第3話
街に着くとそれなりに人がいる。すれ違う度に見られている気がする。
気のせいではない気がする。どうも、俺が身に着けている初期装備が目立つようだ。
街の皆さんは、鎧だとか、ローブだとか、ファンタジーな出で立ちをしていらっしゃる。そんな中、布の服、布のズボンの貧相な俺の姿は確かに目立つ。
そんな哀れな俺に声を掛けてくれた人がいた。
露天商の人だ。彼女はアクセサリーを売っているようだ。
親切な彼女の話によると、初心者は『始まりの宿』に行く必要があるらしい。
そして今更だが、街の名は『始まりの街』。『始まりの街』の『始まりの宿』。大変分かりやすい名前だね。 『始まりの宿』は街の入口に目立つようにあるらしい。多くの人は、教えられずに、その宿を訪れるようだ。
どうやら『導きの執事』さんが、そこを訪れるように説明しているらしい。聞き逃した・・・
早速、街の入口に引き返すと確かに目立つように『始まりの宿』が存在する。宿に入ると『導きの執事』さんがいた。話しかけると、また色々説明してくれた。
今度は聞き漏らさないようにしっかりと聞くことにした。
まず、この宿はlevel.10になるまではただで利用できること。宿泊代も飲食代もただ。いいね〜。
次に、ここでランダムに一つだけスキルカードを貰えるらしい。スキルカードは12枚まで保持ができ、スロットにセットできるカードは6枚までとのことだ。
装備品もランダムに一つだけ貰えるらしい。
更に、100ゴールドも貰えるらしい。この世界の物価が分からないので、100ゴールドの価値がいまいち分からないが。
まずはスキルカードを貰うことにした。ドキドキする。もの凄く強いスキルを期待する。伝説の勇者になっちゃうような。
「こちらがあなたのスキルカードになります。ウィンドウを開いてスキルを選んでいただき、空きスロットにセット・・・」
執事さんが説明してくれているが耳に入らない。渡されたスキルカードに目が奪われる。
幸運?
ウィンドウを開いてスキルをセットしてみる。
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幸運(le.1)
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運があがる。
運が上がると良いことが
ある。
『命』『体』『心』の
いずれも使用しない。
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微妙・・・
良いことがあるのは良いことだ。でも、このままではモンスターとは戦えない。すなわち、俺のレベルが上がらない。
武器に期待しよう。
「武器を下さい」
「こちらがあなたの装備品になります。ウィンドウを開いて装備品を選んでいただきますと・・・」
こ、こ、これが俺の装備品?