第3章 第32話 新学期、第二学年のはじまり
迷宮六十二階層で恥ずか死んだ者たちを大量生産した悪魔の魔樹は、とても念入りに焼かれて滅びた。
その後、探索者ギルドから遭難救助の依頼で来ている事を話して、六十階層の転移陣まで戻って王都に帰還した。入り口横の小屋の帳簿にも、きちんと帰還した旨を記載してある。
ユーフェミアにオフィーリアを連れて報告に行くとユーフェミアが無事を喜んでくれていた。念のため、六十二階層にいた魔樹のことも報告している。
今回はユーフェミアが《黒絹》に捜索依頼を出すという初動が早かったから助かったが、これがあと数日遅ければ衰弱死していた可能性が高い。本当に危ないところだった。オフィーリアもユーフェミアに重ね重ね感謝を伝えていた。緊急の指名依頼もこれにて完了である。
次はベルレイユ家とフェリオール家に、無事に帰還した事を報告しなければならない。先にフェリオール家に報告しに戻り、フェリオール家の馬車でベルレイユ家へ報告に向かった。
公爵への報告を終えてフェリオール家に戻ろうとしたのだが、待ち構えていた侍女ーズの皆さまに接待されてしまい、なかなか帰らせてもらえなかった。そろそろお暇を、と言おうとする度にマツリに甘いお菓子が運ばれてきて、食べ終わるまで動かないのだ。さすが公爵家、貴族のやり方は汚い。
年度末長期休暇の間に≪緋の戦乙女≫に西迷宮のマップの件のお礼に攻略の手伝いに行く予定だったのだが、捜索依頼の件で借りをチャラにしてもらえた。浮いた時間でアーシェスとラクスレーヴェの更なる強化のための合宿が開かれた。
前半分はフェリオール家で合宿し、後ろ半分はベルレイユ家で合宿である。
それぞれの家に仕える騎士達までもが指導して欲しいとやってきて、騎士達まで育てるのは流石にメンドクサイな、と思っていると、お嬢様方にボコされて満足げに帰っていくので気にしない事にした。主従関係の闇は深い。
休暇の終盤頃に王城に呼び出され、特別試合の時の褒賞を頂いた。勲章とか爵位とか押し付けられそうになったので、慌てて現金のみにしてくれと頼み込んだ。貴族社会の闇に沈む気など更々ない。割とすぐに引いてくれたのは、きっとベルレイユ家やフェリオール家から事前に忠告を受けていたのだろう。
年度初め、進級しての初の登校日。校長が変わっていた。ざまぁ。公爵達がちゃんと仕事しているようで何より。
公爵の仕事といえば、最近アーシェスが手伝っているらしい。取り調べに姿を隠して同席し、審理の魔眼で見抜いた事を伝えているそうだ。お陰で粛清が捗って大助かりだと聞いた。やっぱり貴族って怖い。えんがちょ。
何はともあれ、これで実技科の教師達も解雇されずに済んだのではなかろうか。
今年の新入生にはベルレイユ家とは別の公爵家の子弟やらなんやらが入って来たらしいが、貴族家の確執には首を突っ込む気はない。
ってことを考えていると、いつも向こうからやってくるのはどういった法則が働いているのだろうか。暇な学者の先生が解き明かしてくれることを望む。
ちなみにスタルク公爵家の次男らしいのだが、「俺の婚約者に近寄るな!」と言って来た。何の話かと訊いてみるとラクスレーヴェの事らしい。ラクスレーヴェにそうなの?と目で訊くと、首を横に振ってゴミ虫でも見る様な目をスタルク公爵家の次男に向けていた。自称かな?ストーカーかな?公爵家として同等の家柄な上に同年代で間違いなく美人のラクスレーヴェに熱をあげるのは分からなくもないが……。君、ゴミ虫程度にしか思われてないよって今度教えてあげなきゃ(使命感)
それは置いておいて、アーシェスやラクスレーヴェに挨拶をしてくる新入生達が結構いる。流れでお茶会しようって話になっていくのを眺めていると、何無関係のフリしてんだ、お前も出るんだよ!っていう目を向けられた。視線に情報量多くない?ちょっと怖いんですけど。執事やれってことなの?アーシェスやラクスレーヴェを相手に執事プレイするのは面白いから良いけど、新入生にもみられるのはさすがに抵抗がありますよ?警備だけじゃ駄目だろうか。駄目なんだろうなぁ……。
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