第3章 第33話 新学期前の彼女たちの攻防
その日、≪緋の戦乙女≫のクランハウスは荒れていた。
隊員達に囲まれ、正座をさせられているのはリーダーであるオフィーリアだ。
「被告人オフィーリアよ。あなたは寝起きを装いラムザ君に無理チューをしました。その罪を認めますか?」
両腕を組んで冷たい目でオフィーリアを見下ろしているのはカイエだ。
「ち、ちがうんだ!装ってなんていない!」
カイエと同じく、冷たい目で見下ろしているレーヴィアが責める。
「寝起きだったから無罪だと言いたいのでしょうか?自己中心的ですね」
「違、あれは、その、そう、事故チューだ!」
オフィーリアは劣勢だった。カナリエが深く溜息を吐き、首を横に振ってみせる。
「≪緋の戦乙女≫の他メンバーが前後不覚であった事を良いことに、被告人は無理チューした事実を隠蔽しようとした。これは重大な背信行為です」
カイエは重々しく頷いてみせる。
「アーシェス様から事実を伺った時、私達がどれだけ羨ま……裏切られた気持ちになったかお分かりですか?」
外部顧問からの密告は、仲間達の信頼を裏切る行為であった。
「くっ……。あの時はお前たちも夢の中でもっと凄い事してただろうッ!凄いことをッ!」
オフィーリアを囲む彼女達の目が泳ぐ。
「普段は飯の顔しかしない癖に雌の顔してたじゃないかッ!ラムザさんにどんな凄いことしてたのかなー?んん?」
「な、なんて暴言を!」
「戦争だ!!」
その日、≪緋の戦乙女≫のクランハウスは荒れていた。
◆◆◆◆
「ラクス様。≪緋の戦乙女≫にはオフィーリアさんの寝起き事故チューの件の垂れ込みをしました。これで暫くは遠征のお誘いを封じることが出来るでしょう」
ラクスは紅茶を一口のみ、目を伏せて口元だけで微笑む。
「さすがですアーシェ様。その一手が我々の充実した長期休暇につながることでしょう」
「では、事前のお約束の通りに……」
「えぇ、長期休暇を半分ずつに……」
「ふふふ、えぇ、半分こですね」
お嬢様方が悪い微笑みを交わし合っていた。
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