったんだ」


 優しげなその眼差しには、決して揺らぐことのない決意が見える。


「私は産むよ。なにがあっても。この子は、シンがくれた、シンがなにを捨てても欲しかった、彼の愛だと思うから」


「……それを言わずに、よかったのかのう……?」


 ほんの少し悲しげに、レノは微笑む。


「シンは産むなって言うかもしれない。まだ愛を信じられないから、自分の愛を夢だと思ってるから。でも、どうせ私は産むって決めたから、なにも変わらないよ」


「それでも、産まれるまでの間、レノ様のおそばにいてくれたじゃろう」


 レノはしばらく黙り込んだ後に、「うん」と小さく呟いた。


「……でも、引き止めたくないよ。私はシンの妻になったんだ。魔王の右腕の妻になったんだよ」


 エニユニエンは、うぅむ、と唸る。


「シンには、わがままばかり、言ったから。今度は私の番。シンにしてあげられる精一杯のことを、私はしてあげたいよ」


 十月十日が彼女の寿命。

 その間にレノがシンにしてやれることは、確かに殆どなかっただろう。


「シンは魔王の腹心として、それから、自分の空虚を埋めるために転生する。彼が振り返らず、まっすぐそこへ迎えるように、送り出してあげたかったんだ」


 それに、とレノは続けた。


「私が潰えるとき、シンがそばにいたら、泣いちゃうかもしれないから。悲しい涙はやっぱりいらないよ。シンには、笑顔を覚えておいて欲しかったんだ」


 悔いはないといったように、晴れやかな表情で、レノはそう言った。


「……二千年後、レノ様が潰えたと知った精霊王様は、悲しむことになるかもしれんのう……」


「それはね、そうかも。ほんのちょっとだけ、意地悪だけど、私は期待してるよ」


 エニユニエンが戸惑ったような声を発する。


「……期待、というのは……?」


 ふふっ、とレノは笑った。


「シンは、私の愛の偉大さを思い知って泣けばいいんだよ。沢山沢山、泣けばいいんだよ。そうしたら、彼は気がつく。きっと、気がつくはずだよ。私のことが好きだったんだって。私を愛してたんだって。シンは欲しいものがようやく手に入るんだよっ」


 愛を教えてあげる。

 そう口にした自身の言葉を、レノは最後の瞬間まで守り通そうとしたのだろう。


「ちょっぴり馬鹿な考えかもしれないけど、でも、仕方ないのかもって、思う」


 花畑に置かれた鉄のじょうろに、レノはしゃがみ込み、そっと手を伸ばす。


「だって、私は恋をしてるんだ。好きになってほしいと思うよ」


 それを使い、またレノは涙花に水をやり始めた。


「あの朴念仁を振り向かせるんだから、命ぐらい懸けなきゃねっ」


 ニコッとレノは笑う。

 強がるわけでもなく、憂いもなく。


「大丈夫。私のお腹にはシンが残していってくれた愛があるから。こんな奇跡が起きたんだから、きっと、それぐらいは叶うはずだよ」


 固い決意を込めて、晴れやかに彼女は言った。


「私は、後悔しないよ。これは精霊の宿命だから。それに、恋をしたんだ。これは、命懸けの恋だった」


「レノ様がそう言うのならば、最早――」


 バタン、と扉が閉まり、エニユニエンの声が消えた。


 生温かい風が吹いていた。

 不穏な空気を纏って――


「エニユニエン?」


 疑問の表情を浮かべるレノ。

 次の瞬間、声が響いた。


「――神殺しの凶剣が愛をくれた? ははっ、君たちは本当に愚かなことを言う。愚かで愚かで、なんと滑稽極まりないのか」


 傲慢で厳かな響きが、涙花の花畑を震わせる。

 それは聞き覚えのある声だった。

 

