第1話 彼女、寝取られちゃった
ようやく出来た超可愛い彼女『大槻 希愛』は、俺の部屋のベッドで裸になっていた。
それはいい。
問題はその相手だ。
俺は扉の隙間から衝撃的なシーンを目撃していた。
「……聖くんより気持ちいッ」
「俺の方が大きいからな」
よりによって、俺の部屋で……ナニしてんだ。
これはアレか。
いわゆる寝取られってヤツか。うそだろ、うそだろ、うそだろうそだろおおおおおおおお!!
俺の彼女が寝取られちゃった……。
今すぐに突撃して、どういうことか追求したい。でも無理だ。希愛と別れたくない!!(切実)
それに、俺に希愛を責める資格もないのかもしれない。
あれは三日前だ。
クラスメイトの霜野という女子と意気投合した。彼女とはゲーム趣味で意見が一致して、盛り上がった。
たった三日にしてお互いを意識するようになってしまっていたのだ。
すると『私と付き合ってほしい』と告白を受けた。
浮気のつもりはなかった。つい出来心で返事をしてしまったんだ……!
「……北村先輩、もうわたし……」
「ああ、中に」
くそ、くそおおおおおおおおおおおお!!
・
・
・
情けないことに、俺は希愛を止めることができなかった。
意外にも俺の下半身はビンビンになってしまい、むしろあの状況を歓迎してしまっていた。
下半身的な意味で。
でも気持ちは複雑なのである。
希愛は……超絶可愛いから男が寄ってくるのは仕方ない。けど、あんまりだ!
「どうしたの、聖くん」
「……希愛、俺たちやっていけるのかな」
「なに言ってるの~。わたしたちラブラブでしょ」
違う、そうじゃない。
俺たちの関係はむしろ悪化していると思う。
高校二年になり、希愛とは一年の付き合いだ。運命の出会いだった。
「そ、そうかな」
「なんか顔色悪くない?」
「ちょっと体調不良でね……」
不幸中の幸いか、希愛とはクラスが別だ。
途中で別れ、自分の教室へ。
席へ向かえば霜野さんが駆け寄ってきた。
「大丈夫?」
「死にそうだ。俺は……振られた」
「希愛ちゃんと別れたの?」
「そういうわけじゃないけど、微妙な距離感だ。好きなんだけどね……」
「じゃあ、私と一時的でもいいから付き合おうよ。気がまぎれるかもよ?」
正直いいかもしれない。
希愛は北村先輩とやらとヨロシクやっているわけだし……。俺にも権利があるよな。
「じゃ、よろしく」
「わー、やった。聖くんを彼氏にしちゃった」
「俺も嬉しいよ。霜野さんって美人で可愛いし」
「そうかな~」
「そうだよ。だから――」
『…………ぱんぱんっ』
そんな音が放課後の教室内に響く。
あれから三日後。
知らない男と霜野さんが交わっていた。
俺はまたも彼女を寝取られてしまったのである。
あ、
あ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




