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別荘に入ると、中年の女性が4人を出迎えた。智也が女性をみんなに紹介した。
「ここの管理人兼家政婦の北原さん。住み込みで働いてくれてるんだけど、今日は晩御飯をご馳走してくれるって!」
「北原です。みなさん、くつろいでいってくださいね。」
玄関を入ってすぐ左にはリビングがあった。高級そうな木の一枚板のテーブルと大きなソファがあり、暖炉もある。
その後すぐに2階の寝室へ行き荷物を置くと、4人は川へ向かい釣りの準備を始めた。
釣竿を仕掛けると、暇になった翔と海斗が川に入ってバシャバシャと遊び始めた。
「魚が逃げるだろ。」
亮介が笑いながら注意すると、智也の釣竿に手応えがあった。
結局魚を釣れたのは亮介と智也だけだったが、人数分の魚を確保する事は出来た。
釣りが終わるとバーベキューの準備を始めた。智也にやり方を教わりながら自分たちの手で作る食事や釣りたての新鮮な魚はとびきり美味しかった。
バーベキューの片付けを済ませ、また遊び始めると、すぐに日が暮れ始めた。
夕食は北原さんの手作りのご馳走を振舞ってもらい、その後は外に行き花火を始めた。
翔はスマホを構えてシャッターを切った。
はしゃぐみんなの姿が撮れたが、花火自体はブレてしまったり思うような構図で撮る事が出来なかったため、途中で動画撮影に切り替えた。
「撮ってばっかいないで翔もやれよ。すぐに無くなるぞ!」
「残しとけよ。俺は緑のをやりたい!」
「最後は線香花火をやるからな。」
しばらくすると花火は殆どなくなり、翔は線香花火を手に取った。
4人は一斉に火をつけた。
すると海斗の線香花火が1番最初に落ちてしまった。
「風が吹いたからだ。」
海斗が言い訳をすると、残り3人の花火を眺めた。
智也の花火が落ち、残りは亮介と翔のだけになった。
強い風が吹き線香花火の先が煽られると、2人の花火は同時に地面に落ちた。小さなオレンジ色の玉は一瞬で黒くなり、どこに落ちたのか分からなくなった。
「次は負けねーからな。」
海斗が線香花火を再び手に取ると、顔にポツッと冷たいものが当たった。
雨だった。その雨はポツポツと降ってきたかと思ったら、すぐに雨脚が強くなり、土砂降りの雨に変わった。
4人は急いで別荘の中に戻った。
雨の中、地面の上で何かが光り音を鳴らしていた。
* * *
夜。窓の外ではまだ雨が激しく窓に打ちつけていた。4人は2階にある寝室に集まり話をしていたが、昼間にはしゃいだせいか眠気が襲って来た。
2段ベッドが2組用意されていて、それぞれベッドに転がった。
翔は既に強い眠気を感じており、シーツに倒れ込むと泥のように眠った。
* * *
誰かが部屋を出て行く音で目が覚めた。
窓の外からは雨が降る音が聞こえている。
翔は時間を確認しようとスマホを探したが、枕元にもバッグの中にも無かった。今度はポケットの中を探そうと手を入れた時だった。
「あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
悲鳴が聞こえた。
驚いて飛び跳ねると、他の2人の声が聞こえた。
「今のは何だ!?」
「誰か叫んでたぞ!?」
翔が部屋の明かりをつけると、海斗と亮介がベッドから下りる所だった。
「智也は? あいつはどこに行った?」
部屋を出て行ったのは智也だった。
先ほどの叫び声が気になり、3人は明かりをつけずに智也を探しに行く事にした。
部屋を出て階段を降りると、リビングから音が聞こえる事に気がついた。何かを何度も叩いている音だ。
3人は息を殺して、音を立てないように、ゆっくりとリビングのドアを開けた・・・
そこには背を向けた誰かのシルエットがあった。その足元には、大きなものが転がっているが暗がりで見えない。
突然雷鳴が轟き、一瞬だけ部屋の中が映し出された。
智也が転がっていた。
その周りには赤い液体が広がっている。
目にした瞬間息をするのを忘れ、心臓が強く鼓動するのを感じた。腹の底から恐怖が込み上げ全身に広がると、叫び声すらあげる事が出来なかった。
口を開け震えていると、隣に居た海斗が悲鳴をあげた。
「と、智也!!!!!!」
叫び声に反応し、斧を持った人物がゆっくりと振り返った。
体つきから恐らく男であろうその人物は、不気味なウサギの仮面を被っている。
うさぎ男は斧を構えたまま3人の元へ走り出した。
亮介と海斗が逃げ出した。俺も逃げなければ・・・!!
俺は・・・
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