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【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第3章 ローエンディア王国と士官学校
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第3章 第4話 東迷宮の威力偵察(1)

 王都について二日目の夜で、今の宿屋【揺り椅子亭】で最初の夜。食堂で三人と合流して食卓を囲む。最初の話題は、エイルが調べてきたギルド関連の情報共有だった。

 王都周辺の依頼内容や迷宮区にあるダンジョンについて話をしていく。最後に、斥候・工兵科の人材探しという課題がある事、この街を拠点にした女性だけのクランがメンバー募集していた事、結婚で引退したメンバーの補充に前衛一名と魔術師一名を探す募集などもあったことを伝えていく。

「という訳で、この街の迷宮探索は気になるけど、人材が見付からなければ無理に長居せず東へ進むのも在りかなと思う」


 エイルの話が一通り終わると、次はマツリが話し出す。

マツリ達は日用品や消耗品を中心に買い物をし、武具屋や魔道具店なども見て回って来たという。都市は大きいが、探索者に必要な都市機能についてはだいたい南側のが市街区と商業区で揃うようだ。


 明日からどう動くかはまた明日、という事で解散となり、それぞれが自室に戻っていった。


部屋に帰るとマツリに今日の様子を訊いてみる。


「カナリエ達はどうするかとか何か言っていた?予定は未定な言い方してたけど、ここならパーティ探しも楽そうだし、なかなか良い街な気がする」

 マツリはベッドに転がりながら、今日の様子を答える。

「特にそういう話はなかったかな?お世話になりそうなお店を見て回ろう みたいなノリだったし」

 エイルは「そうか」とだけ短く返事をする。


◆◆◆◆


 翌朝、宿で食事を済ませると四人でギルドに行き、依頼ボードや募集ボードなどを見て回る。

「なるほど。昨日言っていた募集とかはこれね」

 カナリエとレーヴィアが女性クランや結婚抜けの補充の募集の件など、その募集内容についてチェックしている。マツリは適当に討伐依頼の方をみていた。


「何か面白い依頼あるか?」

 エイルがマツリに訊く。

「うーん、これとか?何か依頼内容に既視感?」

 マツリが首を捻りながら一つの依頼を指差した。


【依頼者】 フェリオール辺境伯

【依頼内容】 学生への戦闘の実技指導


「あー。これあれだ、グランフェニアの領主の娘さんの指導員募集って奴だわ。応募があっても領主さんが指導員に難癖つけてすぐクビにしちゃうとか、グランフェニアのギルドで聞いたやつ」

 エイルが遠い目になる。

「依頼内容には書いてないけど、多分女性じゃないと採用して貰えないんじゃないかな」

 マツリの頭の中で「娘の交友関係にまで茶々を入れて来るうざったらしい父親」を幻視する。あったことないけど噂だけだけで絶対そう。

「関わっちゃダメな依頼だねぇ……。」


 王都周辺だと「集落の付近に出たちょっと強めのモンスターの駆除」ぐらいの物が色々出ている。ゴブリンやオークの駆除から始まり、一番厄介そうなのは「街道に出てきたグリフォンの討伐」だろうか。空を飛ぶ魔物を発見し追跡して、逃がさず討伐までを考えると、束縛期間が面倒くさい。行きがかり上の遭遇戦で倒して結果報告するだけなら良いが、獲物がそもそも再来するかも判らない可能性があった。


「これとかどう?」

マツリが別の依頼を指差す。


【依頼者】 ローエンディア国立士官学校

【依頼内容】 遠征における実技指導と護衛


「遠征ね。マツリお前テントとか野営準備できるの?」

「……したことないです」

 指導員が指導を受ける姿を幻視する。駄目だな。


「せ、戦闘の指導とか護衛だけなら……」

 マツリは天才肌の感覚派である。「スッと行ってトスッと刺してグリッて捻ると相手は死ぬ」みたいな説明で指導できる訳がない。駄目だな。


「大人しく素材集めてきて卸す方が良くないか?」

 結局いつもの結論に落ち着くのだ。

「ラムザって脳筋だよね」

「お前が言うなし」

「ここは大都会よ?脳筋はダンジョンにお帰り」

「喧嘩売ってるのか」

 依頼ボード前で低レベルな言い争いをしていると、背後から咳払いが聞こえてきた。

「ンンッ、すまんが遊んでいるなら場所を代わってくれんかね?」

 若手かベテランか判断にこ迷うくらいの歳の頃の紳士に困った顔で窘められた。

「「ごめんなさい」」

 初手謝罪、すかさず場所を譲る。見事な撤退戦だったが、その様子を見ていたカナリエとレーヴィアの残念な物をみる目は回避不能であった。


「どうしようか。とりあえず様子見に迷宮いっとく?」

「斥候・工兵科抜きでどんな塩梅なのか?」

 エイルは頷いて見せる。実際どんな感じなのか体感してみるのが話が早そうだ。

「迷ったらとりあえず殴れ、みたいな行動方針はどうかと思いますけど」

 レーヴィアに心を刺されてるがなんともない。なんともない、よ?

「西は数で東は質らしいから、東迷宮行ってみよう」

 マツリも顔を逸らしつつ賛成する。

「そうだね、私も東の方が好みかな」

 カナリエとレーヴィアも特に異存は無いようなので、一行は東迷宮へと向かうのだった。

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