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ラブコメ終わりました。

作者: 佐野梢

作者が書いたことないジャンルに挑戦!



のはずがまたもやコメディに…………



なぜだぁぁぁぁ!

 これは俺のラブコメのようなもの。あまり深く人と関わって来なかった俺が経験した数少ない話。




 ◇◇◇◇




 その女との出会いは、思ったことを手軽に発信できる“つぶやく”のアカウントを使って声や映像を発信できる“つぶやきラジオ”と呼ばれるアプリだった。たまたま俺がハマってた時にやってて見に行ったのがきっかけだった。つぶやきラジオには二種類のアプリがあって声や映像を発信するつぶやきラジオと発信してる人のを見に行くつぶやきラジオ~閲覧~がある。


 使ってる人はラジオと閲覧と呼んでて、閲覧の方ではコメントを打ち込むことでラジオ主さんとコミュニケーション取れる。俺は主にラジオを配信する側だけどたまに閲覧側になったりもしてた。そしてこれまた、たまたま閲覧の方にいたときにその女と知り合ってしまった。その女のハンドルネームは“シュガー”。自分と同じ趣味を持つ人を検索してて行きついた人の一人だ。


 アニメ鑑賞が趣味で、アニメ好きの人を探して語りたくて、ラジオ友達を増やしていた。彼女のことも俺は、数いる友達の一人だとしか思ってなかった。


 シュガーの声は女の子らしい声をしているのに耳にキンキンくるような高さじゃなく、スーッと耳に入ってくる声で“あ、この声いいな”とは思っていた。


 ラジオ友達になった人とレーンの連絡先やSkybeの連絡先を交換してラジオしてない時も交流できるようにしてた俺は、何度も彼女のラジオに顔を出し、コメントもして、連絡先を交換して欲しいって伝えることにした。


「閲覧17名の方ようこそ、よかったら通知フォローサポートお願いします。」

 シュガーのラジオに入るとお馴染みの挨拶が聞こえてきた。この挨拶はラジオに慣れたラジオ主は大体してるもので一種の様式美みたいなものだ。


 それにしても、いつ聴いても耳にすーっと入る聞きやすい声だ。


 シュガーのラジオで人が集まる一つの理由がこの声だろうと俺は思ってる。コメント欄に書き込まれてくコメントを眺めてシュガーの声を聞きながらそう考える。そして俺も書き込む。


 “こんにちは、初見です”

 別に初めて見に来たわけではない。ただシュガーのとこではこういうふうに挨拶する人が多く俺も便乗してるだけだ。


 コメント打ち込んでからシュガーのところで見れるようになるには時間がかかるから少し待ってから反応を見る。ちなみに俺のハンドルネームは“ソラ”。理由は単純、名前の一部からとってだ。ちなみに俺の名前は鈴木颯汰、名前の“颯”の音読みでソラ。我ながら安直だとは思う、だけど意外と気にいってたりもする。


「あ、ソラさんだ! 初見じゃないでしょ〜。」

 シュガーがコロコロと笑いながら言う。楽しそうに笑って言ってる感じは、言われ慣れてるんだなぁ、やっぱりラジオ慣れしているからかなぁと思った。


 シュガーのラジオにはたまにシュガーの友人が出たりもするらしい。俺はまだ聞いたことないから分からないが、コメント欄に“梓さんは?”といったコメントがあるのを見たことがあるし、それに対してシュガーが“梓は今日合コンだよ〜”とか返してるのを聞いたから多分梓さんがシュガーの友人で、たまたま一緒にいるときに開いたりしてるんだろうと思っている。


 俺がシュガーのラジオにくると何故か決まってされることがある。それは…………、

「ソラさーーーん! ソラさんソラさんソラさーーーん!」

 こういう風に名前を叫ばれることだ。何回かくるうちになぜか定着した行為だ……。ほかの閲覧者も“またか……”みたいな反応だ。しかもこの名前を叫ぶという行為、俺の知っている限りでは俺だけ(・・・)なのだ。


 これが意外と嬉しいものなのだが、でも鬱陶しくもある。ほかの人はされてないのに自分だけされてるというのは、ちょっとした優越感を得られて、しかもなんか自分だけ特別扱いされてるみたいでいいのだが、毎回叫ばれても困る。


 とりあえずお決まりが終わったので本来言いたかったことを言う。


 “レーンかSkybeやってませんか? よかったらそっちでも友達になってくれませんか?”

