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22


 俺たちが中学生だった、あの日。


 放課後、教室には俺と亮介と海斗の3人が居た。角の席にはひなこが座っていた。


 俺達はいつも通りひなこに向かって「きも」とか「ブス」とか言った後、「お前もう学校来んな。あそこから飛び降りれば。」と海斗が言った。亮介が笑って、俺も笑った。

 俺たちはひなこをいじめていた。でも誰にも止められることは無かったし、クラスの奴らもいつも笑っていた。


 するといつも俯いているだけだったひなこが、いきなり走り出した。





 ベランダに飛び出した。





 柵をよじ登り、






 落ちた。
















 俺は





 今、何を見たんだ?













 ーーーー瞬間、大きな悲鳴が上がった。


 気がつくと、走っていた。無我夢中で逃げた。それから昇降口まで行き、外にできている人だかりと悲鳴を無視して、3人で近所のコンビニの駐車場まで走った。


 誰もいない駐車場に着くと亮介が俺達に向かって言った。


「いいか、誰にも言うなよ。あれは俺たちのせいじゃない。ひなこが勝手にやったんだ。俺たちのせいじゃない。」


 青ざめた顔をした海斗が頷くのを見て、俺も頷いた。


「さっきあったことは、俺たちだけの秘密だ。いいか、誰にも言うなよ。これから誰に何を聞かれても、さっきの事は絶対に誰にも言うなよ。」


 俺達3人は、お互いの目を見つめ、頷いた。



* * *



「やっぱり、ひなこが・・・怒ってるんだ。俺たちがひなこを自殺させたから、死んでからも恨んでるんだ。」


 過去の事を思い出し、翔は取り乱していた。

 亮介がそれを見ると、翔の胸ぐらを掴んだ。


「馬鹿言うな。死んだ人間がうさぎの仮面を被って殺しに来れるか? しっかりしろよ。」

「・・・・・・。」


 亮介に言われ、翔は我に返った。亮介は手を離すと、腕を組んで写真を睨んだ。


「あのうさぎ男は、誰なんだ? 俺たちに恨みがある・・・ってことか?」

「ここ、智也の別荘なんだよな。ひなこの物があるってことは、ここはひなこの家・・・つまり2人は兄弟なのか?」


 翔の疑問について亮介が考えたが、すぐに否定した。


「いや、顔が似てなさすぎ。苗字も違うから親子って事はないだろ。それに智也は殺されたから、ひなこの親族が身内を殺すって事は考えにくい・・・やっぱりあいつとは関係がなくて、あの男はただの通り魔なんじゃ・・・」

「首のない動物の死体が見つかるって聞いたしな。その犯人が、あのうさぎ男ってことか?」


 2人は悩んだが、結論は出なかった。ただ分かる事は、今すぐにここを出なければいけないという事だけだった。

 亮介はノートを顔の前に出し、翔に見せた。


「このノートを燃やしてから逃げるぞ。」

「え? 燃やすって・・・何でだよ?」


 そのノートは間違いなくひなこの物だった。そしてそこには、いじめを受けた日々の苦悩と、翔と亮介と海斗がいじめの主犯格であり許さないという内容が書かれていた。


「こんな事が書いてあるノートを残しておく訳にいかないだろ。今すぐ燃やすぞ。」

「・・・・・・」


 翔は迷った。ノートに書いてある事は事実だった。確かに翔達が中心になっていじめていたのだ。そしてひなこが飛び降りる原因になったのは、自分達が「飛び降りろ」と毎日言い続けたからだと責任を感じていた。

 だが亮介はそうではないと主張する。そして飛び降りる姿を見た時、最後に同じ教室にいた事を秘密にしようと言い出したのも、亮介だった。


 翔は迷ったが、返事をした。


【駄目だ、燃やせない→ 10へ進む】

【分かった、燃やそう→ 5へ進む】


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