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黒白の魔法剣士  作者: 傘羅栄華
ボーイミーツガール編
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夢の中

怪物王の二十体の眷属。その一体の波乱万丈な旅は英雄譚と呼ばれた。





その日の夜中、少年は夢を見た。

不気味な夢だ。


刀が迫る。

右から左へ顔を狙って。

狙われた側は左に躱す。だがその時、その刀は・・・





 朝の陽ざしが窓から入りその部屋を照らしている。年頃の少年らしい部屋だ。おかしな点があると言えば入居して一週間と少しと考えれば物が多いこととその部屋の主である少年が日曜の朝だというのに頭を抱えていることを除けばだが。

「・・・何だいまの」

 少年は予感のようなものに急き立てられるように目が覚めた。

 ベッドの横に置いてあるデジタルの時計には六時二十六分と記されてある。普段なら修行もあってそうおかしくはないが今日は休日だ。もう少し遅くても問題はない。それに昨日は午前中は人と会い。午後は事件を嗅ぎまわっていた。現に今も体が少し痛い。休息を欲している。

 だがそうもいっていられない。

 夢だ。その内容は誰にも制御などできない。例えキスシーンの後に世界が滅んでも、正体不明の何者かに永遠と迷路の中を追いかけられていても、何もおかしなことはない。なぜなら夢なのだから。

 だが

「これはどっちだ」

 それは魔法がない世界の話だ。特に夢や眠りに関する魔法を適正とする天音雄我には特に。

家が燃えている夢は吉兆だとか夢に出てきた異性は自分のことが好きだとかそういうどこかの誰かが言い出しネットに転がっている与太話の次元の問題ではない。

誰かの非リアルが少年にとってリアルなのだ。

問題点は、すなわちただの夢かそれとも魔法で見せられた夢なのか。

「・・・だめだな細かいところが思い出せない。魔法なんてあると基本的に何でもありだからな・・・」

 誰に聞かせるわけでもなく独り言をつぶやく。生涯何度かあったそして何度か思ってしまう。

 こっちを選んだことを。それで本当に正しかったのか。

「黒と白の同時使用に意識を割きすぎてしまったのが・・・まあこっちの方が戦闘でははるかに有用だから」

 何度考えても答えは一つだ。これで正しい。そもそも十五歳。まだまだこれからなのだと。

「いや。今それは関係ないか。結局どっちだったのか」

 どっちかというのは属性か適正どちらを伸ばすべきだったのかではない。見た夢が自然なのか人工なのかだ。ただの夢を自然と表現するのが正しいのかは夢想睡(グッドナイト)が適正の人間にもわからないが。

 この場合、自然とはどこまでも自由で無秩序な世界。今もって何のために視るのか正しい結論が出ていない難問。それに対し、人工とはすなわち魔法で生み出されたもの。別の言い方をすれば正夢あるいは

『予知夢』

 江戸時代のある人物に偶然と片付けられ現在でも夢想睡が適正でないものが見た場合偶然で片付けられるが、この魔法を適正とする者にとってはそれは。

『先の未来を夢という形で見る』

正常な人間それも戦闘中の相手を強制的に眠らせることは不可能ということが発見され証明され、夢の中に好きなあの子を呼びだすことが最適な使い方と馬鹿にされる夢想睡だがその中でもこの分類に属する魔法の中ではトップクラスに強力とされている魔法。

 この適性をある程度使いこなせる魔法使いなら見た瞬間わかる。そもそもそれなりの的中率の予知夢を狙ってみることができる。だがそれは使い手の場合。

 黒と白。誰も見たことのない個性を強みに昇華しようとして早十五年。それなりに形になってきた雄我にとってこっちはほとんど基礎しかできない。

 ゆえに少年にとって予知夢とは狙ってみることはできない。それも本当かどうか判別できない。的中率も低い。だが放置もできない。


果たしてどうするべきなのか。

 夢の中では男が少年に向かって刀を振るっている。

 正直なところ読み取れたのはそれだけだ。

「近いうちに剣士と戦闘になるのか・・・」



 悩んだ末に寮から外に出てみることにした。そこで少年は少女と出会った。

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