 今日はお友達になりませんかってシュガーに聞きに来たんだった。大抵の場合は喜んでって言ってくれるけどたまにレーンもSkybeもやってなくて友達になれなかったりもする。シュガーはどうなんだろうか? ドキドキしながら返事を待つ。


「よかったら友達になってくれませんか? ってソラさんが! うちでいいの!? うちは大歓迎、すごく嬉しいです!!」

 なんかとても嬉しそうにしてた。シュガーからもOKがでたのでレーンのIDとSkybeのIDを交換してこの日は終わった。





 ◇◇◇◇





 連絡先交換して少し日がたったある日、シュガーからレーンで連絡があった。シュガーはレーンではハンドルネームじゃなくて本名を使っていた。佐藤真奈というようだ。佐藤→砂糖→シュガーという感じでハンドルネームをつけたらしい……。俺が言うのもなんだが安直すぎるだろ。でシュガーからの連絡がコラボラジオしませんか? というものだった。コラボというのはなんだろうと思って聞き返してみたところ、どうやらSkybeで通話してそれをラジオで流すということらしい。そしてそこでは何個か小ネタをはさんでいくらしい。


 面白そうなので即OKを出した。コラボは俺とシュガーの二人でやるらしい。目玉は新婚アツアツの夫婦を演じるところ? らしい。まぁ十中八九そうはならないだろう。お互いを“ダーリン”“ハニー”と呼び合うらしい、しかもラジオの前というよりいまから“ダーリン”“ハニー”と呼びあうらしい……。嬉しいけど気恥ずかしい……、なんでいまからなんだろうか? コラボまで後1週間あるのになどと思いつつもちょっと楽しくて顔をにやけさせていた。


 そしてコラボラジオを翌日に控えた日の夜、

 “ダーリン♡”

 シュガーから突然レーンでメッセージがきた。彼女はすっかりコラボに向けてなりきっているのだろう、ハートマークまでついてて一瞬ドキッとしたけど彼女はどんな人とも距離感が近いからいつものことなのだろう。そう思うとなぜか少し胸が痛んだ、胸のあたりを見てみるとイヤホンを片方踏んでたので、これが痛かったんだなと思い気にしないことにした。そして俺も返事を返す。


 “どうしたの、ハニー♡?”

 “呼んだだけー♡”

 何なんだろうかこの可愛い生き物は……、一々にやけさせてくる。いろんな人に同じようなことやってるのはわかってる。わかってるけど馬鹿な妄想しちゃうくらいには嬉しい会話じゃないか! にやけないように必死にこらえながら返事を返す。


 “えー!? なんだよう、気になるじゃんか!”

 “明日のコラボラジオ楽しみだなぁって思っただけ〜♡”

 ほんとに顔がにやけてないか確認したい……、俺も楽しみにしてるけどわざわざこうして言ってくるなんて、狙ってないならほんとに大変。きっとこうやって何人もの男を揺さぶってるんだろうと思える。狙ってるなら小悪魔系? と呼ばれるやつなのかもしれない。意図的に男を揺さぶって楽しんでるんだろう。まあ、今幸せな気持ちになれてるから揺さぶられててもいいかと思えるところがすごい。この後はにやけるのをこらえながらも他愛のない話をして終わった。


 そして迎えたコラボの日、準備を整えSkybeを起動する。そしてシュガーからの着信を待つ。トゥートゥートゥー。コール音がなる、着信は……シュガーからだ。とりあえずでる、まだラジオが始まってないのに着信がきたので少し不思議に思いつつもシュガーに応答する。

