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【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第2章 ザハト帝国と鉱山迷宮
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第2章 第24話 カナリエとレーヴィアの選択

 鉱山迷宮の五十階層分と盗賊団の報酬の分配額に、そわそわが止まらない。カナリエとレーヴィアにとって、見たことがないような金額が自分の口座にあるのだ。今なら欲しい武器も防具も買い放題に違いない。オーダーメイドをしてみるのも良い。夢が膨らむ。


「オーダーメイドも良いですけど、魔法の鞄が欲しくないですか?」

 レーヴィアがカナリエにいう。

「魔法の鞄……良い」

 高嶺の花と思っていた魔法の鞄が買えるとなると、考えてしまう。特に最近は長剣に戦鎚と長槍まで持ち歩くのだ。魔法の鞄に入れておけば探索の快適度が天井知らずにぶち上るに違いない。


「前回は武器買ったじゃないですか。魔法の鞄を買って、残りのお金で防具を良い物に変えてみてはどうでしょう?」

 レーヴィアの意見を聞いて、一理あると思う。しかし滞在予定が一ヵ月伸びたのだから、時間のかかるオーダーメイドも捨て難い。


「そういうレーヴィアは何を買うの?」

「まず魔法の鞄は買いますね。余ったお金で防具か魔道具でもと思いますが、お店を回ってみて考えたいです」

 そういえば、と暫く更新された記憶のない杖について訊いてみる。

「杖は買い替えないの?」

「良い杖ですか。今のより良い杖になると魔法の鞄くらいの高価な物になりそうで」

 レーヴィアの長杖は師匠から譲られたお古であり、かなり立派な物だった。カナリエはそれを聞いて納得した。


「私は一ヶ月間なるべく修行して、五行相克と五行相生についてラムザさん達に習いたいです」

 習うと言えば、カナリエだってそうだ。

「私も、霊気運用とか混合錬気とか習いたい。同じ武器で全然威力が違うのみちゃったし」

 二人は攻撃力は努力で補い、そうできない部分にお金を掛けようと決意して頷き合うのだった。


◆◆◆◆


 翌朝、食事の席でカナリエとレーヴィアはマツリとエイルを拝み倒す。

「お願いします!霊気運用鍛えてください!混合錬気したいです!」

「お願いします!瞑想睡眠とか五行相生と五行相克を指導してください!」

「私も瞑想睡眠したいです!お願いします!」


 マツリは口に運んでいたパンをゆっくりと咀嚼して嚥下すると、重々しく口を開いた。

「儂の修行は厳しいぞい?お主らは着いてこれるかのう?」

 謎の年寄り言葉である。師匠っぽさを出したかったのかもしれない。

 霊気運用と混合錬気はエイルも修行中の身である。練習方法の指導くらいは出来るが、マツリの方が詳しいのでそこは任せたい。五行相生、五行相克であればエイルの守備範囲なので、教えるのは吝かでもない。

 どうせ一ヵ月はこの街に留まるのだし、良い時間の使い方だと思う。

「取っ掛かりが掴めるようになるまで大変だぞ?」

!がんばります!」

っていったな」

 マツリがゲスい顔でカナリエをみて、エイルは憐れみの視線で向ける。

「「ひぇ」」

 カナリエとレーヴィアが怯んだ声をあげた。



「それで、昨日受け取った諸々の報酬で装備とかの更新をしたいなーと思っているんですけど、攻撃についてはお二人に技術を学べば向上するでしょうし、魔法の鞄か防具や魔道具の類かなって考えているんですよ」


 二人は大きな買い物を前にした悩みを共有する。


「うーん、なるほどねぇ」

 マツリが頷きながら聞いている。エイルも話を聞いて考える。


「(二人がどこまで一緒に来るつもりなのか、それにも因るだろうしなぁ)」


 もし、これからもずっと一緒に行くというのであれば、スター・シーカー製品を使わせる事も視野に入る。そうなれば、武装や魔法の鞄の出費が不要になるだろう。


「カナリエとレーヴィアは帝都を経由してローエンディアに抜けて、そこで新しい仲間とか探すんだっけ」

 マツリが二人の今後の目標について確認をする。

「そう思っていたんですけど、実はそれにこだわる理由ってないんですよね」

「パーティを組み直すのに街は変えたい。それならカナデ・カナンを出て旅をしてみたい。でも隣のザハト帝国は人種差別が酷いらしいから、更にその先にあるローエンディア王国にでも行ってみる?っていう安易な考えだったもので」

 二人のざっくばらんな言い分に納得しつつ、アドバイスを考える。


「なら、先ずは物を買うのは一旦先延ばしにして、一ヵ月後のオークションの後にもう一度考えてみたら良いんじゃない?修行の成果や追加収入をみて考えれば良いのだし」


言葉にはしないが、「今後どこまで一緒に居るのか」も、その時にまた考えれば良い。


カナリエとレーヴィアは納得して頷いた。

「そうですね。物欲に負けて焦る必要はないですね……」

エイルに諭され、少し冷静になった二人だった。


 その後、二人は瞑想睡眠に至るまでの霊素、霊力の感覚を掴むための修行を行う。エイルはその感覚の導入部分はスター・シーカーのインストールで掴んでから実践と定着訓練だったので、それがない状態からだとどういう訓練をしていくのか気になった。

 マツリも導入から指導した経験などないため、教える方も実験しながらの手探りな指導になる。「(教え方の手探り感が)厳しい修行」の幕が上った。


特訓一日目。

 マツリと両手をつなぎ、掌から魔力や霊力を流してもらって感じ取る訓練。

 魔力は分かっても霊力がなかなか分からないらしい。だよな。


特訓二日目。

 マツリががっつりハグをして、全身から魔力や霊力を放出するのを感じ取る訓練。

 霊力がなかなか分からないらしい。だよね。


特訓三日目。

 カナリエとレーヴィアに背中を向けさせた状態で上着を剥き、背中側から心臓のあたりに触れて霊力を流し込んでみる。「霊力は胸で回す」のだから、そこに流し込んで回してみればどうか。これはレーヴィアだけ少し感じたらしい。「魔力と違う何かが活性化している感じ」との事だった。カナリエが大変悔しそうにしていた。


特訓二週間後。

 ようやくカナリエも感じるようになってきたらしい。レーヴィアは前より感じるようになったけど、自力で動かそうとすると魔力が動いてしまい、うまくいかないらしい。


特訓三週間後。

 カナリエも前より感じられるようになってきたが、自力で動かせていない。レーヴィアも行き詰っている。


特訓四週間後。

 カナリエとレーヴィアが横並びで行き詰る。霊力単体での操作は一旦置いておき、代わりに魔力を熾して霊力を少しずつ混ぜ込む、混合錬気の方の訓練に変えてみる事になった。


そしてオークション当日となった。

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