ひし形
赤と、白と、緑。
それぞれの、思いを込めて、飾ってある。
ひとつ、ひとつ、言葉がある。
先の人を尊び、今の足形を見つめ、後の息吹に思いをはせる。
三段に飾った人形が、ガラス越しにこちらを見つめ。
母から譲られた瞳が、その人形を見つめ返す。
わかっているよ。
ガラスにそう、答えて。
僕の瞳が、後ろを向いて。
盃と、皿と、僕を、待っている人がいる。
畳に座って。
視線を逸らしたら。
年に一回の、僕の気持ちを海に流そう。
言葉と、気持ちと、魂を載せて。
依代が、波に崩されて、容を失う様を思いながら。
その魂が、戻ってこないように。
終わったら、砂糖菓子を食べよう。
甘く、甘く、大地を食べよう。
また来年まで、おやすみ。
今日は、ごちそう。
明日は、普通の日。
ごちそうの日は、一年後。