「間違っているよ、母なる大精霊レノ。蒙昧な君に知恵を授けよう」


 レノの目の前に、エールドメードの首が浮かぶ。

 弱々しい魔力を放つ彼は、天父神ノウスガリアである。


「神殺しの凶剣に、愛はない。アレにあるのは心を求め、それを真似ようという哀れな憧憬だけだ。優しいフリを、悲しいフリを、しているのだ、あの魔剣は」


「そんなことないよっ! なにも知らないくせに、シンのことをちゃんと見てもいないくせにっ」


 レノの言葉にまったく応じることなく、彼は続けた。


「では、なぜシン・レグリアは君を愛するようになったのか? 答えは一つしか考えられない」


 高らかに、神託をもたらすように、彼は言い放つ。


「神の奇跡によるものだ」


 レノは身構えながら、ノウスガリアを睨む。

 ぐっと奥歯を噛み、彼女は訊いた。 


「……なにが言いたいの?」


「私は愛を授ける、と神殺しの凶剣に言った。奴はそれを斬ったつもりだったのだろうが、しかし、神の言葉は絶対だ。それは確かに、シン・レグリアの空虚な根源を埋めたのだ」


 ノウスガリアはシンに、こうも言っていた。

 大精霊レノを母胎として産まれる、神の子を育てよ。魔王を滅ぼす、世界の秩序を――と。


「奇跡を起こすのは愛などではない。いつでもそれは、神の御業だ」


「嘘……」


「神の言葉は真実だ。神殺しの凶剣がこいねがった愛も、母なる大精霊レノが望んだ自分らしくあるという願いも、その身に宿った奇跡の子種さえ、すべては天父神の秩序に従ったもの」


 厳かな口調でノウスガリアは言った。


「その身に宿ったのは、シン・レグリアの子ではない。彼の体は媒介に使われたのだ。魔王を滅ぼす、神の子の種の」


 魔法陣が描かれ、そこから魔力で作られた白い腕がぬっと現れる。

 その手には翠の本があった。本の妖精リーランだ。一八○○巻と書かれている。


「つい先程、追加されたページだ。よく見ることだ」


 魔力によって、本が開かれた。

 そのページに記されていたのは、暴虐の魔王アヴォス・ディルヘヴィアのことだ。


「暴虐の魔王が……精霊に……」


 レノが深刻な表情で、そのページをじっと睨む。

 それが途方もない災厄だというのがすぐにわかったのだろう。


「お膳立てはした。君の精霊眼にははっきりと映るはずだ。その身に宿した子の噂と伝承が、アヴォス・ディルヘヴィアのものだということが」


 レノはその琥珀の目を、険しくした。

 信じられないといった表情を彼女は浮かべていた。


「……魔王アノスの魔力が……」


 シンとレノがもうけた子から、暴虐の魔王の魔力を感じる理由は一つ。その根源を形作る噂と伝承が、アヴォス・ディルヘヴィアのものだからだ。


「すべては運命に導かれている」


 大仰にノウスガリアが言う。


「さあ、今ここに神の子が誕生する」


 神の言葉が、レノのお腹に魔法陣を浮かばせた。

 彼女がその身に宿す子の魔力が、途端に顕在化していく。


 <成長クルスト>。

 神の子が急成長し、産まれようとしているのだ。


「やめて……。今産まれたら、生きられない……」


 レノはぐっとお腹を押さえる。

 だが、神の子の誕生は止められない。


「ははっ。喜ぶといい、神の子は女のようだ。君の後を継ぎ、新たな精霊の母となるだろう。さあ、喜び、祝え。偉大なる神を、この世の秩序を産む、母胎になれたのだから」


 ノウスガリアは邪気のない笑顔で言った。


「だめっ、だめだよっ……まだっ……!」


 レノのお腹に浮かんだ魔法陣から、透明な赤子が姿を現した。


 その子は花畑の宙に浮かんでいる。

 母胎から切り離され、今にも根源が消えそうなほどに弱々しい魔力しか持っていなかった。


「あ……」


 レノはがくん、とその場に膝をつく。

 神の子が生まれたことで、レノは自らの噂と伝承に背いた。


 母なる大精霊は、今、潰えようとしているのだ。


「どうする、母なる大精霊? 君が望まぬ命、暴虐の魔王を滅ぼす秩序だ。放っておけば滅びるが?」


 レノは力の入らぬ手をぐっと握り、花畑の涙花をつかんだ。


「……お願い……生まれて……この子を助けられる、精霊が、誰か……」


 涙花は次々と光になって消え、沢山の精霊を生んでいく。

 花畑はみるみる内に荒野に変わっていった。


 そして、最後の一本の花が消えたとき――


「……いた……生まれた……」


 レノが希望にすがるように、顔を上げる。


「……時空の泉エゼッセイ……生まれたばかりでごめんね。お願い、彼女を連れていって。彼女が生きられる場所に……二千年後につれていってあげて。きっと、魔王が救ってくれる……きっと……救ってくれるはずだから……」


