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6 再戦
「弾薬、燃料急げ!」
神子中佐が、着陸して直ぐにまた上がると言っている。先ほど、東京上空に侵入した敵機を一機撃墜して戻った矢先、別コースからアプローチしてくるスーパフォートレスを補足した。必死の表情で指令とやり合っている。
「別部隊に任せられたら如何ですか?」
「いや、駄目だ。さっき落とした奴は、観測機だ。私は以前、特別なそいつらの機体を見て知っている。さっき落としたのは、その特別な機体だ。恐らく、今来ている奴が本尊だ」
「観測機……原爆を落とす地点の気象を先行して観測する気象観測機……まさか」
「そうだ、そのまさかだ。奴ら、ついに東京に落とす気だ。絶対にそんな事はさせない」
「いや、しかし、そんな、そこまで」
「私は、あの日、小倉に向かう途中で、あいつらとすれ違っていた。その時、撃墜していれば、長崎はあんな目に……」
「それは、中佐……あんたも沖縄ですっからかんになって移動していた最中だろう?」
「違う、鹿屋で燃料だけ入れてあがった。あの時、弾薬も補給しておけば……
補給!出来たか!!」
神子中佐の怒声が響く。