表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

第7話 また寝取られちゃった

 時間も経ち、俺は家へ帰ることにした。


「寂しいな……」

「また明日会えるよ、千夜」

「うん。メッセージも見てね」

「おう」


 手を振って別れ、自宅へ。

 帰って直ぐに飯や風呂を済ませ、配信の準備を進めようと思ったが止めた。……今配信して情報を募っても意味はないと感じたからだ。

 まだ情報が少なすぎる。

 ヤツの名前すらも分かっていない。

 もうちょい調べてからだな……。


 冷静になってみれば、まだまだ情報不足。

 せめて最低限のプロフィールを入手してからだ。

 そう思った時だった。


 スマホが短く音を立てた。

 これはメッセージの受信音だ。きっと千夜からだろうと思った。なんとなくスマホの画面を覗くと、そこには。



【希愛】:聖くん、やっぱり関係を修復したい



 マジか。

 まさか希愛がそこまで言ってくるとは。あんなアッサリ引いたものだから、もう俺に未練がないかと。

 だけどこれはチャンスだ。

 北村の情報を引き出す。

 希愛なら知っているはずだ。



【聖】:条件がある

【希愛】:なにかな?



 震える指で俺は文字を打ち続ける。

 ……聞いていいものか悩む。


 いや……希愛は、俺の部屋で北村とヤっていたんだぞ……。俺の方が被害者なんだ。本当なら徹底的に追及してやってもいいんだ。でもそうしなかったのは希愛のことがまだ好きだからだ。


 くそう!


 あの時、なんで俺の部屋でシていたんだ。なんで!


 もういい、ストレートに聞いてやるッ!



【聖】:希愛、北村と寝ていたことは知っている。見ていたからな……詳細を教えろ



 そう送るとなかなか返信が返ってこなかった。……どうした。俺が目撃していたことにショックを受けたか?


 だけど事実なんだ。


 希愛だって分かっていて普通に接しているはずだ。


 しばらくして返信がきた。



【希愛】:……北村くん? なんのこと?



 と、とぼけただと!?

 ふざけんな!

 俺の心を傷つけておいて……いや、多少は興奮しちゃったけど、それは別の話だ。



【聖】:見ていたんだよ、俺は! 希愛、お前は俺以外の男とヤっていたんだよな!?

【希愛】:知らないって。記憶にもないし



 なんだと……認めない気か。

 もういい、俺は希愛を捨て――ようと思ったが電話がかかってきた。



「……なんだ?」

『聖くん、どうしてそんなこと言うの?』

「事実だからだ」

『ひどいよ……。わたし、その北村って人とはなにもしてないよ。てか、誰!?』


「なんでウソをつく! シていただろうが!」


『本当だって。……でもそっか、最近聖くんの様子がおかしいと思ったんだよね。それで別れようなんて』


「もう一度聞く。北村とヤったんだよな?」



 改めて聞いた。

 すると希愛は即否定した。



『してないし、興味もない。誰かとヤったとかないし!』



 ……俺の、勘違い、なのか?


 だけど俺は見たんだ。


 あの生々すぎる光景を!



 …………だけど、ちょっとだけ自信がなくなってきた。少しだけど。



 俺は幻覚でも見ていたのか。

 いや、違う。


 霜野さんを寝取られたじゃないか。あれは本当だ。本人も認めているし。だから、希愛の件だって……。



「信じたいさ。でも、どうやって信じればいいか分からないんだ」

『じゃあ、その北村って人を一緒に探してあげる』


「え……」


『その人を探し出せばいいんでしょ?』


「あ、ああ……本当に良いのか」

『いいよ。聖くんに協力してあげる』



 その言い草だと希愛は、北村のことを知らないように聞こえた。まさか、俺は勘違いを……?

 それとも俺は騙されているのか。

 ちくしょう、分からねえ。



「希愛、もう一度だけ信じる。でも、俺は今生徒会長の千夜と付き合っているんだ」

『構わないよ。浮気おっけーって言ったし』



 寛容すぎだろ、希愛。でもそういう条件でもあった。今は生徒会長・千夜とも関係があった方がいい。北村は、千夜を狙う可能性がある。



「じゃ、今日のところは寝るよ」

『うん、おやすみ』



 電話は切れた。……希愛のあの寝取られ事件は、俺の妄想か何かだったのだろうか。そうとは思えないほどにリアルで生々しくて、心も脳も破壊された出来事だった。


 なのに。なんで……?



 次の日。



 学校に登校し、午前中は順調に授業を受け――お昼。


 生徒会室へ向かうと妙な声が漏れていた。



『……北村くん! そこ、は…………んんっ』



 え……。


 この声って……千夜、だよな。



 は?



 なんでそんな声を……。



 北村?


 まさかいるのか、そこに……。



『千夜、よく聖を騙した! そのご褒美に中に!』

『……違う。私はそんなつもりは……』

『ああ。もうすぐ聖の心をぶっ壊せる! これは“復讐”なんだからな!!』



 ぱんぱんぱんと無常にも音が響く。




 北村……



 北村貴様あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