 最後の力を振り絞るように、レノは精霊魔法で、その赤子に、絹のおくるみと柔らかい木で編んだゆりかごを作った。


「ごめんね、抱いてあげることもできなくて。名前もつけてあげられなくて。あなたが、良い人に拾われることを心から願ってる」


「ははっ」


 ノウスガリアが軽い調子で笑った。


「神の計画は絶対だ。その子は君の言う愛の証ではない。シン・レグリアの子でもない。なのに、なぜ助けるのか。神の言葉により、君は神の子を生む母胎となった。つまり、神の子の母と――が……!」


 ノウスガリアの言葉が寸断される。

 その口に突き刺さっていたのは、斬神剣グネオドロスだ。


 天父神が、その目を後ろに向ける。

 シンが、そこにいた。


「やあ……神殺しの凶剣……遅かったね……今更、私を殺しても無駄なことだ。神の子はたった今、誕生した。架空の魔王アヴォス・ディルヘヴィアの噂と伝承を持つ、大精霊とし――」


 ノウスガリアが最後まで言葉を発する前に、シンはグネオドロスを振り下ろし、その首を真っ二つに切断した。

 二つに分かれた首は霧散するように弾け、天父神の魔力が、この場から完全に消え失せる。


「レノッ」


 シンは駆けより、今にも消滅しそうなレノの体を抱き抱える。


「……申し訳ございませ――」


「ありがとう。シン。守ってくれて」


 震える手をレノは必死に伸ばす。

 それをシンはしっかりとつかんだ。


「ごめんね……シン……私、嘘をついた……」


 悲しい顔でレノは言った。


「……愛じゃなかったんだ……奇跡なんかじゃなかったんだ……」


 瞳に涙を溜め、それでもこぼさないように、彼女は気丈に耐える。

 そうして、絶望に染まったような暗い声で、そっと呟いた。


「……あなたの子どもじゃなかった……」


 悲しみに染まりそうな表情を浮かべる彼女は、それでも決して泣かなかった。


「……ごめんね……シン、愛を教えてあげられなくて……ごめんね……」


 繰り返し、繰り返し、彼女は彼に謝った。


「シンは私に沢山のものをくれたのに。なにも、返してあげられなくてごめんね。あの子は……」


 ぐっと涙をこらえ、レノは言う。


「あの子は、二千年後の未来に行く。もし、あの子が世界の平和を脅かすなら、あなたの手で――」


「男の子ですか?」


 シンの問いに、レノは一瞬押し黙る。


「それとも、女の子ですか?」


「……女の子……」


「わかりました。どうか、ご安心を」


 シンはまっすぐな瞳で言った。


「必ず、守りますので」


 驚いたようにレノは目を丸くする。


「彼女が二千年後も生きていられる世界を、私が作ります」


「……だって、だめだよ……。あの子の噂と伝承は架空の魔王アヴォス・ディルヘヴィアだから……あなたは、そんなこと……」


 訴えるように、レノは言った。


「……そんなこと、できないよ……シンは魔王の右腕なんだから……そんなこと、させられない……」


 彼の気持ちを慮ったレノに、シンは優しく言った。


「それでも、あなたが私にくれた、愛に違いありません。たとえそこに、神の意図があったのだとしても」


「だけど……」


「……死なせはしません。たとえ、我が君に……」


 一旦言葉を切り、シンは毅然と言った。


「我が君に背こうと、私は架空の魔王アヴォス・ディルヘヴィアの噂と伝承を広め、それを守ります……」


 レノの体が消えかける。

 紫色に光る半透明の泉が、空から降りてきて、赤子の体を覆った。


 シンは木のゆりかごに、剣を走らせる。

 刻まれたのは、『ミサ』という二文字だ。


 彼は言った。

 優しく、とても、優しく。


 まるで愛を抱きしめるように。


「彼女は、私の子ですから。あなたがくれた、大切な、愛です」 


「シ――」


 レノの発した声は、音に鳴らずに、すっと消えた。

 噂と伝承に背いた彼女の根源は、限界を迎えようとしている。


 伝えてやることはできぬ。彼女は伝えられなかったのだ。

 <思念領域リクノス>を使い、俺はレノの思念を読み取っていた。


 ――シン――


 ――どうして? 声が出ないよ――

 ――<思念通信リークス>も使えない――


 ――まだ伝えたいことがあるのに――

 ――言わなきゃいけないことがあるのに――

 