「もしもし」

 すると少しホッとしたような声で、

「あ、ソラさん? よかった〜、早めにかけたからまだ出れないかなぁって思ったんだけどどうしても待ちきれなくて……。」

 と、可愛いことを言ってきた。


 これに少し笑いながら返す。笑ったから少し緊張がほぐれたみたいだ。彼女の狙いはこれかな? などと思いながら、本当にこれが狙いならすごい人だなと改めて思った。

「そんなの気にしなくて大丈夫ですよ、気にしすぎです。」

「でも、忙しいかもとかって気になるじゃん?」

 相手の都合を気にしすぎちゃう気持ちはわからなくもない。相手が忙しいんじゃないかな、迷惑じゃないかなとか考えることは俺もよくあるからだ。


「その気持ちはわからなくもないけど……、約束してるんですから予定開けてますよ。」

「そうだけど〜、気になるものは気になるじゃん?」

「まぁ……、そうですね。」

 ここから少し他愛のない話してたら、コラボの時間になった。


 シュガーがいつものようにラジオを始める。ラジオ開く前の感じはいつも見れない部分なのでなかなか新鮮だった。

「閲覧25人の方ようこそ〜、通知サポートフォローしてない方はできたらして欲しいです。それと、今日は予告してた通りSkybeによるコラボラジオを開きます。コラボ相手はソラさんです。」

 シュガーに紹介された。俺もここで喋る。

「紹介されましたソラです。今日はコラボよろしくお願いします。」

「はーい、おねがいしまーす。ダーリン♡」

 どうやらもう始まるみたいだ、俺もネタとして参加する。



「どうしたのハニー?」

 この辺でコメント欄を見てみる。

 “すごい甘甘な空気…”

 “コラボキター!”

 “初見です”


 コメント欄を確認するために閲覧を開いたらこんな感じになってた。他にもあったが概ねこんな感じのコメントだった。コメントに反応するのはシュガーに任せてコラボを進める。

「新婚夫婦がよくやってるあれやりたいなー? って思って。」

 あれって言ったらやっぱり玄関先でやるあれだろうか? あれだと思うしやってみたいかな。面白く返せるかは不安だけど。

「いいですね、やってみましょうか。…………いきますよ?」

 とりあえず俺が帰ってくるとこから始めないとだよな……、始めるにしてもシュガーがいいよって言ってからかな。


「はい、………ダーリンまだかなぁ?」

 す、すごい……!! 一瞬で声が変わった。いつもの楽しそうな声から、思い人を待ってる少し切ない感じの声にいきなり変わって、正直圧倒された。がいつまでもこうしていちゃいけない。

「ただいま〜。」

「おか〜えり〜。」

 …………。一向にあの有名なセリフが来ない。あちらが始めないと俺は続けられない。そわそわしながら待つ。コメント欄にも続きはよといった書き込みが見える。だがしかしシュガーが動かないことには俺もなにもしようがない。とりあえず待つことにする。


「ねぇ……、まだぁ?」

 しびれを切らしたかのような声で言う。事実しびれを切らしたのだろう。

「んー?なんか言いたいことありそうな顔してたから。」

 とりあえず適当に返しとく。あのセリフ来ないとこちらも反応出来ないから言ってもらわないと。

「言わせるの? ……もう、ただいまのちゅーは?」

「へ?」

 しょうがないなぁといった感じの声で、言われた内容が予想してたものとちがくて、俺はつい間抜けな声をだしてしまった。


「ずっと待ってるんだからちゅーしてよ。」

 今度は少し可愛らしくおねだりしてくる。正直かなり動揺してる。俺もちゃんと返さないと……。

「そうだったね、そこにある花瓶にちゅーすればいいかな?」

「なんで花瓶なのー! うちにしてよー!」

 思わず花瓶にと言ったらすぐに反応が来た、なんで花瓶なんだろうか?そのへんの壁でもいいはず……。


「そうだね……、それは哲学だね、そのへんの壁でも床でもいいのになぜ花瓶なのか。うーん……、難しいね。」

「そうじゃなくて!! うぅ〜……、どうしてうちの口にしてくれないの……。」

 ちょっと泣きそうな声に変わる。演じてる感じが全くしないので結構焦る。コメント欄にも、ソラどうすんの? みたいなのや、泣かしたーサイテーなんてのがちらほら見える。


「泣かないで……、ほら、ちゅっ。」

「ちゅー、えへへ……。おかえり、ごはんにする? お風呂にする? それ……」

 はにかむというのを声だけで表現してすぐ後に俺が予想してたのを入れてきた。こっちは対処出来る。考えてたボケを入れる。

「今すぐ寝るかな」

「寝ちゃうの!?」

 コメント欄からの寝るなってツッコミも多くて滑らなかった。よかったと思いながらそのあとのコラボも続けて、そして終わった。




 ◇◇◇◇





 コラボが終わったある日、シュガーからのレーンが来てた。

 ”またコラボしませんか?”


