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「俺たちはひなこを追い詰めたんだ・・・俺はずっと後悔してた。できるならひなこに謝りたいと思ってた。だから、それは燃やせない。俺たちはあの日の事を忘れちゃいけないんだ。」
「翔、何言ってるんだ? 俺たちが、追い詰めた・・・だと?」
「だって、そうだろ。ひなこが自殺した時に『飛び降りろ』って言ったのは、俺たちだ。本気じゃ無かったけど、毎日言ってた・・・。亮介も、本当は分かってるんだろ?」
亮介が突然翔を突き飛ばした。翔は壁に頭を打ち、床に崩れ落ちた。
「勝手に飛び降りたのは、あいつの意思だ!! 俺たちは何も手を出してない!! 全部あいつが選んだんだ!! そうだろ、翔!?」
「・・・・・・」
「翔? おい、返事をしろよ!?」
「・・・・・・」
翔は床に倒れたまま動かなかった。よく見ると、頭から血を流している。
「翔、起きろよ・・・」
亮介が翔の肩を揺すったが、目を覚ます気配はない。呼吸を確認すると・・・
息をしていなかった。
「・・・嘘だろ。俺、こんなつもりじゃ・・・起きろよ、起きてくれよ!!!!」
亮介が大きな叫び声をあげながら、翔の体を激しく揺さぶっていた時だった。
部屋のドアが開いた。
亮介がゆっくりと振り返ると・・・・・・
「や、やめてくれ・・・来るな、来るな!!!」
うさぎ男は大鉈を構えたまま亮介に近づいた。
大きな悲鳴が別荘に響き渡り、やがて静寂に包まれた。
BAD END