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【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第2章 ザハト帝国と鉱山迷宮
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第2章 第21話 鉱山迷宮の攻略戦(11) 戦いの後は。

 エイルが魔力欠乏症で倒れてから、八時間ほどが経過した。エイルはまだ目を覚まさない。カナリエとレーヴィアは、毛布に包まって寝入っている。


 マツリは習慣的に起きて待っているが、手持無沙汰だった。マツリはエイルが買い込んでいたマナ・スモークを一本取り出して火を点けてみる。ハーブの香りがガツンと来るが、薬草のせいか青臭さとエグ味を感じる。

 火を点けた煙草をふかす。それだけの行為なのだが、それで手持無沙汰な気分が軽くなるのを感じた。


 この煙草のエグ味と青臭さが消せれば売れるかも、と思うが、何を用いれば消臭出来るのだろう。薬草を茹でてから乾燥させる?成分が湯に流れそうだ。


 膝を抱えてしょうもない事を考えつつ煙草をふかす。隣接する隣の部屋をみやると、そこには転移陣が仄かに光っている。


 皆疲れてるし、このまま帰るのかな。それとも、もう少し潜るのかな。未踏破階層を開拓するのは浪漫があるけど、その栄誉は今の自分達には必要ない物だ。本格的なダンジョン攻略としては十分楽しめたし、カナリエとレーヴィアの装備更新費用も稼げたと思う。


 だったらここで帰還するのは全然アリではなかろうか。うん、帰ろう。帰還するに一票入れよう。そんなことを考えていると、ようやくエイルが目を覚ました。


「おはよう、ラムザ」

 目覚めの挨拶をしつつ、吸いかけのマナ・スモークをエイルに押し付けると、素直に咥えて挨拶を返す。

「おはよ。下り階段の部屋か。転移陣あった?」

 マツリはエイルの背後を指差してみせる。

「ん?あぁ、あれか」

 エイルが振り返ってみると、転移陣が目視できた。

「これで何時でも帰れるな」

「まだ潜るの?」

 マツリがエイルに確認すると、逆に訊かれた。

「マツリは初ダンジョン満足できたか?」

 マツリは首肯する。

「十分満足した。お腹一杯だよ」

 エイルは柔らかく笑う。

「なら、ここで切り上げて帰る?」

 マツリは再び首肯する。

「うん。カナリエとレーヴィアも十分稼げただろうし、それで良いかなと思ってる」


 マツリの答えにエイルは頷くと、身支度を整える。

「マツリは仮眠取らなくていいの?」

「帰るだけなら大丈夫」

「じゃ、起こして帰ろう。起きろー。帰るぞー」

 エイルはカナリエとレーヴィアに声を掛けるが、起こせなかった。マツリがカナリエとレーヴィアの肩を叩いて呼びかけ、漸く目覚めた。

「転移陣で帰ろう」

 カナリエとレーヴィアもそれに頷いて、身支度をし始めた。


◆◆◆◆


 隣室の転移陣に乗ると、事前情報通りにダンジョンの入口に転移した。坑道を通って地上に出ると、朝方の薄暗い空気を感じられた。

 貸し馬車屋はいない。


 東へと徒歩で向かい、石碑のあるT字路に着く頃には完全に夜が明けていた。分岐点を北へと向かって歩いて行く。午後のまだ明るい時間帯に、リエルダに到着した。南門からは貸し馬車屋に頼んで、西門前の探索者ギルドに移動した。


 列の短いカウンターをみやると、厳つい顔のサブマスターが立っていた。

「ただいま、サブマスター」

「ラムザさんお帰りなさい?鉱山迷宮からの戻りですかね」

 さすがサブマスター。顔は怖いが仕事が出来る男である。

「先ず報告です。四十五階層にも転移陣がありました。これは資料庫の資料には書いてなかった情報なので、追記して下さい。トラップを警戒して使ってはいません。それと、五十階層の転移陣は、ちゃんとダンジョンの入口に戻れました」

 サブマスターは報告内容をメモ書きに残し、

「後でスタッフに更新させますね。情報提供ありがとうございます」

 と答えた。

「続きは解体所にお願いします」


◆◆◆◆


 解体所に階層ごとの死骸を並べていく。五十階層分の成果なので、解体所の床は殆ど埋まってしまった。

「多すぎです……」

 サブマスターの苦労は絶えない。是非頑張って欲しい。

「それと、階層ボスとか途中にいたネームド個体っぽいやつもあるんだけど」

 サブマスターは眉をハの字にして泣きを入れる。

「……今出しているのが掃けるまで、勘弁して下さい。解体作業者の募集をかけないと」

「じゃあそうします。多分、階層ボスとかネームド個体っぽいやつはオークションになりますよね?帝都とリエルダのどっちの方が良いですかね?」

 サブマスターは少し考えて答える。

「素材ですし、リエルダで良いと思いますよ。工房はリエルダの方が全然多いので。逆に装飾品とか美術品とかがあるなら、それは帝都の方が良いかもですね。貴族的な意味で」

 サブマスターの意見を参考にして、素材になる死骸はリエルダに卸す事にする。

「了解。アドバイスありがとうございます。とりあえず、食肉以外は全部売ります。手数料は売上から引いて下さい。あ、蟲系と人型の食肉は要らないです。お見積りはいつ頃もらえますか?」

 サブマスターは少し考えて答えた。

「明日の夜でどうでしょう?」

 エイルは頷いて、それで頼む事にする。

「了解、夜に伺います」



 探索者ギルドを後にすると、前の宿よりギルドに近い宿屋に入り、空き部屋を確認する。

 ツインの部屋を二つ借りられるそうなので、三日分予約する。一階で食事をとって部屋に戻ると、ベッドにバタリと倒れ込んで意識を手放した。

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