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別離

 部屋に戻るのが憂鬱だった。昨日まで、いや今朝までは、一緒に寝起きして話して勉強しあえるルームメイトの存在が嬉しかったのに、今は胸の重石になっている。昼休憩の時間、偶然出くわしてしまった見知らぬ先輩と、彼は何をしていたのだろう。ただ、友人として話に花を咲かせていたのだろうか。

 ……いや、そこじゃない。

 彼の唇の感触、彼の言葉、それらが頭を埋め尽くして、他の何も考えることができない……。

 授業を全て終えた後、談話室で時間を潰していた私に、声をかけたのは寮長だった。柔和な目がほんの少しの憂いを帯びて、私を見ている。

「大丈夫かい。落ち込んでいるように見えるけれど」

「寮長……」

 一瞬、寮長に相談しようかという考えが頭をよぎる。けれど、まだ自分の中で整理がついていないことを他の人に吐き出すのもまた、辛くなりそうな気がした。

 寮長は言葉を選ぶように、ゆっくりと言った。

「実は君の部屋についてなんだが……」


 施設の老朽化を受けて近々改修しなくてはならないのだという話を受けて、私はその夜じゅうに荷物をまとめて別の部屋に移ることになった。もちろん、ブラックも同様だ。ただ、ふたりとも、今ひとり部屋となっている部屋に移ることになったため……別室になってしまった。

 ブラックは既に引き払っており、私はいつもより広い部屋でひとり、つい数ヶ月前に同じことをしたときとは正反対の気持ちで、鞄を開いた。

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