第12話
『1号』に絡まったワイヤーを外す。良く観察するとなんとも可愛らしいキツネだ。
額の中央には菱形の綺麗な赤い石が埋め込まれている。
腰から下は痙攣している。多分、先程の攻撃で骨やら内臓やらが潰れたのだろう。
尻尾の先が白くなっていてなんとも可愛らしい。
ワイヤーを解き、スキルカードをセットし直す。『捕獲』を外し『治癒』をセットする。
ウィンドウ上の『治癒』を選択し、対象を『1号』にする。
1号の体の周りに、白い霧のような光が発生する。
効果があったか分からない。1号は座り込んだままだ。
もう一度『治癒』を使う。
1号が立ち上がった。
「よろしくな、1号」
言葉は分からないと思うが、気持ちは伝わったかな?
ゆっくりと1号を抱きしめる。柔らかい手触り。気持ちいい。
ウィンドウを呼び出し、『治癒』を外し『飼育』をセットする。
しばらくは、1号を飼育しよう。と思ったが、モンスターって、どうやって飼育するのだろうか?
取りあえず、街に戻り、図書館に行くことにした。
帰り道でまたしても野犬の群れに出会ってしまった。
『捕獲』のスキルカードをセットしていないことを忘れていて、最後の一匹を捕獲しようとして苦労した。
結局は捕獲に成功したのだが。
『2号』
名前を入力した。
すると、ウィンドウにメッセージが流れる。
「同時に2体は操れません。1体をしまってください」
しまう?どうすればいいのだろうか?
ウィンドウ内のメニューを探すとモンスターの項目があったので『2号』を選択した。
2号が消えた。
なんとなくルールが分かってきた。
基本は1体しか操れないから、捕獲したモンスターはしまっておくのだろう。
多分、これにも上限はあるはずだ。持ちきれなくなった分は、モンスター爺さんとか牧場とかに預けるのだろう。
もう一度、ウィンドウを開き、1号のステータスを確認してみる。
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1号(le.3)
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種類:子狐
スキル:炎(le.1)
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命:48
体:34
心:120
力:10
技:10
速:440
運:10
攻撃力:10
防御力:20
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捕獲level:★★
命の値が低く、素早い為
捕獲し難い。
かなり弱い。
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か、かなり弱いって、可哀相だな。なんか、ステータス低いし。でも、レベル3ってことは、さっきの野犬との戦闘で成長したのかな?
さっきの戦闘で、スキルの『炎』を使ってくれれば良かったのに。あ、俺が指示しないとダメなのかな?