 しかし俺にも予定がある、就活をしなければならない。その旨を伝えると、

 “そうですか……、仕方ないですね”

 こう返ってきた。

 その日はそこで終わった。



 しかし、またある日コラボの依頼がやってくる。

 今度はもっと砕けた言い方で、

 “コラボしよーよー”

 などと来る。

 こんな砕けた関係だったかななどと思いつつ

 “友達と遊ぶ予定があるので……”

 と返しておく。するとシュガーは、

 “友達と私どっちが大事なの!?”

 などと聞いてくる。

 俺としてはどっちも友達だ。むしろ数少ない友達との遊ぶ約束を蹴ってまでコラボしたいわけでもない。そう伝えたら返事は来なかった。




 そうして連絡もあまり取らなくなったある日それ(・・)は来た。




 最寄駅で降りると何やら騒動が起こっていた。どうやら女の人が周りに話しかけて回ってるようだ。


 巻き込まれたくなかったので、足早に帰ろうとする。


 しかし、目が合ってしまった。


「あなたね! 見つけたわ!」

 その女は走って追いかけてくる。目が血走っていてとても怖い。咄嗟のことで足がすくんでしまい逃げれなかった。


 そして目の前に女がやってきて、胸ぐらを掴みこう聞いてくる。


「あなたがソラさんね! 私とコラボした!」


 その言葉に俺は驚いた。確かにソラという名前でつぶやきラジオのアカウントを漏っていたからだ。



 なぜそれを? と思うが驚くことばかりで声に出ない。


「私はシュガーよ! あなたの恋人の!」


 はぁ!? シュガーだと!? 確かにシュガーともコラボしてた。だが恋人ではない。そんなもんになった覚えもなくそんなこと言われても困るというのが正直な感想だった。


「恋人になった記憶ないんですけど……。」


 つい口に出してしまったのも仕方ないだろう。しかし彼女はその言葉に激怒してしまう。


「なんですってぇ!?」

 そのまま徐ろにどこからか刃物を取り出し切りかかってくる。


 こればかりはやばい、流石に本能が反応し逃げる。しかし尋常じゃない速度で切りかかってくるから逃げるのも一苦労。


「私を見てくれないあなたなんて死んじまえばいいんだ!」


 その言葉と共に腹に吸い込まれる刃物。そこで俺の意識は途切れた。





 ◇◇◇◇





 目を覚ましたらそこには見知らぬ天井があった。俺の腕からはチューブのようなモノが伸び液体の入ったパックに繋がっていた。


 どうやらここは病院のようだ。


 ナースが俺が目を覚ましたことに気づいた。それから医者がやってきてぺたぺたと触ったり質問がきたりした。


 その後、警察が入ってくる。



 どうやら、シュガーこと佐藤真奈に俺は腹を刺されたあと刃物を引き抜かれ二、三度は刺したり抜いたりをされたらしい。そこで警察が到着し彼女は捕まったらしい。



 取り調べでは、ソラさんが悪い。ソラさんが私を捨てるから。と繰り返しているという。



 俺はとんでもないのとラブコメをしてたらしかった。





 ◇◇◇◇




 これ以来俺、鈴木颯太は人との関わりをさらに薄くしようとしていた。しかし現在……、


「ソラタちゃんったら〜」


「ソラちゃん」


「ソラタ」


「全員野太い声で気持ち悪いんだよ! どっかいけや!」


 変な連中にまた目をつけられてる。

結局作者に恋愛モノは無理なのね(´;ω;`)



書いてて虫酸が走って書き換えるとか(´;ω;`)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 恋愛っておっかねぇなぁ…って思ったところ。 [一言] ども~ズッキーです。 まず一言、これは佐野さんの体験談ですか? 途中までのバカップルか~ら~の~傷害事件の展開は正直驚きました。…なん…
[一言] ちょっとホラーぽくて面白かったです。できたらいつかラブラブルートも読んでみたいですね
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