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左側に踏み出し、翔は全力で逃げた!
そのまま玄関を出て森の茂みに隠れ、うさぎ男が追ってこないか様子を見た。
心臓がどくどくどくどくと早鐘のように脈打っている音が聞こえる。
震える手で口を押さえ、荒々しい息を堪えながら別荘の玄関ドアを凝視した。
10分以上は経っただろうか。うさぎ男が出てくる気配はない。
通報しようと思いポケットに手を入れ気がついた。スマホを探している最中だったのだ。翔は肩を落とした。
このまま逃げるか散々迷ったが、亮介と海斗が無事に逃げ切れたのか心配になった。それに北原さんも智也のように襲われてしまうかもしれない。
強い不安があったが、翔は別荘に戻る事にした。
* * *
音を立てないように玄関のドアをゆっくりと開けた。
廊下は暗く、明かりひとつない。
つい数時間前まではみんなで夕食を食べて騒いでいたのに、今は不気味な静寂に包まれている。
ごくっと唾を飲むと、おそるおそる廊下に足を踏み出した。
一歩ずつ慎重に歩いていると、階段の裏手側に固定電話が置かれている事に気がついた。
警察に通報しようと、電話に近づき受話器を手に取った。
その時、どこからかガチャガチャと聞こえた。何の音だろうか。
ダイヤルを押そうとする指を止めると、翔は迷った。
俺はこれから・・・
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