15
翔は亮介の手を引いて逃げ出そうとした。
だがうさぎ男に気づかれ、亮介のもう片方の手を男が掴んでしまった。
「放せ!!」
翔は亮介の腕をぐいっと引っ張っり、亮介は懸命にうさぎ男の手を振り払おうとした・・・が、離れなかった。男も必死だった。
男の鉈を持つ手が動くのを見て、亮介は覚悟を決めた。
そして思いっきり腕を振ると、翔の手を振り払った。
「亮介!?」
「・・・逃げろっ!」
振り払われた反動で翔が後ろに転ぶと、うさぎ男の鉈が亮介を襲った。
何度も鉈を振り下ろされる光景を、翔は青ざめて見つめることしかできなかった。
だが亮介の言葉を思い出し、震える足で立ち上がると、その場から逃げ出した。
翔は泣きながら森の中をひたすら彷徨っていた。
すると遠くからサイレンの音が聞こえ、その音が近くで止まった。
人の歩いてくる音がする。
「君、こんな所で何をしてるんだ? もしかして、君が通報してくれた子か?」
警察官の姿を見て、翔は膝をついて崩れ落ちた。
「大丈夫か!?」
警察官に支えられながら翔は立ち上がった。
「何があったか教えてくれないか? まずはパトカーまで行こう。歩けるかい?」
「はい、大丈夫です・・・」
翔はヨロヨロと歩きながら、全てを話す覚悟を決めた。
これはひなこを自殺に追い込み、ずっと黙っていた自分達への罰だと思った。
だが、うさぎ男が誰だったのか・・・逃げ出してしまった今、それを知る術は無かった。
GOOD END