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廊下に飛び出すと階段を駆け上がり、寝室のベッドの下に隠れた。気がついたら亮介とはぐれていた。
翔は暗い寝室のベッドの下で震えていた。
うさぎ男が来ないように心の中で何度も念じながら、亮介はうまく逃げ切れたのか考えていた。
そのうちに暗闇に慣れ、次第に眠くなってきた・・・翔の意識は、どんどん闇の中に昇華していった。
* * *
目が覚めると、自分の部屋のベッドで寝ていた。
なんだか嫌な夢を見ていた気がする。
こんな夢を見たのは、「あの日」が近いからに違いない。
冷蔵庫から水の入ったペットボトルを出し口をつけると、スマホが鳴った。応答ボタンを押し、耳に当てる。
「迎えにきたぜ。今外に居るから、早く来いよ!」
「やべっ、もうそんな時間!?」
前日に荷物を詰め込んだ旅行バッグを手に取り、玄関のドアを開けた。
これから楽しい思い出を作りに行く。
そう思うと、翔の胸は踊った。
REPEAT END