紅い息
掲載日:2026/03/02
雨上がりの夕刻 風がゆっくりと吹いて 雨を吸ってゆく
幻歩 花の句読点に息継ぎをする
雨が混ざった空気の香り
雨粒をいだいて散った白梅
傘を差して逢いにいった日の幻影
小さな花びらが点々と落ちたベンチ
春を連れてきた雨雲の息遣い
あのひととのおしゃべりの名残
散り際に少し芯が紅くなる花弁
陽水に赤らむ頬は
春のめまいに 貧血気味に霞んだ
幻歩 花の句読点に息継ぎをする
点々とベンチに落ちた花びら
雨上がりには姿なく
春風に舞い 白煙の呼吸で雲の列車が出発を告げた
梅の梢にチラチラと残った花芯とガク片
小さな小さな紅い花に姿を変えて咲く様子は
光を数える喜びを教えてくれたひとに似て
青空の下 瞳の芯は陽の光に反射して眩しく
朝焼けのように燃えて萌えて春を告げる紅い息




