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カタン・・・
何かの音がした。
男は伸ばした手を止め、気味の悪い笑い声をあげると音のした方へ走って行った。
数秒すると、悪態をついて何かを壊す激しい音がした。
翔がクローゼットの隙間からもう一度部屋を覗くと、うさぎ男が走って部屋を出ていく姿が見えた。
翔は何度も深呼吸し、震える呼吸を整えた。
しばらくすると震えが落ち着いてきた。
ゆっくりクローゼットを開け、部屋の中を見回した。
無我夢中で入った為最初は気づかなかったが、ここは書斎のようだった。部屋の奥にある机が壊され様々なものが散乱していた。その中に写真立てが落ちている。
翔はそれを拾いあげると、目を疑った。
写真には中年の男女と、その子供と思われる男女が写っていたが・・・その中の1人に見覚えがあった。
翔は訳が分からなくなった。ここは智也の別荘なのに、なぜこの女の写真があるのかと狼狽えた。
写真立てを戻すと、部屋を出る事にした。ドアノブをゆっくり回し、慎重にドアを開ける。
廊下にはうさぎ男の気配は無かった。
翔は先程の物置部屋に亮介が隠れているかもと思い、足を運んだ。幸いな事に、うさぎ男には遭わずに部屋の前に辿り着いた。
そっと物置部屋のドアを開け、中に向かって呼びかけた。
「亮介、いるのか・・・?」
「翔!」
たくさん積んである段ボールの陰から、亮介が出て来た。2人はお互いの無事を確認し合うと、これからどうすればいいのか考えた。
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