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【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第4章 聖ペトログリフ王国とユーラビスタ帝国
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第4章 第17話 休息と補給と攻略再開

 宿に戻る道すがら他人の目が集まる美少女集団(一名男だが)なので、見られるのには慣れていた。それでも武器を浮かせて連れ歩いているのが悪目立ちし過ぎていたので、浮かせている武器は全てと鬼面の面頬、兜も異空間収納にしまっておいた。ここまでやれば東方諸島群の意匠の鎧かな?程度の見られ方で済む。


 宿に着くとまずは一階で食事を取る。この日の宿の夕食は聖ペトログリフ王国風の味付けの串焼きの盛り合わせとパンだった。ユーラビスタ帝国の平均的な宿屋料理の雑さを知ってしまった身としては十分アリな味に仕上がっていて、美味しく頂けた。食後は自室に引き上げて打ち合わせである。

 

「ギルドで購入した正規のマップだと、六十五階層までの正規ルートが書かれている。そこから先は、多分この街で本格的に攻略をしている有力ギルドの秘蔵なんだろうね」

 エイルがギルドで購入したマップを広げながら言った。


「はいはい!質問!」

 マツリが手を挙げて指名を待つ。

「はい、何でしょうかマツリくん」

 エイルがマツリに発言許可を出す。

「楽しみにしてたのに宝箱が見付かりませんでした!どうしてですか?」

 エイルはその意見に頷いて答える。

「正規ルートを最短で進んで行ったので、宝箱トレジャーボックスに当たらなかったんだと思います。あっても先行したパーティが拾っちゃってたりしますからね。ボス討伐で宝箱が出なかったのは運ですね」

 マツリはエイルの回答にふむふむと頷き返した。

「今後はどうしましょうか?六十五階層を目指して進み、記録済みの階層の踏破をしたら終わりですか?」

 ラクスレーヴェが方針の確認に、エイルはしばし考えてから首肯した。

「そうだね。六十五階層まで潜ってから次の街に行こうか」

 明日の方針が概ね決まったところで各自武装を解除して楽な恰好になると夜のルーティーンを熟し、ベッドに横になって寝落ちするまで瞑想睡眠で錬気を練り続けた。


◆◆◆◆


 翌朝、朝食までを済ませると魔道具屋に顔を出す。使ったポーション類の補充の補充が目的だったが、店員が呪い避けの護符アミュレットを勧めてくれた。こういう耐性系のアイテムは気付かない内に身を守ってくれる物なので、ちゃんと効果があるなら買っておいて損にはならない。

 呪い避けの護符アミュレットを購入する前に大量のポーション類を購入したため、お得意様になら……という感じで出して来た商品だった。一応偽物の可能性も疑ったのだが、アーシェスが大きく頷いて「嘘は言っていません」というアイコンタクトが交わされたため、購入に至った。

 一人一つ持ち、首に掛けて鎧の内側に忍ばせておいた。


 魔道具屋での買い物が済むと探索者ギルドに行き、お勧めの武具屋を教えて貰う。その間ギルドの男性職員がエイルの鎧をちらちらとみていた。

「あの~。もしかしてその鎧は、迷宮六十階層付近に出没するという【返り血の大鎧】ですか?」

 ギルドの男性職員が遠慮がちに訊いてくる。

「その名前は分からないですけど、六十階層に居たリビングメイルですね」

「やはりそうでしたか!核とか兜に鬼面とか、何か提出できる物はございませんか?」

 男性職員が興奮気味に訊いてくる。

「核だけならお渡しできますよ。これです」

 エイルは鞄から取り出すフリをして大鎧の中にあった、罅の入った核をカウンターに置いてみせる。ギルド職員はその核を恐る恐る調べはじめ、一つ頷いて納得したようだった。


「【返り血の大鎧】は手配中だったリビングメイルのネームド個体です。倒した証としてこの核はお預かりしますね。後ほど報奨金が支払われます」

 報奨金が出るのであればありがたい。

「でしたら、その核も売りにだしますので、報奨金と併せてパーティメンバー四人で等分に分けた見積も用意しておいて下さい」


 ギルドの男性職員は頷いて「対応します」と言ってくれた。


 ギルドを出るとお勧めの武具屋に寄ってみる。素人目に見ても業物揃いだと感じたが、マザー製品に迫る代物は見当たらなかった。

 武具屋を出たら次はいよいよダンジョン行きである。


◆◆◆◆


 迷宮区画に着くと何時もの手続きを済ませ、探索階層記録ダンジョンログプレートを出して四人で転移陣に乗り転移する。行先は昨日の撤退時と同じ、六十階層である。


 転移陣部屋から下り階段の部屋に移動して、下り階段を降りていく。



迷宮六十一階層。

 広い平地が広がっていた。遠くに山が見える。山の周辺に何かが飛んでいるのが見える。見渡す限りの平原で遮蔽物もない以上、山に歩いて行けという事なのだろう。

 山に向かって平原を歩いていると、山の周辺を飛んでいた一頭がエイル達に向かって進路を変えて来た。


 近付いてくると翼竜ワイバーンだと分かる。鱗や甲殻の色は深緑色で、腹側の蛇腹は焦げ茶色をしている。エイルは鬼面と兜を被り、背後に従えた武器達を展開する。大弓の魔弓を手に取り翼竜ワイバーンを迎撃する。一発目で体勢を崩し、二発目で落ちて来た。

 落ちて来た翼竜ワイバーンに駆け寄り、龍閃りゅうぜんで止めを刺す。


 一頭目の翼竜ワイバーンを倒すと、山を周回していた翼竜ワイバーンが次々とエイル達の方へと飛んで来る。魔弓で射落とし、龍閃りゅうぜんで止めを刺すか紅雀べにすずめで魔力の補給を兼ねて止めを刺していく。


龍閃りゅうぜんの調伏のために止めを刺したいんでしょうけど、暇ですね」

 アーシェスが暇を感じて欠伸が出てしまうと、それにつられてラクスレーヴェとマツリも欠伸する。

「欠伸の伝染力ってすごいですよね」

 そう言いながらアーシェス達が翼竜ワイバーンの死骸を片付けていく。山の方から飛んでくる翼竜ワイバーンが打ち止めになると、山への歩みを再開させた。


 山が近付いてくると、山腹に塔のような構造物を発見した。

「あそこかな?とりあえず行ってみるか」

 エイルが向かう先を定めると駆け出した。三人もそれに合わせて走り出す。しばらく走ったところで塔に着いたので停止し、その周辺を探って入口を探す。

 塔の山頂側の壁に入口が見付かり、中に入ると何時もの下り階段が続いていた。

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