第4話
武器じゃない!
そっか、武器とは言われてなかったな。ちっちゃいな、これ。とりあえず、ウィンドウを開いて確認してみるか。
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幸運の指輪
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命:±0
体:±0
心:±0
力:±0
技:±0
速:±0
運:+20
攻撃力:±0
防御力:±0
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これも運があがるアイテムなのね。どうやら俺は運だけで生き抜くしかないみたい。
「はぁ〜。とりあえずお金下さい」
「お金は振り込ませて頂きました。残金の確認はウィンドウを・・・」
ウィンドウの端っこに、100ゴールドって表示がある。この額で何が買えるか分からないけど、武器か防具が欲しい。露天商を回ってみるか。
街の入口から一直線に城まで延びている道がある。かなり広い道であり、馬車がすれ違うことも可能だ。
道の脇ではチラホラ露天が並んでいる。奥の方に行けば出店もあるようだ。
「さっきは親切にありがとうございました」
親切な彼女を見つけたので、一応、お礼を述べる。
「別にお礼言いに来なくて良かったのに。それで・・・いいアイテム貰えた?」
やっぱり気になるよね。俺も気になるもん。
指に付けた、シルバーの飾り気のない指輪を見せる。
「もしかして、幸運の指輪?」
少し驚いた顔をしている。しかも、名前を知られている。もしかしてレアアイテムか!?
「じゃーん!」
彼女は自分の右手を差し出す。その指には、俺とお揃いの指輪がはめられている。
「初心者には辛いアイテムだったね。でも、気にすることないよ。そうだな、カジノに持ち金突っ込んじゃいなよ。きっと良いことあるよ」
「なんか色々ありがとう。あの〜名前聞いても良いですか?」
「香里奈。あなたは?」
「エイト。宜しく」
「宜しく、エイトくん。そうだ!これあげるよ」
「ありがとう。でも俺あんまり金持ってないよ?」
「心配しなくて良いよ。あげるんだし」
「でも、売り物なんじゃないの?」
「まぁ、一応ね。デザインは気に入ってるんだけど、効果が弱いから誰も買ってくれないの。まぁ、失敗作ね」
差し出されたのは、シルバーのネックレス。確かに、デザインはカッコいいかも。
「一応、売値、聞いても良い?」
「200ゴールド。あ、こっちの世界の1ゴールドは日本でいう100円くらいよ」
ってことは、20,000円か。確かに高いな。誰も買わない訳だ。
「じゃあ、ありがたく貰います。もし出世したら払いに来ますよ」
「期待しないで待ってるね♪」
親切で綺麗な彼女と別れ、教えてもらったカジノを目指そう。