第8話
呪われたナイフと神殺しを手に取り、恐る恐る融合を試みる。
どうすれば融合のスキルを使えるのか分からなかったが、ウィンドウを開き、スキル『融合』を選択し、次にナイフと神殺しを選択してみる。
するとナイフと神殺しが僅かに光出し、ウィンドウにメッセージが流れ込む。
「使用する『心』の量を決めてください」
俺の『心』は100。確か、使う量で出来映えが変わるんだよな。
ウィンドウ上で、『心』の使用量に99と入力する。OK。
ナイフと神殺しの光が一際強くなると、急に光が消える。
どうやら融合が終わったらしい。俺の手にあるのは、形は日本刀。色は刀身が赤、柄が黒。
見た目と漂う雰囲気はナイフに似ている。形は神殺しだな。
ウィンドウで確認してみた。
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真紅の刀
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命:±0
体:±0
心:±0
力:±0
技:±0
速:±0
運:±0
攻撃力:+1800
防御力:±0
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eight作
(呪):levelがあがらない
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おお!攻撃力が上がってる!でも呪いは解けてないか。一応は、最低限の成功だろう。
今は真紅の刀を装備できている。外れないけどね。
真紅の威力を試したくてうずうずしてきた。
この『始まりの街』の周辺は、レベル1〜10に適したモンスターが出るらしい。
一応、装備もしてるし、外に出てみるか。
街から1㎞程度離れた草原を歩いているが、なかなかモンスターが現れない。
???
いつの間にか灰色の野犬が目の前にいる。
ウィンドウが勝手に開き、目の前のモンスターの名前を表示する。
『野犬』
見たままだ。しかし、おかしい。
何故か、『野犬』の右に6匹の表示がある。
ゆっくりと左右に首を回す。
草原の草陰に隠れるように灰色の耳やら背中やらが、チラチラ見える。
どうやら囲まれたらしい。
腰の真紅にそっと手をかける。いつでも抜刀出来るようにだ。
ただ、頭の中は逃げることしかない。どうやって囲いを突破して逃げるか。
囲いを突破しても、逃げ切れないかもしれない。
野犬の群れは考える隙を与えてくれないらしい。目の前の野犬がゆっくりと近付いてくる。
こいつは囮だ。目の前で注意を引いて、背後から襲うのだろう。
真紅を抜刀し、大きく振りかぶりながら、目の前の野犬に突進する。背後に注意しながら。
異変発生!野犬の動きが止まった!いや、僅かに動いている。
時が止まったのではないかと思うような時間の流れ。
逃げようと思ったが今なら殺れるかもしれない。
大きく振りかぶった真紅を一気に振り下ろす。
まるで何もないかのように野犬の体を両断した。
振り返ると二匹の野犬が宙を飛んでいる。音もなく飛びかかってきたのだろう。
その野犬は、空中をゆっくりと漂っている。
真紅を真横に凪払う。いとも簡単に二匹を同時に両断した。