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【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第2章 ザハト帝国と鉱山迷宮
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第2章 第6話 事情聴取

 灰の巨獣の死体がネームド個体であった事が判明し、二人は応接室に通された。遭遇時と戦闘内容などのヒアリングが行われた。


「遭遇の経緯は、カナデ・カナン王国の東部の街道で休憩中に近くにあった森にうちのストレイガル達が遊びに行って、引っ張って来ちゃったので戦闘になりました」


「戦闘は、こう、敵の攻撃を避けながら槍をズブッと何本も刺す感じで……。後ろ足に斧叩きこんで、最後に首を斬った感じです?」


「え?人数?うちらですけど……」


 エイルとマツリは聞かれた事に素直に答えていたのだが、顔の厳つい男性職員サブマスターらしいが頭を抱え、結局上司ギルドマスターを連れてきた。

 サブマスターと同じことをギルドマスターに聞かれ、同じように答えていったのだが、ギルドマスターも頭を抱えていた。


「(ちょっと!なんかこの人たち面倒なんですけど!)」

 マツリが小声でエイルに愚痴る。

「(同感だけど、色々と説明し難いんだよな……)」

 エイルも小声でマツリに答える。


「すまんが色々と確認させてくれい。不測の遭遇戦だったのは分かった。なのに何本も槍を使った、とは?何度も刺した、ではなく?」

 色々と面倒になったマツリが、その場に槍を十本出してテーブルに置いた。

「……。後ろ足がほぼ切断状態にまでなっていた様だが、君達だけで斧を使って?」

 マツリがテーブルの上に大戦斧グレートアクスを追加で置いた。

「……。最後は大剣の一撃であの首をほぼ切断の状態にしたと?」

 エイルも諦めて重大剣を出し、テーブルに乗せた。嫌がらせに魔力を込めて置いてやると、重みでテーブルが圧壊して床にめり込んだ。

「…………。誇張や誤魔化しでなく、本当に報告通りだったと?」

 エイルとマツリが首肯し、肩を竦める。

「疑われても事実がその通りなので、これ以上の話は出来ないですよ」


 ギルドマスターとサブマスターは天を仰ぎ、事情聴取は打ち切られた。


「経緯と戦闘内容については分かった。こちらで報告をまとめよう。それと、昇級してもらう。これは強制だ。【緋眼の轟雷】は黄金ゴールド級のパーティを壊滅させた事のある個体だ。それを倒した者が黒鉄級では困る。報告内容に説得力を持たせるためにも、黄金ゴールド級への飛び級を命じる」

 疲れ切った顔のギルドマスターに命じられ、思わず溜息と本音が漏れた。

「はぁ~……。めんどくせ」


 その後、出してみせた武器は全て回収し、ギルドマスターとサブマスターには、今見た物は安易に口外しないように要求し、約束させた。

 ギルド側の手続きが終わるまで、応接室に待機となった。サブマスターが女子職員と一緒に壊れたテーブルを撤去し、新しいテーブルを設置するのをぼーっと眺めつつ、暇潰しに魔力と霊力を混合する錬気訓練を行っていた。


 それから暫く待たされ、ギルド側の処理がようやく終わったのか、サブマスターが黄金ゴールド級のプレートを持って戻って来た。新しいプレートに魔力認証を登録し直してようやく解放か、というところで、更に待ったが掛かった。


「長く拘束してすまない。これで最後です」

 サブマスターが済まなそうに言うので、不満気な様子は隠さず頷いてみせる。

「先ず報告ですが、指定手配のネームドの討伐報酬があります。これはギルドプレートの口座に振り込ませてもらいます。分配は五対五でよろしいでしょうか。次に、グレイ・ゴアベルグの納品報酬についてどうするかの相談ですが、単刀直入に言います。納品せずにオークションに出す方をお勧めしたい」

 マツリはエイルに「任せる」とだけ言い、エイルは「オークションでお願いします」と返事をした。


 ギルドの拘束時間が終わった頃には昼もとうに過ぎ、気力も底を尽いていたため、宿に帰って食事を取ると、二人して夕方まで仮眠を取った。


 夜、部屋をノックされる音で二人は起き出した。約束通りカナリエとレーヴィアが食事に誘いに来てくれていた。

 夕食は豚?のガーリックソテーをメインにしたセットメニューで美味であった。


 テーブルを囲みながらマツリが二人に日中の話をしていた。

「うわ~……。やっぱりあのデカいの、ヤバい相手だったのね」

 カナリエが引き笑いを浮かべる。レーヴィアも苦笑いを浮かべていた。

「私達は何も出来ませんでしたけど、人生初のネームド個体は良い(?)経験になりましたね。もう会いたくないです」

「それで討伐報酬とか昇級案件だーとかで長く拘束されちゃってさー……。ぐったりだよ」

 マツリが肩を竦めて迷惑そうな顔をする。

「朝は黒鉄ブラックプレートでしたよね。シルバープレートになっちゃいましたか?」

 レーヴィアがマツリに訊くと、マツリは懐から新しいプレートを取り出してみせた。

黄金ゴールド級プレートですね……」

 刻まれた紋章が間違いなく黄金級を示していた。

「うん、過去に黄金ゴールド級のパーティが壊滅した個体らしくて。それを倒したなら最低限黄金ゴールド級だろうって感じでね……」

 カナリエやレーヴィアからすると納得の処置だと思うのだが、本人達には長く拘束されて疲れた、面倒だった、という位しか感想がない。

「それで、カナリエ達の方の収穫は?良い物は見付かった?」

 エイルがカナリエ達に話題を向ける。

「えぇ、コスパ的に欲しいなーと思う物は色々あったんですけど、やはり先立つものが……」

「当面は金策になりそうです」

 カナリエ達がしおしおとしょぼくれるのを見て、マツリがズイっと迫る。

「ダンジョンだ。ダンジョン行こう!」

 それにエイルが補足する。

「ギルドの依頼ボードで、”鉱山迷宮”って言うのが書かれていたんだ。だから、近場にダンジョンがあるのでは?っていう話」

「良いですね。ダンジョン、行ってみたいです」

 探索者らしく、カナリエ達もダンジョンには興味があったようだ。

「明日は朝からギルドに行って、鉱山迷宮について訊いてみようか」

 皆が乗り気のため、エイルが明日の行動予定を定めて解散した。

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