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【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第4章 聖ペトログリフ王国とユーラビスタ帝国
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第4章 第8話 港町と海鮮料理

 ≪黒絹≫一行は王都グリフローゼの東門から出立し、一路東へと向かっていた。街道沿いに一週間程進んだ頃に、東の辺境伯領の領都へと辿り着いた。


 聖ペトログリフ王国の立ち寄った所での食事はどれも美味かったため、久しぶりに宿をとって食べ歩きに繰り出した。西の領都や首都とはまた味付けの傾向が変わり、パスタ中心のメニュー構成だった。他にチーズ専門店などもあり、色々な種類のチーズが売られていた。チーズに合う酒を提供する飲み屋があったくらいなので、東の領都はチーズが特産物なのかもしれない。


 せっかくなので色々な種類のチーズを大量に買い込んでから、東への旅を再開した。しばらく東へ進んでいた街道は徐々に南方面へと進路が変わる。真東に行くと山脈に差し掛かるため、それを迂回する進路となっている。


 南へ迂回していた街道は山脈の迂回が済むと東へと再度進路が変わっていく。高台を進む馬車からは、遠くに南方の海が見えてきた。

 内陸で海のない国で育ったお嬢様方は箱馬車の窓側に張り付き、楽しそうにしている声が聞こえて来た。


「お嬢様方、海に行ってみますか?」

 御者台から後ろを振り返りつつ聞くと、マツリが先に声を上げた。

「港町が見えたら行ってみたい。海鮮料理を食べてみたいかな」

 内陸出身のお嬢様方は魚介料理と言えば河で取れる魚や小さな海老や蟹ばかりだったため、本格的な海の幸の話には喰いついた。

「良いですね。海の幸が食べられるなら行ってみたいです」

 アーシェスとラクスレーヴェも同意の声を上げているので、港町が見付かったら寄り道をすることになった。


 高台を進むこと数日後、穏やかな下り坂を降りて平地へと入った。山脈から流れて来たと思われる大河が見えてきた。大河の遡上と下りの両方で船が走っているのが見えて来る。

「大きな河が見えてきました。船が行き来しているので、海辺に街があるかもしれません」

 エイルが馬車内に声を掛けると、行ってみようという話でまとまった。


 エイルは川沿いの道を河口へと向かって下っていく。途中、岸に近いところを下っていく船が見えたため、大声で声を掛けてみる。


「船頭さんすみません!この河の河口には港町がありますか?」

 それに気付いてくれた船頭さんが手を振って大声で返事を返してくれる。

「おお、グレーデンっていう漁港があるぞ!海鮮料理が名物だ!」

「ありがとうございます!」

 エイルも船頭さんに手を振り返し、川沿いを下っていくのだった。


◆◆◆◆


「お嬢様方、港町に着きましたよ。そろそろ検問です。ご用意下さい」

 エイルが車内に声を掛けるとすぐに了承の返事が返って来た。


 この漁港に地上経路でやって来る者は少ないのか、検問はすぐに済んで中に入る事ができた。入った街は西グレーデンというらしい。大河を越えて反対側にも街があり、そちらが東グレーデンだという。河沿いの立地に立派な造りの宿屋が見つかったので、厩舎にストレイガル達を預けて四人部屋を一つを押さえた。宿のスタッフにチップを渡してこの街の事を聞く。お勧めの食事処、食べておくべき名物、大河の渡りなどについてだ。


 お勧めの食事処も聞けたので、まずは早速海鮮料理を味わいに行く。道中、浜焼きの屋台からなんとも食欲を誘う良い匂いが漂ってくる。

「貝とか海老とか食べたいな。パエリアとかないかな~。あったら食べたいな~」

 マツリが緩む頬をこねくり回しながらメシの顔をしている。

「貝は見たことないです。あそこの屋台のパカって開いているやつですか?」

 ラクスレーヴェが屋台の網焼きですら珍し気に眺めている。それはアーシェスも同じで、川で取れるような物とはサイズが大違いの海老などをみて楽しそうにしている。


 宿で教えてもらった食事処に着くと、渡されたメニュー表を眺める。エイルやお嬢様方は文字だらけのメニューを見ても料理のイメージが湧かず、ノリノリのマツリに注文を任せることにした。


 マツリは網焼きの海鮮を中心にあれこれと注文をしていく。中でもマツリがパエリアと呼んでいた米料理は八人前を頼む程に興奮していた。二人前の鉄板皿が二枚テーブルに置かれ、それをとりわけながら食べていく。


「あ、これ美味いね。米?の硬く焼けてるとことかも良い感じ」

 マツリが謎の押しの強さで大量注文した海鮮達はあっという間に胃袋に収まっていった。

「くぅぅ!海鮮でお腹一杯なんて幸せだー!」

 マツリがぽっこりしたお腹を撫でながら満足げな笑顔をみせる。エイルやお嬢様方もはじめての海鮮料理には大変満足がいったようで、皆が笑顔でお腹を重そうに撫でていた。

 しばらく食休みをさせてもらってから渡し舟の偵察に移動する。人だけ乗った渡し舟もあれば、馬車ごと運んでいる大きな物もあった。ストレイガル二頭と大人四人であれば、中型でお願いすれば渡してもらえるようだ。


 宿への帰り道は大周りをして海辺の方を回って帰る。途中の屋台で海鮮料理を買い込むのも忘れない。食材屋に寄ると、パエリアに使われていた米を発見してマツリのテンションがまた上り、かなりの量を買い込んでいた。米は北部が原産で、大河を使った船便で運ばれて来るらしい。



 翌日、一行は宿を出てストレイガルを連れながら渡し場に行き、四人とストレイガル二頭分の渡し賃を払って東グレーデンへと渡った。


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