表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第2章 ザハト帝国と鉱山迷宮
43/270

第2章 第22話 暇潰しに盗賊潰し(1)

 朝起きるとルーティーンを済ませて食事に行く。探索者ギルドの用事は夜になるが、午前中からギルドに向かった。放置しっぱなしのストレイガル達の様子見、ご機嫌取りである。久しぶりに顔を出すと、チラリとこちらを見てからプイと目線を外し、不機嫌ですオーラをムンムンと出してる。

 困った時の肉頼み。餌付けしてみる。

 不貞腐れたような態度だったが、渋々これで手を打ってやろう的な空気を見せつつ、二頭は肉を食べ始めた。肉を食べている間は首筋をゴシゴシと掻いてやる。スキンシップは重要だと思うのだ。夜まで時間もあるし、騎乗して散策でも良いかもしれない。誰か誘ってみるかな。

 でもただ遠乗りするより何か目的が欲しい。丁度良いクエストでも探しに依頼ボードに行ってみる。南の鉱山で魔物の駆除依頼が残っていた。これはこれで気になるけど、ストレイガルを連れて行けないので別の物を探す。そういえば北側に盗賊団が居ると言っていた。賞金首が居るかもっていうやつだ。

 エイルはサブマスターを見付けると、北側の盗賊団の件がどうなっているのかを訊いてみる。


「盗賊団ですか。まだ元気みたいですよ。探索者ギルドには盗賊団潰しの依頼が来なくて。きっと壊滅依頼だと資金を誰がどう出すか、といった部分で牽制しあってるんじゃないですかね。商人の皆さんは、隊商を大規模にして探索者や傭兵の護衛を雇う感じで対応なさっています」

 

 訊いてみて納得した。誰も自分の財布から大金は出したくない。自衛する程度の戦力を雇う方がマシだと考えているのだろう。


「賞金首の噂、特徴とかあるんですか?」

 エイルの問いかけに「噂話ですが……」と断りを入れつつ、知っている情報を更に教えてくれた。


◆◆◆◆


「という訳で、暇だから盗賊団潰しに行きたいと思います」


 昼食時。宿の一階でエイルはそう切り出した。


「ストレイガルって二人乗りいけますよね?」

 レーヴィアがエイルに訊く。

「俺達なら二人乗り出来ると思うよ。あの子達デカくてパワーもあるし」

 エイルがレーヴィアに答えると、マツリが補足を入れる。

「というか、騎乗用の鞍は二人乗り出来るタイプを買ってあるよ。」

 それならと、カナリエも乗っかって来る。

「どうせ夜までは暇ですし、皆で行きませんか?」


 という事になり、四人でギルドの厩舎に赴いて、ストレイガル達と遠乗りして来る旨をスタッフ達に伝えておく。戻った時のために、ストレイガル二頭分の厩舎のスペースは空けておくようにと、お願いして出掛けて行く。


◆◆◆◆


 アクスにエイルとレーヴィア、ランスにマツリとカナリエが乗って、西門から出ると、北門方面に向けて駆けていく。目撃情報があったのは街道沿いに進んだ山間部とのこと。きっと、見るからに好立地な襲撃ポイントなのだろう。


 山間部に差し掛かったところでスピードを落として、気配感知を広げていく。すると両サイドの山中に伏兵が潜んでいるに気が付いた。


「両サイドの山中に伏兵がいる」

 エイルがマツリに聞こえる程度の声で話しかけた。マツリは頷いてみせ、何にも気付いていないフリをしてエイルと並走する。すると、程なくしてストレイガルの前に矢が降り注ぎ、その歩みを止める。

 前方を塞ぐように、野盗達が道に立ち塞がる。通り過ぎていた伏兵達が後背を塞ぐように、斜面を駆け下りて来る。


「いやぁ、お嬢ちゃん達ごめんねぇ?ちょぉっと通行止めのお時間なんだよねぇ」

 前方を塞ぐ三十名程の集団から、スキンヘッドの大男が進み出てきた。

 背後を振り返ると、こちらにも三十名程の集団が道を塞いでおり、ニヤニヤと厭らしい笑いを浮かべている。


「お嬢ちゃん達、お金もってる?高く売れる良い物でもくれたら、通してあげてもいいんだけどね?」

 ジリジリと包囲が狭まって来ている。


「大の大人が六十人も集まってやることが物取りですか?それだけで済むと思えませんが?」

 カナリエが前後を見やりそう声を上げるが、ニヤついたスキンヘッドが更に近付きつつ口を開く。

「それはお嬢ちゃん達次第な面もあると思うよ?おっと、近くでみると皆かわいいねぇ。大当たりだ」

 マツリは溜息を吐き、スキンヘッドのニヤけ顔に冷たい目を向けて訊く。

「せめて、ボスと話させて貰いたいのだけど?」

 スキンヘッドの大男が肩を竦めて言う。

「ボスは来てねぇ。俺がその代理さ」


 マツリが後方を振り返りつつ言う。

「そう……。なら、ラムザは前をお願い」

「分かった」


 二人は手綱を操りながら片手に大身槍を出して握り、それぞれ担当の方角に騎馬のまま突貫して行く。大身槍を振るう度、突く度に野盗達の命が散る。逃げ惑う男達の汚い悲鳴にレーヴィアが容赦なく【氷槍】を飛ばし、【炎壁】で退路を断って行く。カナリエは長槍でマツリが狙うのと逆サイドに突き込み、薙ぎ払う。アクスとランスも久しぶりの散歩に機嫌を良くしていて、前で逃げ惑う男達をく蹴り殺し、噛み付いては振り回し、ご機嫌なステップで薙ぎ払って行く。


「は?え?はぁ?!」


 スキンヘッドは仲間達がどんどん殺されていくのに呆然とし、慌てて長槍で反撃を試みるが、エイルの大身槍の一振りで長柄が両断され、愕然とする。


 山の斜面を登って逃げようとする者も居たが、レーヴィアやマツリの魔法で邪魔をされ、力尽きて逝く。圧倒的な暴力の前に成す術もなく、ただ一人スキンヘッドだけが生き残った。

 スキンヘッドは両断された長槍を捨て、両手を上げた。


「さて、ボスとお話がしたいのだけれど?」

 マツリが冷めた目でスキンヘッドの男をみやり、その大身槍の刃を首筋に添えて丁寧にもう一度ハッキリと伝える。

「拠点に案内しろ。さもなくば今殺す」

 ストレイガルから降りたマツリとエイルが、野盗の死体を回収していき、スキンヘッドの男は両腕を縛られ、首に掛けた縄で引き摺られるようにして歩く。


「拠点の場所は?人数は?攫った人間は?」

 エイルがスキンヘッドに訊ねる。

「アジトには案内する。人数は十人位が残っている筈だ。攫った女が何人かいるが、もうぶっ壊れているかもしんねぇ」

 エイルは思わず首を刎ねたくなるが、ぐっと堪える。

「歩きでどのくらい掛かる?遠いなら運び方を変えてやるが?」

「歩きで一時間はかかる」

 スキンヘッドがそう答えると、エイルは荷車を出してその上に拘束し、アクスに牽引させた。

 荷車で運ばれる間、スキンヘッドが方角を指示するので向かう先を修正しつつ進み、程なく鉱山の入口に辿り着いた。

評価、ブックマーク登録、いいね などの応援をお願いします。

モチベーションや継続力に直結しますので、何卒よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