 ――ごめんね、シン――

 ――私はシンの妻なのに――


 ――あなたの足を引っぱってばかり――

 ――いつも、いつも、守ってもらってばかりで――


 ――あなたの誇りを、守れなかった――


 ――シンがなにより大事にしていたもののはずなのに――



「うまくいかないものですね」


 シンがそっと呟いた。


「あなたの笑顔を見たかったのですが、私は言葉を知りません」


 とめどなく、レノの瞳から涙がこぼれ落ちる。

 それをシンが拭うと、彼の手の平に一輪の白い花が現れた。


「最後に悲しませてしまい、申し訳ございません」



 ――笑わなきゃ――

 ――どれだけ、そう思っても、涙は一向に止まらない――


 ――悲しいときは泣かないよ。私の涙は精霊になるから――

 ――子供が生まれるときは、やっぱり嬉しい涙がいいよ――


 ――ずっと、そう思っていたはずなのに――


 ――こらえようもなく、涙が大地に落ちて、悲しい花を沢山咲かせる――

 ――泣いても泣いても、奇跡なんて起きるはずもないのに――


 ――ねえ、シン。あのね――


 ――きっと、伝わってないと思うけど――

 ――私は、後悔なんてしてないよ――


 ――シンと結婚できたから――


 ――ありがとう、シン――

 ――私に恋を教えてくれて――


 ――ありがとう、シン――

 ――私を守ってくれて――


 ――たった三日間の結婚生活だったけど――


 

 ――私は誰より幸せだったよ――



 レノの姿が透明になり、そして完全に消滅した。

 ミサを覆っていた魔力の泉が渦を巻くと、その中にゆりかごがすうっと吸い込まれていく。


 やがて、ミサの姿と一緒に、時空の泉エゼッセイは消えた。


 気がつけばレノの流した涙で涙花の花が咲き乱れていた。

 その花畑の中心に、シンはゆっくりと歩いていき、鉄の剣を突き刺した。


 まるで、彼女の墓標のように。


「……愚か者とは私のことを言うのでしょうね……」


 手向けるようにシンは一輪の白い花を、鉄の剣に供えた。


「あなたを幸せにしたかった」


 そのとき――

 シンの姿が白銀に染まった。


 シンだけではない。

 その花畑自体が白銀に染められている。


 次の瞬間、まったく別の光景がその場をよぎった。

 世界が裏返り、早送りにしたかのように、次々と風景がこの場を流れていく。


 そうして、白銀の世界に亀裂が入ると、粉々に砕け散った。


 その裏側から現れたのは、宝物庫だ。

 <時間遡航レヴァロン>の魔法を終わらせ、元の時代に戻ってきたのだ。


 隣にいるミーシャが涙を浮かべていた。

 サーシャは泣いている。エレオノールも、ゼシアも。


 レイは悲しげな表情でぐっと奥歯を噛み、リィナは物憂げな顔をしていた。


 一歩、俺は歩を刻む。

 彼らがゆっくりとこちらを向いた。


「二千年前の悲劇はもう幕引きだ」


 彼らに向かい、俺は言った。


「これから、すべてを取り返しに行こう」


すべてを取り返しに。

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― 新着の感想 ―
アニメで見たこの展開を知っていたのに涙が止まりません!
[一言]  相も変わらず無知蒙昧な、天父神……。
[一言] CLANNAD after storyの渚の出産を思い出した… アニメでもみたけど、大精霊レノ役の阿澄佳奈さん、シン役の羽多野渉さんの演技も相まって涙が止まらなかった。 作画の方もレノが消え…
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