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黒白の魔法剣士  作者: 傘羅栄華
ライフ編
74/114

生命の王

ドラゴン

 前提として調査そして研究が進んでいないためいまだに研究者の間でも実在を疑うことがある。

 見た目を動物でいえば翼が生えたトカゲ、あるいはヘビ。大きく分けてその二つに分けられるが何をもってこの二種類に分けられるのかは不明。

 大きさは個体差が激しく、また明確な調査がされていないため不明。見間違いや幻影でなく静止画あるいは動画として残っているものの中で既存の生物のどれにも当てはまらないためにドラゴンであると確認されているものの中では最大で三十五メートル(翼を入れずに)最小で三メートル(翼を入れずに)であるがどちらの記録も映っている姿がごく小さいことも相まって正確な数字とはいいがたい。

 大昔の目撃談ではトカゲタイプ(学名では広大型)とヘビタイプ(学名では長大型)が争っていたというのもあれば群れとして暮らしているのもある。かつては幼少が長大型、成人からは広大型と言われていたが現在では否定されている。だが否定されている理由が不明であり、竜を群れで見た例が百年ほど存在しないため否定されたのが誤りではないかとも言われている。


生息地

陸、海、空。そのすべて。見つかっていないだけで地中に住んでいるのも考えられる。上限は無限。深海でも上空でも問題なく呼吸できると確認されている。宇宙に住んでいるとも

 陸生種でも単純に飛行より歩行を好んでいるだけで飛ぶことも泳ぐこともできる。


寿命

 人の手で管理されている種類がいないため正確な長さは不明。

 だが現在確認されているエルス山に住むドラゴンは千年前の伝聞に残っている。ただし同一個体かどうかは不明。またそのエルス山のドラゴンを直接見た人間がいまの研究者の中にはいない。


異名

 最強種。神々の使い。善悪の淵。宇宙生命体など様々に言われているが研究者の間で最も言われているのが生命の王

 どこでも暮らすことのできる空間の幅広さといつまでも生きている時間の幅広さによりそう呼ばれている。


武器

 個体ごとに様々。共通してエネルギー弾を発射できる。

 傾向として火山に住んでいる竜は火を吐き、氷山に住んでいる竜は氷を吐く。

 だが好みだけでどの竜も火も氷も吐けるという意見もある。


異聞

 龍と竜の違い

 トカゲタイプを龍。ヘビタイプを竜とすることもあるが、これは誤り。

 最強の生き物に龍。宝を守る守護神に竜の字を使う。

 どちらも見た目と本質的には変わらず個体ごとの性格あるいは役割の差である。




子どもにもわかる怪物図鑑  最終ページ『竜』       著者ハラルド=ヴィーヌ

 より抜粋






 摩天楼。その中で

 金曜日の夜。すなわちそれはその店にとって最も人が多い時間だった。

 イルミナルという国のなかでも五指に入る高さのビル。その最上階にある三指に入る評価を受けるそのレストラン。

 そこにいる人は様々だ。

夜景を肴に女を口説こうとする者。

恋人同士で愛を確かめ合う者。

家族で日頃の疲れをねぎらう者。

ただ一人酒を飲みに来た者。

黒も白も黄色もまた関係のなく。静かな時間を楽しんでいた。

あるとすれば共通点は金を持つこと。

その中、正確にはその一階下


 今日ここに来た誰よりもアンバランスな二人がそのホテルの中でも最も値段の高いスイートルームにいた。


 静かにドアが開き少年が入ってくる。少年がここに呼び出されたのは一時間前。

「・・・悪いね。別に僕としてはどうってこともないけど、君はそうでもないだろう」

 奥に座る老人は笑いながら着席を促す。

 少年も老人を見てからドアを静かに占める。

「別に俺の方もそこまででもないさ、ただまあ・・・さけたほうがいいだろうね。でも結局ここまで持ってきてくれるんだろう。ならそれにこしたことはない。自然を愛する男がこんな都会の真ん中にいた方が騒ぎになるかもしれない」

 このホテルの最上級の場所、それは最上階のレストランではなく一階下のスイートルームだ。それは当然余計な人など入ってこない。話が外に漏れ出ることなどない。夜景もまたあまり変わりはしない。有名な料理もここまで運んでくれる。

 老人が頼んであったワインを自分のグラスに次いで

「まあとりあえず乾杯だね。とはいっても君は今、酒は・・・」

「無理。まだ未成年。だから今はこれでいい」

 少年もまた飲み物を取る。一時間前に予定を聞かれた際に頼んであった最上級の飲み物。

「ブドウジュース。後五年ほどの心房とはいえ・・・ただ値段が・・・これと変わらないとは」

 心底、驚いたように

「これは未成年あるいは飲めない人がパーティで浮かないようにするためのものだからな。見た目にかなりこだわっている。超一流のソムリエでも違いが分かる人は少ない。もちろんちゃんと値段相応の味だよ」

 説明しながら自分のグラスに紫色の液体を注ぐ。余計な音など立てない当然グラスの淵からこぼれるようなこともない。

 そのやり方は手慣れていた。

 その手つきを見て感心したように老人はつぶやいた。

「高貴な生まれなことで」

「・・・まあそうだな。いろいろ訳ありだけど」

「その問題を引き寄せる性質。さすがというべきかな。まあそれよりも乾杯」

「乾杯」

 心地より音を奏で高級なグラス同士が交わされる。

 お互い一口だけ口をつけて。

「で、なんだ」

 一足先にグラスを置いた少年が相手がグラスを置いたことを確認し問いかける。

「なんだとは」

「ここに呼んだわけだよ。こんなところわざわざ用意した理由。わざわざ一時間前に予定を聞いた理由。あんたならそこまで苦じゃないだろうがここそれなりに高いはずだぞ」

 少年が不思議そうな顔をする。

「別に大したことではないさ。ただちょっと現状の確認をね。たしか彼とはもうあったんだって」

「ああ、何の前触れもなくたまたまね」

「戦いは?」

「してない。なにせ絶対に負ける戦いはしないよ、あれは。さすがに恨みつらみよりも不思議に思う気持ちの方が先に来た」

「単純だね。私の時は探り探りだった」

「らしいと言えばらしいかな、俺みたいにそこまで深く交流はなかったはず。記憶と本の限りでは」

「ないよ。ただ、格が同じ、だからこそ分かったんだけど」

「なるほどね」

「なぜだと思う?聞くまでもないか知っているね君は」


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